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【毎週ショートショートnote】「呪いの」「臭み」

私を捨てたアイツを呪ってやる。
そう思い立った彼女は藁人形を作るために藁納豆を通販で購入することにした。
これで臭いものがパンパンに詰まった藁人形ができる。
そうだ、このまま呪い殺して終わりじゃ面白くない。彼には苦痛を味わってもらおう、臭い責めで。五寸釘は危ないし。
彼女は通販でいろいろと買い足した。くさや、キビヤック、エビキュアチーズ、ホンオフェ、シュールストレミング。
臭い珍味で腐してやるのだ。
しばらくすると彼女の元に注文したものが届き始めた。
気持ちが落ち着き冷静に考えてみると、彼が臭い珍味を好いていたら意味がない。彼女は呪うついでに珍味の味を確かめることにした。
「人を呪わば穴ふたつ」という言葉がある。人を呪うには自らも同じ仕打ちに遭う覚悟が必要だ。部屋でシュールストレミングの缶を開けた頃には彼女はもう後戻りできなくなっていた。
お洒落なカフェで食べるパンケーキの匂いでは物足りないし、外出するには服と体がすごく臭い。

(410字)


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前回のお題「カフェ」「4分33秒」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
呪いの:ホラー、穴ふたつ、五寸釘、
臭み:悪臭、脱臭、消臭、生臭い、加齢臭、腐敗臭、

アイディアの組み合わせ
臭い呪いが自分にも返ってくる話:彼を臭い責めにする呪いを掛けるが、自分にも呪いが返ってくる。藁人形を作る藁を納豆の藁にする。世界の臭い珍味に藁人形を浸す。部屋が臭くなる。食を粗末にするのはよくないのでついでに食べる。ハマって臭いものしか食べられなくなる。

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