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名作探訪 その 1  唯一無二の交渉ゲーム『ボーナンザ』

こんにちは!

ボードゲームデザイナーの山田空太(やまだくうた)といいます。

noteでは主にボードゲームの作り方について書いていますが、今回はボードゲーム 名作探報という新シリーズ。是非皆さまに遊んで欲しい、ボードゲームの紹介記事です。

名作探訪は、以前『とにかくボードゲーム』というブログで紹介した記事に、今の気持ちをプラスしてお届けしたり、新たに記事を書き下ろしたりしています。1990-2015年頃のファミリーストラテジーを中心に、100作を目指してちょっとずつUPしていきますので、夜の読み物にでもしていただけたら嬉しいです。

ボーナンザ Bohnanza

Designer: Uwe Rosenberg
Artist: Klemens Franz
Publisher: AMIGO
(1997)
for 2-5 players
好み:AAA 
時間:20-30分
2人でも:楽しい

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手札の豆カードを畑に植えて収穫するセットコレクション&交渉ゲームです。

カードの交換・譲渡などの交渉は、自由度が高め。「タダでいいからもらって」「タダならもらっとてあげようか」のような不思議な交渉が生まれ、他のゲームにない独特のプレイ感を味わえます。

カードの構成は、6豆は6枚、12豆は12枚といったように、最大枚数は20豆の20枚。枚数の少ない方が価値が高い。カードの裏が、お金(単位はターラー)になっている。

豆はたくさん集めるほど、高く売れます。よくあるセットコレクションの形。例えば、18豆は、3枚で1ターラー、6枚で2ターラー、8枚で3ターラー、9枚で4ターラーで売却できます。

さて、ボーナンザは交渉ゲーム。それも交渉が必然的に生まれるように工夫されています。

・手札の順番を変えてはいけない
豆畑の数が2つしかない
・優先的に2枚以上の豆畑から収穫する

という3つのルールの縛りによって、他プレイヤーと交渉して、カードの交換や譲渡をせざるを得ない。

交渉はかなり自由。そしてそれは、WIN-WINの交渉です。少なくとも、その局面だけを見ればどちらも得をするように見える交渉なのです。

実際の局面を紹介しましょう。

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下段の3種類が、現在、自分の豆畑に植えられているカードです。上の2枚はたった今引いたカード。ルール上、この2枚は必ずどこかの畑に植えなければいけません。

しかし、1つの畑には1種類の豆しか植えられず、自分の畑は満杯です。ということは、自分の畑に植えるために、畑の豆を収穫するか、もしくは破棄しなくてはいけません。たくさん集めてから収穫すると、お金がたくさん手に入るので、今はまだ収穫せずに我慢したいところ。かと言って、破棄するのはもったいない。

そこで、交渉!

「12豆あげるから20豆くれる人いない?え、ダメ?じゃあ18豆もつけるから、いいでしょ?」みたいな感じで。他プレイヤーとカード交換できれば最高だし、そもそも自分に必要がないカードであったら、まだ無償で譲渡する方が良い場合さえあります。そのため、「頼むから、タダで貰ってくれない?お願い」みたいなことも起きます。

初めて『ボーナンザ』を遊んだとき、こんな交渉の形もあるんだ、そんなんもアリなんだ、とかなり衝撃でした。

ちなみに、ボーナンザの平和な交渉は、拙作『枯山水』の譲渡のメカニズムを作るときに参考にしました。譲渡する方が自分は得するっていう交渉の場面を作れないかなと考えていました。

最後まで得点が分からないので、勝っていそうだと思っていても、意外に負けていたりします。でも、そんなに悔しくないゲーム。ゲーム後、のほほんと穏やかな気分になります。『ボーナンザ』が長く愛される所以なのかもしれません。とは言え、ひっそりとカウンティングしながらのガチ勝負も面白い。

セットアップが楽で、インストは簡単、持ち運びが出来て、2人でも楽しめて、コンポーネントに無駄がなく、テーマも秀逸、交渉が楽しくて、豆の収穫が楽しくて、そしてゲームとしてのバランスも優れている、本当に素晴らしいゲームだと思います。

さて、名作探訪シリーズ、いかがでしたでしょうか?もし面白かったら、是非、フォローとシェアをお願いします。

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