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私文が統計検定2級に受かるまで

はじめに

 先日、統計検定2級試験にギリギリ合格した。ギリギリ合格なので、勉強法などを語る資格はないのだが、文系学部の学生がどのような経緯で合格に至ったのかということについて記録しておきたい。
 どうでもいい思い出話が長いと思うので、具体的にどういう対策をしたかを知りたい方は「統計検定2級に受かるために」というところから読み進めて欲しい。

統計検定2級とは?

統計関連学会連合において、大学における「統計学分野の教育課程編成上の参照基準」が作成されました。統計検定2級は、この参照基準に示されている大学基礎科目レベルの統計学の知識の習得度と活用のための理解度を問うために実施される検定です。(統計検定HPより)

 上記の通り、統計検定2級は「大学基礎科目レベルの統計学」に関する試験だ。具体的には確率分布・仮設検定・回帰分析などがある。
 単元の名前だけ聞くと難しそうな気がするが、難易度としては高校数学Ⅱ・Bに少し毛が生えた程度である。となると、統計検定2級はそこまで難しい試験ではないということになる。
 しかし、私はその簡単な試験に2回落ちている。本稿では2回試験に落ちてから合格を掴み取るまでの経緯を説明していきたいと思う。

著者属性

・経済学部2年生
・中高と数学は好きであったが、点数が取れるかというとそうではなかった。
・確率やデータの分析といった高校数学で登場する統計学の分野は苦手
・高校で数B「確率分布と統計的な推測」の分野は履修済み
・数Ⅲは未履修
・大学で統計学を履修していたが、著者の怠惰により落単

 と、こんな感じである。「経済学部だから、大学入ってから数学使ってるやんけ!」と思う方もいるかもしれない。しかし、初歩的な経済学を学ぶ上で利用したのは連立方程式・簡単な微分くらいである。だから、大学に入学して以降、大学以上の数学(厳密には数Ⅲ以上)を使ったことがないのである。圧倒的私文…ッ!!
 また、一昨年の8月に「統計調査士」の資格を取得しているが、この試験で問われる統計の知識は高校生レベルのものなので、統計検定2級の受験には特に役立たなかった。

1回目の受験(2020/3/13):不合格

①実施した試験対策

・『コアテキスト統計学』(1周)
 コアテキスト統計学は初歩的な統計学について数Ⅲを履修していない文系学生でも理解できるように解説した本で、評判は良い。
 しかし、いわゆる「大学の数学」口調で記述されているため、初学者には理解が難しい箇所もあった。そういったところは統計webで補強するようにした。

・『統計検定2級 公式問題集』(0.5周)
 統計検定必携の過去問集である。解説は少し雑めであるが、統計検定の過去問題集は公式のものしかないので、これを買うしかない。
 正直解説を読んでもわからなかったので、周回するモチベがなかった。半分くらいはやったと思う。

②結果と反省

 結果は52点と惨敗だった。敗因は統計学の知識が自分の中で有機的に繋がっていなかったことだと思う。統計検定の問題の解説を見て理解できなかったのもそれが原因だろう。まず、t分布とカイ二乗分布の違いが把握できていなかったと記憶しているので、これは言うまでもなく論外である。
 また、このときの私にとって52点というのは実は悪い点数ではなかったように思われる。なぜなら、過去問を初見で解いた際の最高得点は3割程度であったからだ。にもかかわらず、5割という得点が取れたのは統計検定2級CBT試験の特徴にある。CBT試験ではPBT(紙のテスト)と違って確率の問題が多く出題される。すなわち、大学基礎科目レベルの統計学など理解していなくてもある程度の得点が見込めるというわけである。

2回目の受験(2020/9/29):不合格

①実施した試験対策

・『完全独習 統計学入門』(2周)
 データの分析〜さまざまな確率分布の話まで丁寧に解説した統計学入門書。良書。ただ、これ1冊ではさすがに2級範囲をカバーすることはできない。
 『コアテキスト統計学』ではわからなかったt分布やカイ二乗分布などの確率分布の話について理解することができた。これを読んでこの辺りの話についてよくわからないという人は統計学向いてないのでは🤔と思ってしまうレベルで丁寧に解説されている。

・『数学ガールの秘密ノート やさしい統計』(1周)
 中学数学の内容を踏まえながら、高校数学・大学数学へとステップアップしていく『数学ガールの秘密ノート』シリーズの統計版。
 仮設検定の説明が秀逸だった。また、最近PBT試験での出題が増えているチェビシェフの不等式についての説明もあり、参考書として重宝した。また、読み物としても面白く、勉強の息抜きになった。

・『統計検定2級 公式問題集』(0.5周)
 前回と同様、一部のみ解いた。

②結果と反省

 結果は51点。前回と点数がほとんど変わっていない。前回不合格になってからずっと統計検定の勉強をしていたわけではなかった。受験の1ヶ月くらい前に『完全独習 統計学入門』の存在を知り、再受験するcarという気分になったので、勉強を再開したのである。その甲斐あって、確率分布の分野は75%得点できている。『完全独習 統計学入門』、偉大である。
 前回と点数が変わらなかった原因はひとえに勉強不足であったからである。確率分布についての勉強しかしていなかったので、当然回帰分析・分散分析などの記述統計分野を取りこぼすこととなった。また、公式問題集も前回同様あまり解かなかったのだが、これも点数が伸びなかった理由だろう。

3回目の受験(2022/3/2):合格

①実施した試験対策

・『統計検定2級 合格のツボ』(2周)
 ガチの良書。この本は統計検定2級の過去問を使いながら、統計学について学べる本である。よく理解していなかった「差の検定」や「連続型確率密度関数」についても理解することができた。ただし、一度入門書を読んでいないと理解に苦しむ部分もあると思う。また、著作権の関係で過去問をこの本に掲載することができないので、公式の過去問題集を買う必要がある。

・『統計検定2級 公式問題集』(1周)
 『統計検定2級 合格のツボ』で演習したおかげで公式問題集の解説だけでもどうやって問題を解いているのか理解することができた。そのおかげで1周できたといっても過言ではない。

・『入門 統計学 −検定から多変量解析・実験計画法まで−』(0周)
 『統計検定2級 合格のツボ』でわからない箇所・自分の知識が抜けている箇所について適宜これで調べた。統計学の入門書で実験計画法や多変量解析、分散分析についてこの本ほど詳しく解説している本はないので、大変重宝した。

②結果と反省

 結果は65点で合格。解き終わった後は7〜8割取れてるのでは?と思ったが、流石にそんなことはなかった。各分野バランスよく得点できていることから、勉強の成果が実感できて嬉しかった。
 合格できたのはやはり過去問題集の解説を理解できるようになったことが大きいだろう。「1回目の受験②結果と反省」でも述べたが、PBTとCBTでは出題の傾向がやや異なる。公式問題集に掲載されている問題はPBTで行われたものであってCBTで行われている問題ではない。しかし、公式問題集をやっていればその若干の傾向の差異にも難なく対応できることだろう。

統計検定2級に受かるために

 受かるためにやることは以下の3つである。私の遍歴から無駄なものを削ぎ落とすと以下のようなルートを辿ることになるだろう。

(1)入門レベルの統計学

(2)『統計検定2級 合格のツボ』

(3)『統計検定2級 公式問題集』

(1)入門レベルの統計学
 問題を解くためには理論的な基礎がなくてはならない。統計学入門の本は書店に行けばたくさん売っているのでどれでもいいだろう。ただし、東京大学出版の『統計学入門』と統計検定2級の公式テキストである『統計学基礎』は入門書としては評判が悪いので、初学者は避けた方が良い。
 私が本noteの中で紹介した入門書としては『コアテキスト統計学』『完全独習 統計学入門』『入門 統計学 −検定から多変量解析・実験計画法まで−』があるが、個人的にはこれらがおすすめである。
 また、個人的にはおすすめしないが、統計学の本高いよ〜🥺という人はサイトで学ぶのも良いかもしれない。多くの人は統計Webを推しているが、個人的には動画講義と共に学べる統計ブログのが良いと思う。

(2)『統計検定2級 合格のツボ』
 これは前述した通りだが、「統計学の基礎は理解したけど、統計検定2級の問題が難しくて解けない!」という人におすすめの良書である。
 150ページしかないので、最低2周はこなしたいところ。また、この本で解説されている問題は2016〜2019あたりのものが多いので、その辺りの公式問題集を買う必要があるかもしれない。

(3)『統計検定2級 公式問題集』
 『統計検定2級 合格のツボ』で一部の問題は既に解いているが、時間を測って全問解くことに意味がある。また、これまでの2冊を読んでいれば凄く難しい問題でもない限り、公式問題集の解説も理解することは容易いだろう。

今後について

 私が今回統計検定2級を受験したのは「専門統計調査士」という資格を取得するために大学基礎レベルの統計学を学ぶ必要があったからである。また、以前に2回落ちているので、さすがに受かっとくか〜という気持ちがあったというのもある。
 今後は専門統計調査士・統計検定準1級の取得を目指したいと思う。特に専門統計調査士はできるだけ早く取得したいと思う。

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