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[Kayの読書]生産性★★★★☆

生産性への関心が低い日本の働き方

この本は、生産性が低い日本のホワイトカラーやサービス業の働き方に対して警鐘を鳴らし、筆者の経験をもとに、生産性を上げる方法と、生産性の向上がもたらす利益について、解説された本です。

自分自身の仕事の生産性や、自分が働く組織の生産性に疑問を持たれる方にはぜひおすすめしたい本です。

生産性を上げる方法は全部で4通りある

まず、生産性とは何か?
簡単に言うと、「生産性 = 付加価値額 ÷ 投入資源量」で求められます。

筆者は、生産性を上げる方法は全部で2 x 2 = 4通りある、と書いています。

①業務を改善して、投入資源量を減らす (改善 x 分母減)
②業務を革新して、投入資源量を減らす (革新 x 分母減)
③業務を改善して、付加価値額を高める (改善 x 分子増)
④業務を革新して、付加価値額を高める (革新 x 分子増)

この内、日本の多くの企業が取り組んでいるのは、①だけ。例えば、コピー用紙の使用量を減らすとか、昼休みにオフィスの電気を消すとか。俗に言うコスト削減ですね。
②、③、④に焦点を当てていないことが、日本企業の生産性が上がらない要因だと、筆者は指摘しています。

特に筆者は、③と④を積極的に実施すべきだと書いていました。理由は、①と②のコスト削減は、「コスト = 0円」になるのが限界だけど、③と④は限界が無くどこまでも高められるからだ、ということでした。
最終的には、高価値のものやサービスを高額で売るビジネスモデルに転換していくべきだと書かれていました。

僕たちがやるべきこと

筆者は、生産性を上げる方法を実践するためには、人材の育成が不可欠だと訴えています。具体的には、「リーダーシップを発揮できる人材」「リスクを負って決断が出来る人材」の育成です。
リーダーシップは、組織のリーダーだけが発揮すれば良いものではなく、新入社員からベテランまで、誰しもが場面場面でリーダーシップを発揮すべきであり、そのリーダーシップの矛先が生産性向上という目標に向くべきだということでした。
また、会議や商談ダラダラと続く原因は、決断すべき人間が決断できない、ひいては、決断にはリスクが伴うことを理解できていない人間が会議の場にいるからだとし、そうならないために、人材育成に力を入れるべきだということでした。

人材育成のためのロールプレイング研修

この本で紹介されている「ロールプレイング研修」というのが面白そうでした。これは、例えば上司や同僚と6人ぐらいのグループを組んで、2人が顧客役(顧客側社長、実務担当)、2人が自社営業担当役(上司、部下)、残り2人が進行役(タイムキーパー、メモ取り)として、実際に起こりそうなシチュエーションに沿った商談を演技する、という研修だそうです。この「演技する」というのがポイントらしく、例えば顧客側社長役になった人は、商談中に難しい顔をしてみたり途中電話で退席する演技をするなど、実際に起こりそうなシチュエーションを演技することで、普段の自分とは違う役割になったときの思考回路の理解や、商談の席で何かを決断するためのスキルが鍛えられるのだそうです。

日本企業では、研修と聞くと新人や若手に対して実施されるものだと思いがちですが、外資系企業では経営トップや役員も積極的に研修に参加するそうで、筆者は、日本企業でも新人ベテラン問わず研修を継続して人材育成に力を入れることが、生産性向上に寄与する方法のひとつだと説いていました。

量を追う発想が生産性を下げる

生産性を高める上で大切なのは、量ではなく質を追求すること、だそうです。
会議も残業も、量ではなく質をコントロールすべきであり、成果も、成果の絶対量ではなく成果の出し方(=労働の質)を追求すべきだということでした。
「やる必要がまったく無い仕事」というのは世の中にはあまり無く、どちらかというと「やらないよりはやった方が少しは価値がある仕事」というのが大半で、量を求めるが故にやめられないそういった「ゼロよりマシ仕事」をいかにしてやめるかが重要だという事でした。

最後に、僕はこの本を読んで、自分自身が慢性的な残業生活に陥って家族と過ごす時間をないがしろにしないように、リスクを負い、決断し、生産性を向上できる人材になろうと自戒しました。

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