【詩】エタノール

水のフリして漂って

油のフリして浮かんでた



H2Oじゃないのなら

君は僕らと一緒だよ

そうして水面の輪に紛れても

水にもなじめる私は肩身が狭くて

一滴の洗剤に怯える

あの子にはなれなかった




君は僕らと同じように

僕らの手を取れるじゃないか

そう言って手を差し出され

H2Oの中で踊っても

あの正四面体の美しい

結晶の輪には入れてもらえない


あの子の手を取って

結晶を作れる私であれば

H2Oになれたというの?





水のフリして漂って

油のフリして浮かんでた










ねえ誰か

誰か私の手を取って。








水にも油にも馴染めない


私は何処へ行ったらいいの?











***


↓書きながら聴きました。この軽くはねるピアノの音が好き。

深海のリトルクライ - sasakure.UK (Piano Cover) cover: 深根


最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。