【読書感想文】地方で生まれ,東京で勉強を教えている僕が感じたこと【教育格差】

・教育格差ってほんとにあるの?

最近の僕の中でのテーマは「地方と都心部での教育格差」.18年3ヶ月山口県の田舎で育ち,上京してからの6年間で都内のとある塾で勉強を教えながらなんとなく感じていたことについて,このコロナ渦の中で考えてみようと思った.

 そんな時にたどり着いたのが松岡亮二氏の『教育格差-階層・地域・学歴』という本.なんとタイムリー(僕の中で)な本だ!と思って興奮しながら読みました.

 簡単に内容を説明すると,「家庭環境や地域環境による教育格差って確かにあるよね」ということを裏付ける統計データがたくさん記載されています.教育に関するデータは日本ではあまりないので,こうしたデータを目の当たりにできるのは貴重な体験だったし,「やっぱり!だよね!」と,これまでぼんやりと感じていた教育格差の実態をよりはっきりと認識できた,そんな1冊.

・僕の家の「普通」は普通じゃない?

 僕自身は教育熱心な家庭で育ったという自覚が1ミリもない.というのも,もっと教育熱心なご家庭を目の当たりにしているからだ.「子どもの受験や教育にこんなにお金かけるなんてすげー」と感心したり,「俺も子どもの頃にこんなに金かけてほしかったなぁー」と今になって思うのである.最も,そんな金銭的余裕は我が家にはなかったが(多分).

 でも,うちの地元基準で行くと,我が家は子どもの教育に適した環境整備が相対的に整っていたように思う.何せ僕の母親が小学校の先生だからだ.あ,父親は高卒です(双方に対するリスペクトはちゃんとあります).同級生がどれだけ勉強できるかなんて小学生のときは全く興味がなかったけど,今思うと僕はできる方でした.小学校1年生の頃は算数の問題はクラスで2番目に得意だったし,小学校2年生の頃は百人一首で強い3人組のうちの1人だったし.そんな子どもだったけど「ゆとり教育」にどっぷり浸っている世代なので,自分の学力を他者と比較する機会もないので,自分が勉強得意だなんて気づきませんでした.ま,当時に気づかなくてよかったとも思いますが.多分,気づいてたら僕はとことんサボっていたでしょうから(笑).

 でも,せっかく得意だったのなら,その能力をもっと伸ばせる環境に身を置きたかった,というのも事実.僕は現在中学受験指導を一丁前にやったりしているから,うちのクラスに小学生の自分を放り込んでいたらどうなってたかな,という興味はある.

・地方出身という教育市場における1つの立場

 ・・・とまぁ,こんな感じで自身の幼少時代の経緯を少し書いてみたけど,このように,自身の教育感の基準はどうしても「自分が受けてきた教育」に偏りがちだ.自分が受けてきた教育以外の軸が最近ようやくできつつあるが,どうも中学受験指導をしているせいか,その基準が上方修正されている感覚がある.

 受験界や高学歴になりそうな小・中学生の指導をとことん極めるのも1つの道だとも思っているけど,もっと包括的に教育と向き合った時に,地方に住んでいたり,教育資源に乏しい中で暮らしている子どもに対して上質な教育を提供して,全体の底上げをしたいという気持ちも芽生えてきています.

 田舎でのびのびと育った自分ならではの視点で教育と向き合えるのではないか,そんな風に最近は考えております.

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