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名作探訪 その16 至高の競りゲーム 『ハイソサエティ』

こんにちは、ボードゲームデザイナーの山田空太といいます。

今回は、ボードゲーム 名作探訪シリーズ  その16をお届けします。100作まではまだまだ遠いですが、コツコツと更新していきたいと思います。

ボードゲーム 名作探訪 : 皆さまに是非とも遊んでほしいボードゲーム紹介のシリーズです。1990〜2015年くらいのファミリーストラテジーのゲームを中心として、100作を目指して書いております。

前回の記事はこちらからどうぞ⇩

今日、ご紹介するゲームは『ハイソサエティ』!!!

前回と同じく、ライナー・クニツィア作の競りゲーム。短時間で手軽に遊べるふりをしているけれど、濃密で奥が深い。クニツィアのゲームの中で一番好きなゲームです。

ハイソサエティ High Society

Designer: Reiner Knizia
Artist: Madden Alvin, Yusuke Mamada
Publisher: Ravensburger, New Games Order
(1995)
3-5人
好み:AAA 
プレイ時間:30分

いきなりですが、ぼくは、これまでドイツのボードゲームを遊んできて、3度、衝撃を受けました。

❶10歳のときの『スコットランドヤード』。これは、はじめて遊んだドイツゲームでした。子供ながらに衝撃だったんですよね。こんなゲームがあるんだって。

❷30歳のときの『カルカソンヌ』と『ニムト』!この2つは、約20年ぶりにドイツゲームを遊んだゲームです。再会したときの衝撃です。自分の知らない20年の間に、たくさん面白いゲームが作られていたんだというショック。ここからリアルタイムでボードゲームを追いかけるようになりました。

❸そして、この『ハイソサエティ』。面白いボードゲームをたくさんプレイしてきた中で遊んでも、1番の衝撃。他にも、『チグリス・ユーフラテス』とか『インペリアル』とか『コンテナ』とか『エルグランデ』も『カタンの開拓者たち』もそうなんですが。1つ選ぶなら『ハイソサエティ』かもしれません。

最初の2回は、未知のものであったドイツゲーム全体に対しての衝撃でありましたが、純粋にゲーム単体で最も驚いたのが、『ハイソサエティ』でした。

海外版は昔から持っていたのですが、なかなかやる機会がなく積んでいました。

ルールだけ読むと、結構王道な競りゲーム。全プレイヤー同じ手札11枚(お金)を持って、勝利点となるオークションカード全16枚を競り落とします。マイナス点のカードもありますが、これは競り負けた人が取らされます。ゲームの終わりは、特殊なカード6枚のうち4枚目が場に出たとき。つまり、いつ終了のトリガーがひかれるか、ドキドキ。

そして、特徴的なのは、たとえ勝っていても一番お金を使った人は脱落。尻切れトンボで終わりそうで、イマイチなんじゃないだろうか。ルールだけでは、あまり良い印象を受けなかった‥‥‥。

New Games Orderさんからリメイクされて発売されたのを機に遊んでみました。

で、遊んでみたらすごかった・・・!

たった16枚のカードを競り落とすだけなのに!しかし、このすごさを説明するのは難しいのです。なぜなら、斬新なメカニクスが使われているとか、圧倒的にオリジナリティがあるとかそういうのではありません。コンポーネントが凝っていたり、何かの賞を受賞していたりとか、大作とかでもありません。

ゲームの完成度が恐ろしく高い・・・ということなのですが‥‥。相手のことを考えないと勝てないゲーム相手のことというのは、相手の手札(秘匿情報)や獲得したカードを考えるというのはもちろんですが、このゲームでは相手の性格や力量までを推し量らないといけないのです。

「ここで上乗せされてきたら、自分は負ける。だけど、上乗せしてこないはず‥‥、あなたそんな博打はしないでしょ」みたいな。そういう腹の探り合いがずっと続くのです。ゲーム中、ずっと痺れる。

最近のゲームは、場に対しての最善手を考えれば良いというゲームが増えています。インタラクションはあったとしても、自分の手の中での最善手を探す方が優先されます。

ハイソサエティはちょっと違う。自分の中の最善手というものが存在しない。なぜなら勝敗は全て相手との関係性において決まるから。そりゃそうなんですが‥‥‥。

ある程度のカウンティングが必要だし、常に相手の手札や山札の残りも把握しておかないといけない。刻々と変わる戦況への対応が、単に相手の持つゲームの中のリソースにとどまらない。相手の知能や度胸も含めたリソースとの勝負みたいな感じになります。えげつないゲーム、最高。

どうやってゲームデザインされたのか、全然想像がつきないゲームです。お手上げです。

今日のnoteは以上です。

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👇New Games Orderさんから出版されている、ぼくがデザインした『枯山水』もぜひチェックしてみてください。

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