見出し画像

もっと「生徒を信じる」勇気を…

生徒主体~“生徒を信じる”

 これがぼくの基本姿勢です。
 信じるからこそ任せる、任せられるからこそ責任をもって進める、責任をもって進めるために自分たちで考え実行する、自分たちで考える実行するから判断力や実行力が付く、そしてこのようなサイクルの中で、自己効力感や自己肯定感が自ずと育まれていく…これが、ぼくの教育の大きな目標の一つです。

 「生徒が授業を行う」授業 ――いわゆる“チョークジャック”

 生徒主体の授業ってどういうものでしょうか?
 以前の勤務校では、高校3年次の一年間「生徒が授業を行う」形をとったことがあります。もちろん、それができたのにはそれなりの条件が揃っていたということもあるかもしれません。そこでは、六年間一貫校で、中三からその学年の教科担当となり、四年間継続して教科(社会科―公民科)担当でした。ずっと持ち上がってきたので、生徒との間の信頼関係ができていて、生徒からみてぼくの授業の進め方(方法)の学習効果が高いということが実感できていたものと思われます。

結果にも現れて…

 この生徒たちに対して担当した教科科目に関する「センター試験」の結果がよかったことは、はっきりと数字に表れました。
 その年度の受験生全体の全国平均点でみて、残念ながらほとんどの教科科目が低い(例えば国語は20点以上低い)中で、ぼくの担当科目は全て全国平均よりも高いということに……ぼくの担当科目以外で全国平均より高かったのは1科目だけでした(もちろん、平均との差を順番に並べると大きかったのはぼくの担当科目が並びます)。
 以上のように、結果にも出ていました。それは、よく考えれば当たり前のことです。生徒が主体的に学ぶことはいかに効果があるか、実際に強く感じました。
 そういうことがあっても、なかなか、その経験を自分自身以外に拡げることができないことに悔しい思いをもってきました。

定期テストの“役割”とは…

 いわゆる筆記テストは、「評価(評定)を提示しなければならない」ということから、その客観性を担保する一つの手段として用いられているという面はあるでしょう。実施する学校や教員も、それを受ける生徒もまたそれをみる保護者も最も納得できるものとなっていると感じます。
 では、学校内の定期試験(定期考査など)にはどのような教育効果があるのでしょうか。教員の中からは「定期テストがないと生徒が勉強しない」「定期テストの回数は多い方がいい」「テストの回数を減らすなんて…」という声が大きく存在します。果たしてそうなんでしょうか。というよりもそのような考え方が「生徒のため」になるのでしょうか。ぼくはここに疑念をもっています……というよりもこの考え方を受け入れることができません。
それはなぜか…

テストを用いて“勉強させる”?

 定期テストの回数を確保することによって生徒に『勉強させる』という考え方で生徒は本当に伸びるのでしょうか? ぼくが最も危惧する点は、強制されていくことによって、そのことを「嫌いになってしまうのではないか」ということです。実際、国際的に比較して、日本の子どもたち(高校生など)は、特に理数科目ができるもの関わらず『イヤ』という傾向が出ていることはご存じの通りです。また、もっと困ることは、自己肯定感や自己効力感が低いことです。それがどこから来るのでしょうか。それを考えると、学校内で多く存在する“やらされる感”の影響が大きいと考えるのが当然でしょう。特に、このテストを用いた学習の“勉強化”(強制化)が大きな影響を与えているものと考えて当然ではないでしょうか。
 『とりあえず結果を出せればいい』的な大人の安易な考え方が、多くの子どもたちが本来もっている「学びへの意欲」を削ぎ、「学びからの逃避」を生んでいると考えられます。

自分で「考える」こと

 人(特に子供)は自分で考え自分で工夫して動くことが大好きです。それは小さな子どもをみていると見えてくるところです。それを、押さえつけて型にはめていうことを聞くようにしています。
 その中で、『テストで強制的に勉強せざるを得ない』状況に追い込まれて育った子どもたちが大人になったとき、どのように自分で判断して行動できるようになるのでしょうか。他から何か言われなければ動かない、他人から指示されなければ動けない…そんな指示待ち人間、言い換えればロボットのような、それこそひどい場合は(他国の)奴隷のようなことにならないでしょうか? 自分で考え自分で善悪を判断し自分の考えを表現し行動できるそんな人になれるのでしょうか? それこそAI(やそれを動かす極一部の人)に支配されてしまうようになってしまうのではないでしょうか。
 ぼくは、絶対にそんな受け身な若者たちを『つくってしまう』ことに加担したくありません。ぼくは、自分で考え行動できる生徒や学生を育ってほしいと考えていますし、いっしょに成長する時間をもっていきたいとも思っています。

自主的に“学び続ける力”を育む

 現在、担当学年の教科指導で行っているのは、「生徒からの疑問点や質問を中心に組み立てる授業」です。具体的な授業の進め方については、次の機会に述べさせていただきたいと思います。
 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。ご意見がございましたら、いただけると幸いです。お答えはなかなかできないと思いますが…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?