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カメラの前でどう話すか?

8.カメラの背後には大勢の人がいる

 社会的に責任ある立場のリーダーはカメラの前で話す機会も多いでしょう。テレビのインタビューでも、企業PR用のビデオ収録でも、基本的な心構えは対面のコミュニケーションと変わりません。カメラの背後にいる相手(オーディエンス)をどこまで意識して伝えることができるかに尽きます。

 しかし、カメラと直面しながらオーディエンスを意識するのは意外に難しいものです。1対1の会話と同じようにはなかなかいきません。バーチャル会議について前回述べた留意点の多くはインタビュー等にも当てはまりますが、さらに以下の点にも気を付けたいところです。また、録音や録画を活用して、自分の語りを客観的に見直すこともおすすめします。

① 原稿を読む場合には、自分の言葉として消化し直す。書き言葉のまま話さない。AIロボットのように単調な読みをしない。逆に、サービス精神を発揮しすぎて変なリズムも付けない。一見アドリブと思われがちなメディア機会も、実は音読(または暗唱)で伝えることが多く、重要な場面ほど音読の割合は高くなる。
②重要な情報を伝える場合など、原稿を正確に読み上げる必要がある場合は堂々と読む。顔を上げる時にはしっかり上げる(中途半端なカメラ目線はコソコソと悪いことをしているような印象を与えてしまう)。プロンプターを使っても良いが、視聴者にとっては話し手の視線が気になるので、プロンプターの使い方に習熟し、目が文字を追っているように見せない努力が必要。
③テレビのインタビューやビデオ収録の場合、後で編集されることを前提に話す。1つ1つの文章を短く切って話す。意味のまとまりごとに少し間隔(編集用の糊しろ)を空ける。自分の発言がどうすれば正確かつ魅力的に「切り取られるか」を考えながら話す。重要なメッセージについては、10秒、20秒といった長さに応じたサウンドバイトを事前に準備し、話の中でこれらを使い分けながら繰り返す。
④ 取材やインタビューの場合、質問者が発する否定的な言葉を自分で繰り返さず、ポジティブな表現に変換して伝えるようにする。売り言葉に買い言葉は絶対に避ける。マイナスのイメージほど聞き手の脳裏に刻まれやすいもの。特に、危機対応時のメディア対応では本来の人格が出やすいので十分に注意する。

(つづく)

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