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情報交換や意見交換がもたらすもの

ビーエムウィンには相変わらずブランドの相談が持ち込まれています。最近の課題感として、マーケティングマネージャーやディレクター(部長)の方はブランドの価値の再確認やマーケティングプロセスにあるボトルネックの発見と対策。そこには競争環境の変化によってリブランディングが求められていることがあります。一方、ブランド・マネージャーや開発担当者の方はイノヴァティブなコンセプトの開発や、その市場導入戦略の検討など。こちらはより未来志向で創造的なタスクですが、しかしその背景にはこれまでの画一的なステージゲートの製品開発では命中率が低くなっていることが挙げられます。新製品の多産多死が多いのですね。このような問い合わせのみならず、ビーエムウィンではご縁のあった企業やマーケターの方のうち「これは」と思う方と、よく情報交換会を行います。外部からみた市場の様子やブランドの感じ、また抱えていらっしゃる悩みに対して「こんな事例がありますよ」「考え方がありますよ」という広い視野や視点の提示をします。みなさん、とても喜んでくださいます。やはり良いタイミングでのチェックや見直し、または定期的なブランドのチェックは健康診断と同じく必要です。

つい先日もオーストラリアでイノベーション・プラットフォーム企業を経営していてビジネスパートナーのP氏と、日頃、懇意にさせてもらっている大手調査会社の統括部長Eさんとで1時間ほどの情報交換をしました。僕は久しぶりの通訳を楽しみました。Eさんからの質問は「いまグローバルで消費財企業が熱心に取り組んでいることはなにか?」。Pさんからの質問は「消費財を中心に日本企業が直面している課題は何か?」どちらも大きなテーマでしたが、その共通の問題意識は「トレンドを知る」ことです。トレンドという言葉はマーケティングでよく使います。企業が対処するべきはまさにトレンドです。トレンドの対義語にファッドがあります。これは一時的な流行とでもいいましょうか、ついトレンドと見間違うことがあるので注意が必要です。例えばコロナ禍の頃、フードデリバリー業界が伸びていましたが、コロナ禍が終わった今ではウーバーの人もあまり見かけなくなったように思います。一方で同じコロナ禍でもオンライン会議はどうでしょうか。リモートワーク自体は減っているものの、オンラインは定着しています。トレンドの難しさは、同じコロナ禍という現象の中に「それが定着するか(伸びるか)廃れるか」の判断が必要なことでしょう。そのような話はやはり人と情報交換や意見交換をするなかで考えをまとめるのがよいものです。

そしてトレンドと判断したものは確実に対処するに限りますね。下りのエスカレーターを逆走しても無駄なように、トレンドに逆らっても(または無視しても)無駄というものです。むしろそれに乗って悠々と成功を楽しむべきなのです。逆にファッドは放っておくに限ります。タピオカドリンクのようなもので一時的には大行列になるかもしれませんが、急速にしぼんでいくからです。つまるところ、マーケティングや経営の仕事とはトレンドを見極めて対処することと言っても良いでしょうね。このような大局的な視点を得るのも情報交換や意見交換の価値だと言えます。