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出来事

昨夜はたくさん寝た気がする。夢も見なかった。

朝、カーテンを開け仰いだ空が曇りだと安心する。

曇り空は許しの色をしている。


風邪とロボット

今朝起きた瞬間、喉が痛かった。嫌な痛み。

熱が出る前に季節性のアレルギーを装ってかかりつけの内科医院に罹った。お医者はロクな診察もせずに風邪薬とアレルギー薬を処方した。

この病院のそういうところが好き。

お会計の順番待ちをしている間に本棚にあった絵本を手に取ってページを捲った。それはパンどろぼうの本。挿絵が大変に可愛い。

小学生の頃の私は、季節の変わり目に必ずと言っていいほど高熱を出して寝込む体質だった。

風邪を引いた時、母は私の手を引いてS木小児科医院という幽霊屋敷みたいな古い病院へ連れて行った。

院内は昼間でもうっすらと暗い。蛍光灯の光りが心許ない(思い出補正かもしれない)、特に奥にある2階へ続く階段が不気味で恐ろしかった。

その気味の悪い階段には1〜3段目にかけて所狭しと絵本が積み上げられており、患者の子供達はそれを読み放題だった。

そこに「ロボットのくにSOS」という本があった。それが私のお気に入りだった。

大地震の影響でロボットの国の発電機が壊れてしまって、国中のロボットが停止した。

唯一旧式のゼンマイロボットだけが、電力がなくても動くことができたので、地上にいる博士の元へ助けを求めた。

ロボットは博士と少年と共に、地下600メートルにあるロボットの国を救うために冒険に出る。

ロボットのくにSOS あらすじ

道中でさまざまな素敵な出会いがあるが、

物語の終盤、ロボットの国の発電機を直すためにはゼンマイロボットの生命とも言える大事な部品が必要であることが判明する。

ロボットは静かに自身の運命と向き合い決意する。

そして、再びロボットの国が動き始める。

この本がたまらなく好きだった。子供ながらにゼンマイロボットの自己犠牲の精神に憧れを持った。誰かのためにその生命を燃やし尽くすことの美しさ。

この本のことを思い出した。

まだ実家にあるだろうか。また読みたい。


腐れ大学生

森見登美彦の新刊が出ていた。

少し前に本屋に行った際に新書コーナーでちらっと見かけた。一応、エッセイを含めて森見作品はほとんど全部読んでいると思う。

今度も長編作品みたい。最近は精神力がすり減っているので「きつねのはなし」とか「宵山万華鏡」みたいな短編集だとありがたかったが。

元気になったら買って読もうと思う。

森見作品との出会いは「四畳半神話体系」から。

高校生の時分にこれを読んで大学生活への期待に胸を膨らませていた。その結果、腐れ大学生の仲間入りをして青春時代を棒に振った。

入学当初はやる気に溢れて瞳を輝かせる若者であった私も後期履修登録を一切合切失念するという失態を犯して以来、キャンパスライフの青写真が真っ黒に塗り潰された。

学友たちがせっせと勉学に励む中、必修科目の合間の長過ぎる時間を持て余した私は気付いたら喫煙所で同じく大学生活から溢れた者たちと一緒にいた。

そのまま転がり落ちるように成績は低空飛行を続けて、大学3年の時になるべく楽をするために学部一ちゃらんぽらんな教授の研究室へと転がり込んだ。

ちゃらんぽらん教授は大変に面白く魅力のある人物だったが如何せんちゃらんぽらんな人だったので、卒論をこれから書き始める私たちを見捨てて海外留学へ行ってしまった。しかも大学の金で。

今でもこのことを恨んでいる。これをネタに高級寿司か高級焼肉を集りに行ってやりたい。そのくらいの権利はあると思う。

そんなこともあったが、私のどどめ色のキャンパスライフは有意義なものだったと思う。あの頃はそれなりに楽しかった。

同じような腐れ大学生に幸あれ。


おまけ(昔の写真)

かわいい看板、なかよし
夜中の白い花

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