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新任ブランドマネージャーたちと楽しく過ごしました。

先週は日本能率協会JMAさんで「新任ブランドマネージャー入門セミナー」という公開セミナーを行いました。主に食品メーカーやビール会社など消費財メーカー11社から新任ブランドマネージャーの方々が参加してください、朝から夕方まで1日、ブランドマネージャー業務についてお話しました。どの参加者もとても優秀で「さすが幹部候補生として、若いうちにブランドマネージャーを任されるだけのことはある」と感心しました。

僕は2002年に「ブランドマネージャー(経済界)」という小さな新書版の書籍を出版したことがきっかけで現在の仕事をしています。この本には、当時、僕がブランドマネージャーとして取り組んだ実際の仕事をベースに、文字通り「生きた現場の話」を書きました。興味深いのは20年前と現在とでブラマネ業務そのものは大して変わっていないことです。もちろん手法的なものは大きく変化・進化していますが、モノの考え方・ブランド価値の高め方など「本質」は当時も今も同じです。もっと言えば、1931年に世界初のブランドマネージャー、ニール・マッケロイが記した「ブランド担当者の職務と責任」の内容からもそれほど離れていません。ここにはブランドマネージャーが把握すべきデータ、なすべき任務、ブランドを管理するチーム(特に営業部)とのあり方などが書かれています。セミナーではこのメモも紹介しました。驚きなのは90年も前のメモ書きがいまでも精彩を失わず「活用可能」だということです。これなども本質に通じるものであることを示しているからです。さらに余談をするなら、このマッケロイのメモ書きが1929年の株価暴落から続く大恐慌時代に出てきているのも興味深いと思います。当時、米国でもモノが売れなくなり、富裕層は没落し、失業者が1000万人以上も出た時期でした。このメモ、そしてブランド・マネジメントは経済的危機のなかで体系化されたとも考えられます。

セミナーでは最後にブランドの毀損問題についても話しました。ビッグモーターやジャニーズなど強いブランドが一瞬で崩れ去る時代。そこまでではなくともSNSでの炎上が絶えない環境です。倫理を欠いた行動や舌禍、消費者を大事にしないマーケティング手法に批判が集まりやすく、先輩たちが築いてきた信用や信頼もあっけなくなくなってしまう。「そのような状況で現在、会社はどのような取り組みをしているか」「または過去に起きたブランドの危機においてどのような対処をしたか」。このような話は単なるブランドマネージャー入門の枠を超えて意味のあるものだったと思います。