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人的資本経営のフィールドでアオアシのように首を振り続ける

結局、対話。

現代思想から教わる差異

現代思想入門を読んだ。キーワードは二項対立の脱構築

入門書の入門だけあって、読みやすくわかりやすい。ざっくり大胆に見えて繊細にポスト構造主義を語る。ようやく近代の哲学の流れの全体感が把握できた。現代思想は差異に注目する。

二項対立の扱いは最近の自分の人生観の一つのテーマでもある。

私は1on1や対話において、いい・わるいを判断しないことを心がけている。むしろ、積極的にいい・わるいは一旦置いておこうと促す。この差異を発見する行為が対話だとこの本を通じてさい認識した。

対話は同調ではない。雑談でもない。相手に対してわかると気持ちを伝える行為でもない。ディベートでもない。特にディスカッションではない点に注注意したい。議題を解決する結論をとりあえず出すという行為は避けたい。

1on1ではなく2on2の対話を試みることで組織の適応課題に向き合う方法
https://note.com/bobmgmt/n/n9d7a3aef9b73

なんでもかんでも判断してしまう。問題解決を計ろうとする。言葉をかわす回数が少ない分だけ、いったんジャッジしてしまう。特に対人関係だと。あの人はそういう人だからと。

決めつけているわけではない(無意識)が、決めつけないと不安(思い込み)なのが人間。人間って、そういうところあるかも。あなたがではなく人間が、という主語の使い方で話を進めることがよくある(注:仮説)。

この行動は仮止めの意識が大事。結論は時間軸で語ると常に途中との気づきを本書では得ることができた。その上で「差異バンザイ」な差異よりの思考にも注意したい。サカナクションの新宝島ステップのイメージで揺れる。

「対話が決め手」とエンゲージメントを促す流れ

「対話が決め手」実践エンゲージメント読本 ~心理的安全性の高いチームをつくる~を読んだ。

組織に対して貢献したい気持ちをエンゲージメントと定義。これを高めたい。なぜか高めたいかというと、制度設計が必要なほど人的資本経営の流れ(ISO30414)があるからだ。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

引用:経済産業省 人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html

人を「資源」ではなく「資本」と捉える。コストでも人材でもない。この確保に努めることが企業側に求められている。だからエンゲージメントの話になる。本書では、その言葉の定義とそのための対策を提案している。

ゆるブラック企業」なる言葉も登場。働きやすいけどやりがいがない。仕事の意味を見失わないようにするにはどうすればよいか?このやりがいと成長を満たすキャリア自律を促す支援が必要な状況なのだ。

「対話」とは、お互いに分かり合えない部分を知ろうとするコミュニケーションです。極端な言い方をすれば、「対話」とは、話し合うことでお互いの「違いやズレ」を探す、「違い探し」をするコミュニケーションと言っていいかもしれません。

引用:「対話が決め手」実践エンゲージメント読本 ~心理的安全性の高いチームをつくる~
p.30

情報伝達がしやすい時代だからこそ、人間関係が築きにくい。だからこその対話。ポイントに「違いやズレ」をあげている。二項の発見。その差異をまずは認識しようと捉えた。

そうなると、スタート地点は互いの価値観を知ることが大事となる。まず、あなたとわたしは違う。この当たり前の再構築から全てを始めたい。

自分を知ることも大事となる。それが認識できた状態で深掘りすると、あなたはあなた。わたしはわたし。だけど、チームだよねの合意を構築できるのだろう。

これが、チームエンゲージメント。そのためにはマネージメントとなり、マネージメントの負荷の高さと認識の改めが必要となる。さて、これが実際に実現できるものなのだろうか?(本書では自社製品を提案)

管理のグレーゾーンを逸脱する

哲学と人的資本経営より、人の思考の歴史と社会の流れが見えてきた。あとは実践だとなり、人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書を読んだ。著者はさきほど紹介した冊子のNEWONEの代表取締役社長だ。

レポート「人的資本経営の潮流と論点 2022」(p.4)の図を引用し、様々な立場から求められている概念だと知る。強みを具体化し「適能適所」となるマネーボールのようなチーム経営責任者(TMO)が必要と説く。

ここでもまた中間管理職の負担が書かれている。昔のマネージメントの考えにある今あるリソースでどうするか(監督のような立場)が問われてきた。これは縦の板挟みにあう。提案しているのは横のトップの関係だ。

つまり、今日リーダーシップと語られてきた役割がベースとなる。ポジションではなくポーダブルスキルとして、人的資本の観点で行動することが求められていると捉えた。

その実践の選択肢を7つ言語化している。自身にあてはめると「チームの人的資本と経営戦略をつなぐ能力」を活かしたい。経営陣とメンバー間のステークホルダーとなる立場を目指しているので。リンクメーカー。

結局ここでも二項の関係性なのだ。うまくいかないAとBの塊があって、それをほぐす役割が求められている。どっちがいい・わるいじゃない。AとBがどういう状態なのかを認識し新しい項を生み出す。

まるで矛盾を抱え時間軸でもって解決へと向かう経営そのものだと思えた。だから、チーム経営責任者となるのだろう。

グレーゾーンのゆるみはチームの解釈次第

まとめると、「モレなくダブりなく」でAとBの二項を並べたとして、きっと漏れている箇所・見えてない箇所が人と人の間にはある。共通項を探すのではなく、「違いやズレ」を発見することに意識を向けたい。

実践本より、対話はその選択肢の一つ。資本のレバレッジポイントを探すには、経営視点の眼が必要になる。対話を通じて差異を発見する必要がある。そして、仮止めの解釈が求められる。

解釈
1.文章物事思想などの意味ときあかすこと。自身の判断力に照らして理解すること。

引用:「解釈」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 https://www.weblio.jp/content/%E8%A7%A3%E9%87%88#:~:text=%E6%96%87%E7%AB%A0%E3%80%81%E7%89%A9%E4%BA%8B%E3%80%81%E6%80%9D%E6%83%B3%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AE,%E7%85%A7%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%A6%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%80%82

つまり、人的資本経営には解釈が求められる。解釈はマネージメントな立場の人によく求められていたこと。今度は、その解釈の立場を流動的に回す必要があるのではないか。

どっちでもないように見える。どっちともとれる。誰かに委ねるとルール作りになってしまう。そこで、そのチーム内で責任でもって自分で解釈すれば、チームとしての解釈で落ち着くはずだ。個では解釈が暴走をする。

今まではマネージメント(管理者)側一人が解釈の責任者だった。責任と解釈の最終門番はあれども、人的資本の解釈の責任者はチームへ委譲することがマネージメントの責務なのかもしれない。

それ、勝手な決めつけかもよ?より、誰かではなく自分・チームと捉える。

解釈の余地は伝統的木造建築物のように、ある程度のゆるみがある。きっちりとAかBかを決めるより、ゆるみをそこれそいい感じに捉える。上が決めてくれではなく、私たちが決める。管理者は管理のゆるみを提供する。

こうなると、柔軟な判断力がチームに求められる。まるでアメーバ経営のようにチームが法人としての個となり責任となる。

解釈の学習サイクルを継続するためには、お伺いするチームではなく、すでにやっている。その状態をよしとしているチームづくりが必要なのだろう。

チームへの責任委譲のわかりやすい例は、直感的にはファシリテーターたらい回し作戦が思い浮かぶ。誰かが決まってやっていたことから、みんなでやってみること。それができる環境であれば解釈し続けるチームになる。

フィールドの俯瞰の目を持つ

アオアシ6巻より、サッカーは3人のトライアングルフォーメーションが基本らしい。個の爆発力は大事だが、チーム内で試合に応じて流動的にトライアングルが発生する。

このトライアングルフォーメーションを一つのチームと捉えると、そのチーム間の越境が必要で、役割もコロコロ変えていく必要がある。人の関係性(チーム)の価値を最大限に引き出すのはスポーツから学びがありそうだ。

中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方が人的資本経営で問われている。スポーツで勝ち続けるチームはチームの解釈と個の解釈が腑に落ちているのではないか。

エースは必要だが、エースを支える場も必要だ。日替わりヒーローの誕生が理想的だろう。仕事の場(フィールド)においても、全員物語の主人公でいてほしい。クラブ経営も監督が求められることも変化している。

人的資本経営も今この状態なんじゃないかと思えてきた。

サッカーの監督はフィールドを俯瞰する。11人の枠を超えて、戦う他チームの11人を見る。ベンチのメンバーをみる。時には、スカウトや経営に関わる。マネージメントの世界も 鷹の目(イーグルアイ)が必要だ。

これからも、フィールドで首を振り続けたい。

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