水野与志朗/ブランドコンサルタント、ビジネス書の著者

有名食品メーカーや海外企業のブランドマネージャーなどを歴任。それまでの経験をまとめた書…

水野与志朗/ブランドコンサルタント、ビジネス書の著者

有名食品メーカーや海外企業のブランドマネージャーなどを歴任。それまでの経験をまとめた書籍「ブランド・マネージャー」の出版をきっかけに2005年に独立。200以上のブランドをコンサルティング。 https://www.bmwin.co.jp/index.html

マガジン

記事一覧

ゲームを再定義するアプローチ

「ふとるがかち」という言葉をご存じでしょうか。これは「不取るが価値」と書きます。顧客には「不」という字がつくものがたくさんあります。不安、不満、不便、不都合、不…

人材育成について

人的資本という言葉がいわれて久しいように感じます。今回は「人材育成」について話しましょう。企業の大きな課題ですね。この前提には「持続的な成長と成功には人材育成が…

解決不能な課題に取り組む事業責任者

「事業の立て直し」という言葉を聞いてワクワクする事業責任者は一定数いるように思います。僕自身もマーケ部長だった頃からそうでしたし、いまでも心躍る案件はこれです。…

あらためてコロナ後のいま

もはや「コロナ」も一昔前の感がありますね。先日、「コロナ禍前後における価値観の意識調査結果」というプレスリリースを拝見しました。次のように報告されています。『コ…

ブランド投資の対象になるもの

魅力的価値という言葉をご存じでしょうか?拙著「The Concept/一生使えるコンセプトの教科書(水野与志朗著/KDP出版)」で紹介したものです。ブランド投資をするコンセプ…

インサイト/顧客の価値観

今回はインサイトの話を少しばかりしましょう。ブランドが成功し繁栄しつづけるには製品ありきの発想や、言いたいことを一方的に言う売り手主体のコミュニケーションを戒め…

ブランドの持ち味・らしさ

今回はブランドについてあらためて述べましょう。ブランドは城壁に似ていると思います。競合と明確に差別化し、守りを固め、かつ城内にいる顧客(既存顧客)に安心して使い…

事業計画、マーケティング計画のコツ

いまの時期、今年の事業計画やマーケティング計画を考えるひとも多いと思います。会社によって置かれている状況は様々でしょうが、この段階での共通の課題は「筋のよい戦略…

多幸感とは何か

今年最後のnoteです。 先日、社内の忘年会(望年会)をしました。近所に出来たビストロでご馳走を食べワインを飲み、楽しく話しました。今年はとても忙しかったですが、素…

攻勢終末点を考える

NHKオンデマンドで「英雄たちの選択」をよく見ます。磯田道史先生と杉浦友紀アナが司会をしている歴史番組です。先日「幕末最強!庄内藩の戊辰戦争〜徳川四天王・酒井忠次の…

共助資本主義というビジョン

日経新聞でサントリーホールディングス社長の新浪剛史さんが経済同友会代表幹事として語る記事を見ました。そのなかで心に響く一節があったので紹介します。「経営者は自社…

パワハラと価値観

先日、ある大手企業の経営幹部の方から「子会社のゼネラル・マネージャー(社長)になりました」と報告を受けました。「おめでとうございます」と言うと「それが大してめで…

コーポレイト・ガバナンスについて

オープンAIのサム・アルトマンCEOの解任劇が世間を騒がせています。「米オープンAIの社員らは20日、取締役会(理事会)に総退陣を求め、解任したサム・アルトマン氏らを復…

ビジョンを実現させるといいますが、本当はビジョンしか実現しないのです

今回は「ビジョン」の話をしましょう。先日、「企業ブランド戦略・経営入門(ミリオンパブリッシング)」の著者、西尾順さんと話していて興味深いことをおっしゃっていまし…

デジタル時代のブランディング

先日、中央大学ビジネススクール名誉教授の田中洋先生から興味深い話を聞きました。「デジタル時代のブランディング」についてです。かつてマス広告隆盛の頃のブランディン…

生活に定着するブランド

僕たちの日々の生活は「見慣れたブランド」で成り立っています。例えばキッコーマンの醤油、キューピーのマヨネーズ、カゴメのケチャップ。それ以外にもたくさんあります。…

ゲームを再定義するアプローチ

「ふとるがかち」という言葉をご存じでしょうか。これは「不取るが価値」と書きます。顧客には「不」という字がつくものがたくさんあります。不安、不満、不便、不都合、不経済。これらの「不」を取り除いてあげると「価値が生まれますよ」つまり「お金がもらえますよ」という意味です。僕はインサイトのコツは「不」を見つけることだと考えています。目の前の顧客をじっと見て「あなたはこれに困っている(不)でしょう」と見抜くことです。これはビジネスの普遍的なアプローチだと言えますが、長くその仕事をしてい

人材育成について

人的資本という言葉がいわれて久しいように感じます。今回は「人材育成」について話しましょう。企業の大きな課題ですね。この前提には「持続的な成長と成功には人材育成が欠かせない」という信念があるように思います。実は人的資本という言葉が登場した頃、「なにをいまさら」「そんなの当たり前じゃないか」と思ったものです。その理由はこの信念が僕の中にもあって、あまり新しい概念に聞こえなかったからだと思います。しかしあらためて人材育成を見直す機会にはなりました。もちろん人的資本の視点で経営を見る

解決不能な課題に取り組む事業責任者

「事業の立て直し」という言葉を聞いてワクワクする事業責任者は一定数いるように思います。僕自身もマーケ部長だった頃からそうでしたし、いまでも心躍る案件はこれです。何がこんなにワクワクするのか。その根幹にあるのは「純粋な挑戦」でしょう。事業責任者の重要な資質だと思います。彼らが定義する成功とは「不可能と思われることを克服すること」「解決不能と思われてきた課題を解決すること」です。時には敢えてそのような役をかってでる人もいる。どうも成功体験を積んだ人ほどそのような傾向があるのではな

あらためてコロナ後のいま

もはや「コロナ」も一昔前の感がありますね。先日、「コロナ禍前後における価値観の意識調査結果」というプレスリリースを拝見しました。次のように報告されています。『コロナ禍後はコロナ禍前より、食品や衣服などを購入する際に「話題・トレンドのもの」「華やかなもの」よりも「暮らしに欠かせないもの」「長く使えるもの」を重要視する傾向が増えた。その理由として、「一過性ではなく、本質的な価値を求めるから」が最も多い(味の素株式会社調べ。PR TIMES、1月30日)』。この調査結果はいまの生活

ブランド投資の対象になるもの

魅力的価値という言葉をご存じでしょうか?拙著「The Concept/一生使えるコンセプトの教科書(水野与志朗著/KDP出版)」で紹介したものです。ブランド投資をするコンセプトは魅力的価値を備えてなければなりません。そこらへんにあるようなアイデアやコンセプトに投資しても、そもそもブランドになどなりません。魅力的価値を簡単に説明すると「これまでも不便ではなかったが、これが出てきて生活が変わった。いままでのものが古く見える。こんな便利なものを知ってしまったら、もう昔には戻れない」

インサイト/顧客の価値観

今回はインサイトの話を少しばかりしましょう。ブランドが成功し繁栄しつづけるには製品ありきの発想や、言いたいことを一方的に言う売り手主体のコミュニケーションを戒める必要があります。そして顧客の価値観を大切にしたマーケティングを行うことが重要です。なにをいまさらと思うかもしれませんが、出来ていない会社は多いと思います。売り手主体のコミュニケーションは個人的な状況を考えるとわかりやすい。ひとは自分の価値観に基づいて相手に話しかけるものですが、相手の価値観がこちらと違っていれば、それ

ブランドの持ち味・らしさ

今回はブランドについてあらためて述べましょう。ブランドは城壁に似ていると思います。競合と明確に差別化し、守りを固め、かつ城内にいる顧客(既存顧客)に安心して使い続けてもらうものです。強いブランドとは厚みのある高い壁に喩えられるでしょう。イメージされるのは顧客のマインドに独自性や特徴が際立っている状態。これが堂々とした、文字通り「際立った城壁」であればまずは安泰です。逆にもし城壁がなければ、またはちっぽけな壁なら、易々と競合に攻め込まれ、顧客を奪われる。どのような事業であっても

事業計画、マーケティング計画のコツ

いまの時期、今年の事業計画やマーケティング計画を考えるひとも多いと思います。会社によって置かれている状況は様々でしょうが、この段階での共通の課題は「筋のよい戦略を見つけること」です。そこでマーケティングの計画では実際にどのようなことに注意したらよいか、そのコツを順番に紹介しましょう。これはどんな事業にも当てはまります。B2BもB2Cも同じです。では行きましょう。まずは市場を俯瞰するステージです。最初に思い浮かぶのは「物事をギリギリまで単純化する」です。データでも情報でも「目に

多幸感とは何か

今年最後のnoteです。 先日、社内の忘年会(望年会)をしました。近所に出来たビストロでご馳走を食べワインを飲み、楽しく話しました。今年はとても忙しかったですが、素晴らしい年でした。来年も素晴らしい年になります。特に12月は毎日のように新しい相談が持ち込まれました。おそらく僕たちのようなブランド戦略などというニッチな分野を専門にしているコンサルティング会社としては、かなり恵まれていると思います。支援先企業のみなさまには感謝してもしきれず、いつも「ありがとう」と思いながら眠りに

攻勢終末点を考える

NHKオンデマンドで「英雄たちの選択」をよく見ます。磯田道史先生と杉浦友紀アナが司会をしている歴史番組です。先日「幕末最強!庄内藩の戊辰戦争〜徳川四天王・酒井忠次の遺伝子〜」を見ました。「幕末の戊辰戦争。奥羽越列藩同盟の中で唯一、新政府軍に勝ち続けた庄内藩。立役者となった二番大隊長・酒井玄蕃は徳川四天王・酒井忠次の末裔。その強さの秘密と選択とは?(NHK番組ウェブサイトより)」。庄内藩は酒井玄蕃を指揮官に、新政府軍に連戦連勝を続けます。しかし他藩は次々降伏し、残るは庄内藩だけ

共助資本主義というビジョン

日経新聞でサントリーホールディングス社長の新浪剛史さんが経済同友会代表幹事として語る記事を見ました。そのなかで心に響く一節があったので紹介します。「経営者は自社を良くするとともに、世の中から評価されることが何かも考えるべきだ。経済人だけでなく社会的企業やNPO法人の方々とも連携し、社会課題の解決に関わる。同友会ではこれを『共助』と呼んでいる。企業が社会課題の解決を支援し、社会から信頼されれば企業価値を高めることにもつながる。これは資本主義であり、日本がめざす共に助け合う社会だ

パワハラと価値観

先日、ある大手企業の経営幹部の方から「子会社のゼネラル・マネージャー(社長)になりました」と報告を受けました。「おめでとうございます」と言うと「それが大してめでたくもないのですよ」と真剣な顔で言われました。「子会社でいくつかのパワハラがあって調査をしてみるとたくさんあることが判明しました。これはもう組織文化を変えるしかないという話になったのです。私が行くのはそのためです」。18年も前にブランドのプロジェクトをご一緒させてもらい、いまでは経営幹部にまで上り詰めた方です。当時はプ

コーポレイト・ガバナンスについて

オープンAIのサム・アルトマンCEOの解任劇が世間を騒がせています。「米オープンAIの社員らは20日、取締役会(理事会)に総退陣を求め、解任したサム・アルトマン氏らを復帰させなければ、自分たちもそろって退社すると迫る文書を提出した。770人いる社員のうち、すでに9割超にあたる約730人が署名した。人工知能(AI)の有望企業をめぐる混乱は社員の「反乱」という重大な局面に発展しはじめた(日経新聞11月21日)」。コーポレイト・ガバナンスの最新事例のような記事で、僕も興味深く見てい

ビジョンを実現させるといいますが、本当はビジョンしか実現しないのです

今回は「ビジョン」の話をしましょう。先日、「企業ブランド戦略・経営入門(ミリオンパブリッシング)」の著者、西尾順さんと話していて興味深いことをおっしゃっていました。「経営者のビジョン、社長ならみんなもっていると思っていましたが意外と不鮮明で不明確でフワッとしていて「幼少期に描いていた経済的豊かさ=なんとなくの幸せや憧れ」でしかないことに、この15年間5000社の社長様とお話ししてきてビックリしました。特に、次世代リーダーが育てられない社長様にビジョン不足が顕著に表れる気がしま

デジタル時代のブランディング

先日、中央大学ビジネススクール名誉教授の田中洋先生から興味深い話を聞きました。「デジタル時代のブランディング」についてです。かつてマス広告隆盛の頃のブランディングではブランド・イメージが大事でした。例えば「マルボロといえばカウボーイ」というように「メタファー(喩え)」を使うことでイメージ上の差別性を作り出すのが主流でした。この考えは現在のデジタル時代でも通用する普遍的なものだと思いますが、デジタル時代のブランディングでより重要になるのは「経験化」「信号化」「理念化」だと田中先

生活に定着するブランド

僕たちの日々の生活は「見慣れたブランド」で成り立っています。例えばキッコーマンの醤油、キューピーのマヨネーズ、カゴメのケチャップ。それ以外にもたくさんあります。僕は「昔から変わらないもの」が好きなので、家には昔ながらのブランドもたくさんあります。例えばS&Bのテーブルコショー。何気ないコショーですが、味も香りも形態も日本独特じゃないでしょうか。家でインスタント・ラーメンを食べるときは必ず使います。ちなみに、ガリガリとミルで挽くブラックペッパーもあるけれど、インスタント・ラーメ