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「ビジョン」と「桜」をかけて「機関投資家の要求」と解く?(職場を良質にするコンセプトv6_5)

大学からの友人とお話。丸の内の大企業で働く彼女。社長と共に、時に独りでNY、LDN、SGRなどへ。証券会社やそのアレンジで集まる投資家などへ自社の説明ですって。

貸し切られたホテルでやるらしい。会社の魅力、将来像を説明して、もっと買ってね、保有し続けてね、との依頼。

で、対峙する相手に言われることは、コングロマリット・ディスカウントへの嫌悪。内部留保を嫌う。新たに投資する領域なんてそんなに無いでしょ。だから、金を貯めずに、配当をあげなさい。もちはもちやで、変なことに投資しちゃだめよ。本業以外にスキル無いんだから、どうせ。とのこと。

とにかく、欧米は(その会社の投資家だけか? その会社がそういう風に思われているだけか?)一つの企業が色々な事業に足をつっこむことを嫌う、と彼女は言う。

もちろん、その専業の事業が廃れる、ことはある。そうするとその事業のみに集中している会社は潰れるが、それはそれでいい、と肯定的。会社はつぶれたらいい。というか、当たり前につぶれるものだという思想。

その裏で新しい産業が生まれる。新しい産業が生まれるから、廃れる会社・業界が発生するわけで、経済全体で新陳代謝していて、限られた資源が有効活用されている、と考える。

「企業内ではなくて、経済全体での新陳代謝を神聖視しているね」とのこと。多角化は企業がやることではなく、経済全体で実現されること。ダメな業界やダメな企業を国などが延命させ、ゾンビ会社を残すことを嫌う。

「ニホンノサクラ、キレイデスネ。マイトシサキマス。デモ、キョネント マッタクオナジ ハナビラ デハ ナイ デスネ。チガウモノ デス。ですって。。。わかるようでわからないけどね(笑)」。

だから、お金を今稼いでいるなら配当に回すとか、自社株買いで株価上げるとか、知見無いことに色気出して投資なんてするな、コングロマリット・ディスカウントになり、株価が上がらない、配当が下がるなんて止めてね。強みの事業をやり切ってダメになったら別にいいでしょ、と諭される。

確かに。サラリーマンなら、自分の会社が潰れたって全く問題無い、次にどこかに行けば良いし、創業者も自業自得というのか、自己責任で上手く行かなかっただけで、また次を考えれば良い。ゾンビ企業にずるずるいて給料上がらないより、新進気鋭に移って給料あげた方がよい。

自分だけのオーナーシップで独裁的なリーダーだと多角化したがるひともいる。不動産に手を出したり、面白そうなベンチャーに手を出したり。助け船で家族・親戚の企業に投資したり。

日経ビジネスによるとベンチャーとカテゴライズされる企業の10年生き残り率は6%しかないという。ま、そういう意味では新陳代謝されているか。一方で、倒産した企業で統計すると平均寿命は23年(商工リサーチ)。永いのか短いのか、健全な経済ではそれぐらいが平均なのか。

いずれにせよ、末永く!も大切だが、短く太く!でもいい。ダメならさっさと散ろう!

リーダーならば:
愚直に、真剣に、コツコツと、真面目に、誠実に、挑戦心を持って、ポジティブに、仲間と共に一丸となって、ビジョンを信じて、仲間と自分を信じて、将来を信じて、諦めずに、楽しみながら、努力する。

でも、同時に:
①:自分の「動機は、必ずしもあなた(=自分)が思っているほど利他的ではないことを忘れてはいけない」し、
②:「あなた(=自分)自身の美点を過大評価してはいけない」し、
③:「あなた(=自分)が自分自身に寄せているほどの大きな興味をほかの人も寄せてくれるものと期待してはならない」のだ。
(「ラッセル幸福論」(バートランド・ラッセル著、安藤 貞雄訳、岩波書店))

確かに幸福へ近づきそう! 自分を大切にするが過度に期待もしない。

つまり、リーダー自身が「すばらしい」と思って起業したビジョン・動機は、ま、別に大したことではなし、みんなが飛びつくほどの利他ではないし、そもそも自分ならやり遂げられると精神力・スキルは別に”すごい”わけでもないし、仲間も自分ほどにそのビジョンや事業に興味を心底持っているわけではない、ということは肝に銘じておこう、ということだ。

自らの事業を心底「がんばる」けど、社会的に無駄に終ることもある、とも同時に思う。何があっても別にいいじゃないか、そう思う。この高度な思考が必要。これが職場に良質な文化・人間関係をもたらす。

● 死ぬほどがんばるときもあるが誰も犠牲にはしない
● 権威はありえるが誰も闇雲に言いなりにはならない
● 自信を持つが自信過剰ではない
● 強くあるが負けることも受け入れる
● 仲間を信頼するが期待はしない、みたいな。

良質な関係をもたらす底流の考え、そう思う。

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