経験した武道、武術について5
前回、形意拳という武術に魅了されたと書いた。
だが、形意拳を習いたいと考えてすぐに習えるかというと、そう簡単には習えない。
なぜなら、調べたら分かることだが、現在でも『形意拳 道場』などで検索しても多くは出てこないくらい習えるところは少ない。
ましてや、私が高校1年の時はネットや携帯、はなく、パソコンも持ってない。
情報源は中国武術専門雑誌の武術(ウーシュウと読む)くらいしかないのだ。
また、そんなレアな習い事の月謝が安い訳もなく、学生の身としては経済的にも簡単には習えないのは言うまでもない。
そのようなモヤモヤした日々を過ごしていたら、季節はいつの間にか夏となった。
高校1年の最初の夏休みが到来である。
色々考えた私はこの夏休み前にある計画を立て、実行に移した。
アルバイトである。
まずは金がなければ、始まらないと考えたのだ。
当時、アルバイトは学校は原則禁止だが、理由と親・学校両方の承認があれば許可されたのだ。
親には高校生となり、働くことの大変さを知りたいのでアルバイトしてみたいと伝え、学校側にも家庭の事情によりアルバイトしたいと伝えた。
幸い、どちらからも許され、無事にアルバイトできることになった。
さて、人生最初のアルバイトだが、何の経験もなく、またやりたいアルバイトもなかった。
今となってはどうやって決めたのかは忘れたが、恐らくアルバイト情報誌で年齢不問、また未経験者可で選んだに違いない。
選択したアルバイトは工場勤務である。
時給750円、1日8時間、夏休みの内、8月いっぱい限定で週5日勤務である。
内容は温泉の元を袋詰めして、箱にいれる業務で、期間中は粉まみれで朝から夕方まで一生懸命働いた。
働くのは大変なことだと知った。
期間中パートさんが機械で指を飛ばすことがあり、仕事は危ないこともあることを学んだ。
働いた結果、このアルバイトで約10万円を稼いだ。
自分の力で稼いだことが素直に嬉しかった。
また、ようやくまとまった金が手に入り、自分のしたいことができるという喜びもあり、ワクワクしていた。
とはいえ、結論としては形意拳はこの時学んでいない。
やはり通える範囲に形意拳の道場がなかったからだ。
ではどうしたのかというと別の武道を学んだ。
学んだのは少林寺拳法である。
少林寺拳法についての解説はこちらを見て頂くとどういうものか理解していただけると思う。
少林寺拳法とは↓
さて、私が少林寺拳法を選んだ理由だが、3つある。
①突きが縦拳
②弱者でも強くなれる
③アルバイトで稼いだお金の範囲で習える
①についてだが、形意拳が習えない私は別のものを探した。
近場にあった打撃系の武道や格闘技は日本拳法、極真空手、少林寺拳法、ボクシングだった。
いつか形意拳が習いたい私は、習うなら形意拳の習得の邪魔にならないものが良いのではないかと考え、形意拳と同じく縦拳を使う武道にしようと思ったのだ。
(空手、ボクシングの拳は横、もしくは回転)
よって、縦拳の日本拳法と少林寺拳法の2択にした。
さて、どちらにするかだが、日本拳法は防具をつけて組手する打撃、投げ、関節技ありの総合格闘技のような武道だ。
当時パンクラスやUFC などできたので、似たような技術群を私も学びたいし、近い武道の日本拳法が良いのではないか?と考えた。
(記憶が混同しており、この時はリングスだった→https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B9)
しかし、日本拳法をしている知人が、日拳は強い人ばかりで弱い人はいないと言ってたことを思いだし、日本拳法は強い人が更に強くなる武道だと思ってしまったのだ。
(日本拳法は弱い人でももちろん強くなれる武道だが、当時はそう思ってしまったのである。)
少林寺拳法は老若男女が行え、護身を第一とする武道で、柔道とは違う投げやひしぎ技、関節技もあり、日本拳法と同じ総合的技術の武道である。
②の時点で少林寺拳法寄りの気持ちになっていた。
③は月謝については、他が5,000円以上だったが、少林寺拳法は宗教法人というのもあり、当時は3,000円/月だった。
※最初に入門代や道着代がかかるが、私は最初どこかの文化センターの少林寺拳法講座からスタートした為、道着以外は月謝だけで済んだのだ。
その先生の計らいで、文化センター以外にある少林寺拳法の道場も自主トレで使用して良いとなり、かなり恵まれた環境だったのは嬉しい誤算である。
よって、①~③の選択理由で決めた。
この選択は、今考えると良かったと思っている。
受けというより捌きや打撃から投げ、ひしぎ技、関節技に繋げる動きなど、効率良い制圧的技術は武術的視点を大いに変えたし、後年に学ぶ武術を見る時に役に立ったからだ。
また、少林寺拳法の道場にあるバーベルやサンドバッグに触れ、自主トレの際、打撃や筋トレに磨きをかけられたことも良かった。
この少林寺拳法は高校1年の秋から高校3年の秋くらいまで続いた。
止めた理由はお金のこともあったが、受験勉強を頑張らないと厳しくなってきたからだ。
大学は結局推薦入試で決まった。
学校は真面目に過ごしており、進学組であったことも功を奏した。
受験が終わった後の話については次で述べることにする。
→6に続く。