痛みと感情を分離せよ!
腰痛をはじめとする、何かしらの痛みを抱えている方は、国民の3人に1人の割り合いと言われています。
腰痛に関するデータだと、腰痛の85%が画像所見等により原因が特定できない非特異的腰痛だそうです。つまり、お医者さんでもよく分からないのが大半だということです。また、腰痛症の80%は6~20週の間に自然寛解し、一年以内の再発症が60~90%と言われています。あまりの痛みにより、休職する方も少なくなく、経済に与える損失は多大で、まさに社会的問題だとニュースでも取り上げられていることもしばしばです。
今現在痛みを抱えている方や、今まで痛い思いをされたことがある方、あるいは今後痛い思いをなるべくしたくない方にとっての一番の薬は、痛みに対して理解を深めることが、早期治癒および痛みを長引かせない、痛みと上手く付き合っていく上でのファーストステップです。
今回は、その痛みがなぜ起きているのか?なぜ医者でもわからないのか?の理由を、『痛みを伝える異なった2つの神経』の視点から解説し、皆さんが自分自身の身体に興味を持つきっかけとなり、自分自身の体を自分自身で工夫したり試行錯誤をしながらセルフでコントロールするきっかけになれば幸いです。
痛みを伝える神経の分類は、前回の鍼灸が痛みに効くメカニズムの中で解説しています。
下記の図を参照して頂きたいのですが、痛みを感じる神経はAδ線維とC線維があり、どちらも温度感覚と痛みの感覚の両方を伝えます。その中でも、痛みの感覚を受容する皮膚の受容器である自由神経終末は、他の感覚器と比べ順応しない、つまり、その感覚には慣れないということになります。
※プロが教える脳のすべてがわかる本 東京女子医科大学名誉教授 岩田 誠監修 ナツメ社 より引用
皮膚の痛みの受容器は慣れないですが、実際に痛みを感じているのは脳ですので、その間にどのような経路をたどって脳に行きついているのか?これが今回のメインテーマであり、痛みの理解に大きく関わる要素になります。脳は、痛みの増幅装置でもあり、抑制装置でもあるのです。
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