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なぜエジプトの家には屋根がないのか?
今年の1月にエジプトに行った。
そのときに、カイロの街並みを見ていて不思議に思ったことがある。
それは「建設中と思われる住宅が異様に多いこと」である。
足場が組まれていて明らかに建設中の建物はまだ良いのだが、足場が既に解体されているにも関わらず、屋根がないor最上階が建設途中の建物もあった。
しかも、建設途中の住宅に人が住んでいるのも見えた。
以下が実際の写真である。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142661594/picture_pc_04fbfbada2afa11b2a8e4b065547b87d.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142661646/picture_pc_5a3412f9bf98af543179b1ecb55c98b7.png?width=1200)
また、地震が少ない地域なので、当たり前かも知れないが、日本の住宅と比べるとかなり簡易的な作りに見える。事実、1992年にはマグニチュード5クラスの地震がカイロ近郊で起こり、1.2万人を超える死傷者が発生した。
エジプトから日本に帰国してからも、この謎が頭の片隅にあった。
このことについてインターネットで調べたこともあったが、調べ方が悪かったのか目ぼしい情報にありつくことは出来なかった。
しかし、ある日Twitterを見ていると、この問いの答えとなる投稿を見つけた。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142663353/picture_pc_33604a50fb7f3f9664640565250e22ba.png?width=1200)
すなわち、エジプトでは建物が出来上がったと同時に固定資産税の課税が始まるため、それを回避するために中途半端な建築になっているのである。
これを基にインターネット検索を行ってみると、確かに同内容の記事がヒットした。
一方で、この情報の出所について、示しているサイトは無かった。
そこで、その出所について、ChatGPTとDeepL翻訳を利用して、調べてみることにした。
この2つの技術を用いることによって、私はあるサイトに辿り着いた。それはエジプト税務当局のホームページである。
そのページの中にエジプトでの固定資産税についての記述があった。
このページの中身をDeepL翻訳で頑張って訳してみると、次のような記述を発見した。
【建築物に対する課税】
…
固定資産税が課税されない物件
以下の不動産は課税対象外である:
A:国が所有し、公益目的のために割り当てられた建築不動産。
ただし、個人または法人に処分された日の翌月1日から課税される。
B:宗教的儀式を執り行うため、または宗教を教えるための建物。
C:公共の利益のために収用された建設不動産: 収用当局が実際に差し押さえた日から。
D:地下室および墓地の建物。
建設中の建物は課税対象とはならない。
…
確かに「建設中の建物は課税対象とはならない」とある。
ちなみに、日本でも賦課期日である1月1日に完成していない建物はその年の固定資産税の課税を免れることができる。(土地に対しては建物が建っていなくても固定資産税が課税される。)
とは言え、日本において、建設中の建物が長期間放置されることによって固定資産税の課税を免れるというのは建築基準法や税法の観点から難しいだろう。
以上より、「なぜエジプトの家には屋根がないのか?」という問いに対する答えとしては「建設途中を装うことで、固定資産税の課税を免れることができるから」ということになる。
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