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戸惑いながらも、見えない何かと繋がるために「#正論bojw/7」

「#正論bojw /7」
母も弟も、私の奇行は慣れている。「家具はどうした?」「一人でやったの?」など、目についたことをどんどん言う。しかし「実家以外でもやるんだ」と言いたそうだったがそこは言わない。少し困った顔で「う~ん、わからない」と笑った。あとはいつも通り、気にしない様子で写真が圧迫する部屋で、食って寝て二人は帰っていった。


一人になり我に返った夜に私は意識的に写真を辞めた。「よくわからない」が答えだし、もっとも心身に堪えたことは、他者に見せられないことを一年以上やっていたことだった。それでも展示する方法をわざわざとったのに身内にしか言えなかったこと、真摯に意見してくれる人付き合いをしてこなかったこと。自分は何のために制作をしているのか。写真以前の問題が浮上した。あ、もう無理だ、と逃げ出すことにした。


あの時、SNSがあれば私は救われたのだろうか。個が撮影した写真を気軽に、そして誰かに見せることが一般化した世界を受け入れて、セルフポートレートをアップしたのだろうか。あの、どこを切っても仏頂面で絶望した顔を、戸惑いながらも、見えない何かと繋がるために。(つづく)


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