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アバターで生きるという文化は思っているよりも世界に定着している話 - スペイン語圏のVTuberアワードから考える -

2022年の配信系のアワードは本当に驚かされることだらけだった。なんせ次から次へと、アワードの受賞項目の1つにVTUBERが追加されたからだ。例えば一般ユーザーの投票によって決定されるThe Streamer Awards配信動画のアカデミー賞とも呼ばれているStreamy Awardsでもだ。The Streamer Awardsは一般ユーザーに、Streamy Awardsは審査員によって選ばれましたが、どちらも最終的にCideMikoさんが受賞する結果になりました。彼女は2020年に英語圏でVTuberはこうでもあって良いという最高の印象をあたえたことや技術の面でも半端ない活躍をしているので、非の打ち所のない受賞者だと思っています。

https://twitter.com/StreamerAwards/status/1502858665812201473 

https://twitter.com/streamys/status/1599599760092299264 

またこのような項目が設けられたのは英語圏だけではなく、東南アジアでもありました。タイ最大の社会表彰式の「THAILAND ZOCIAL AWARDS 2022」や東南アジアの各国の拠点でBilibiliがVCreatorにも授賞式をおこなっています。

https://youtu.be/APSlJd1d03o?t=5530 
https://duniaku.idntimes.com/geek/culture/aditya-daniel/bstation-indonesia-top-creator-award-jadi-sarana-apresiasi-kreator 

じゃあVTuberへの理解が世界的に高いのかと言われれば、それはまだまだで、Dexertoではめちゃくちゃ素晴らしいVTuberライターがいるはずなのに年間の配信者ランキングまとめ動画で"なぜか"VTuber3名の名前と動画を間違える(そうはならんやろなっとるやろがい!みたいな)面白すぎるトリプルお手つきを見せたり、Twitchでも年間のまとめ動画でVTuber(クソデカ主語)をAI呼ばわりして反感をくらったりしました。その後Twitchで活動していたマジモンのAIVTuber「Neuro-sama」に注目が集まりバズりまくったあげくに、TwitchからBANされる事件が起きたのは、一連の流れがあまりに美しくて面白すぎます。

話がそれましたが、ここから本題。

上記で書いたように、様々なアワードでVTuberの項目が設けられているわけで、これはVTuberが手法としてかなり浸透していて、一定の地位を得つつある証拠なのではないかなと、私は思っています。

そんな中でとても面白いと思ったアワードが、スペイン語圏の「ESLAND Awards 2023」で、このアワードでもVTuberの受賞項目が作られました。このアワードの受賞者は一般ユーザーと審査員に選ばれます。賞のレベルは、オスカーやグラミー賞に並ぶスペイン語圏でコンテンツクリエイターの創造性と才能を称える最高の賞です。その注目度は数字にもきちんと表れていて、授賞式の配信が放送中にピークで170 万人の視聴者を達成しています。

※スペイン語圏のVTuberについては過去にまとめたことがあるので読んでみてください!

こんなアワードがあったのかという驚きもありましたが、なにより驚いたのはイベントの流れから参加者や演出など内容に一番驚きました。

※百聞は一見にしかず、スペイン語の配信ですが空気を感じてみてみよう!

https://premiosesland.com/ 

https://www.reddit.com/r/premiosESLAND/comments/z14u01/vtuber_del_a%C3%B1o/ 

まずこのイベントの運用が面白かったです。redditにサブレディットが作られていて、受賞項目ごとに作られたページでどのVTuberが良いのか、皆が提案します。盛り上がりやどんな人がいるのか、透明性があって、リアルタイムに見れるのは非常に面白いです。またVTuber文化とも相性がよく、VTuberが呼びかけることでイベントの認知がされやすい設計になっています。僕も実際にそれで知りました。

その後受賞項目ごとに選出された配信者から、イベントページで投票がおこなわれました。この時点ではWACTORのヒナミソラさんも選ばれていましたが、残念ながら最終候補に選ばれることはありませんでした。

https://premiosesland.com/ 

ちなみに最終候補に選ばれれば、メキシコの現地会場に招待されることになっていました。もし選ばれていたら、ヒナミソラさんがどういう選択をしたのだろうと気になってしかたありません。

つまりこの最終候補に残ったVTuberは何らかの形で現地におもむく手段を考え、VTuberというアイディアに対してどういう思想を持っているかが読み取れるのです。

NIJISANJIやVshojoでは、イベントなどでディスプレイを持ち歩くという形で対応していましたが、それはある程度協力してくれる人間がいてできることでしょう。

https://twitter.com/Sydsnap/status/1542689081372487680 

なので基本的に参加するには、生身でということになります。

しかしそんな手段が限られた状況でも参加者は、三者三様といった感じでとても面白かったのです。

https://twitter.com/Emikukis/status/1609993899786862593 

ラテンアメリカを代表するVTuberエージェンシーOWOZUに所属するEmikukisさんはアバターが現地にいるような写真を投稿しつつも仮面をつけて参上しました。

https://twitter.com/Emikukis/status/1619701216568819712 

右がEmikukisさん。左にいるのはVTuber受賞項目の最終候補に選ばれた1人、VRchatterのKendoMurftさん。日本国内でもわりと名前を知られている珍しい部類の方で、彼のアイデンティティのVRヘッドセットを被って登場しています。

https://twitter.com/Emikukis/status/1619783137307029506 

Nimu Spacecatさんは2022年の後半からちょこちょこストリーミングイベントでスタイルを模索していましたが、最終的にNimuさんの本体で出てきました。司会者のNimuさんの被り物に対する反応もちょっと面白かったです。

https://www.twitch.tv/videos/1722231089?t=00h26m24s 

VRChatter兼VTuberのZilverkさんは素できました。とても清々しい気持ち良さがあります。

https://twitter.com/Zilverk/status/1619763670980120582

VTuberが素顔をだしていることに驚く方が一定数いるかもしれませんが、国内の2.5次元VTuberのように、海外では「VTuber vs IRL」というタグが遊ばれるぐらい、VTuberをやりながらも肉体をさらすことに抵抗を感じない層はわりといます。(もちろんプライベートを守りたいVTuberもいる)

https://twitter.com/bluesura/status/1552604004575694848 

またNimuさんやZilverkさんがこのようなスタイルをなぜ選んだのかは、2人のインタビューを読んでみると納得できます。Nimuさんは、かわいいアニメコンテンツの型をやぶりカジュアルなユーモアで手を汚したいと述べていて、Zilverkさんは、元々VRChatterでしたが視聴者によってVTuberというカテゴリに所属したという経緯があり、両者ともにルートは違っても、とても自由なスタイルなのです。この2人が最終候補に残っているのは、ある意味でそういうところがあったからこそなのかもしれません。

KendoMurftさんとEmikukisさんに関しては詳しいことが調べきれないのでなんとも言えませんが、Emikukisさんは尊敬するVTuberにKsonさんやVeibaeさんをあげているので、もしかしたらこの方も自由なスタイルを好むのかもしれません。

さて話をアワードに戻すのですが、「ESLAND Awards 2023」の演出も非常に粋なものでした。VTuberの受賞者を発表するターンにはいると、司会者がいきなりLive2Dの姿で大画面に映し出されたのです。その瞬間だけは現地にいるVTuberよりも、司会者のほうがデジタルなVTuberをしている光景は、個人的にとてもおかしな光景でした。

https://www.twitch.tv/videos/1722231089?t=04h35m30s 

その後、最終候補者の映像を流していくのですが、その瞬間会場に響き渡る歓声は
「ああ、このVTuber達の人気は実在するものなんだ」と、実感させられました。

そして

VTuberカテゴリの受賞者に選ばれたのは…







Zilverkさんでした!!!!!!!!!!!!!!!
おめでとうございます!!!!!!!!!!!!!!!

https://twitter.com/Zilverk/status/1619827972101525504 

司会者がトロフィーを渡した瞬間の言葉も印象的でした。


「顔を出していたなんて知らなかった」


このように遠く離れた地でも、アバターで、ネットで実在感を持たせながら、生きるという文化は多様性を持ちながら、その裾野を広げていっているのです。次はどこの世界でこの文化が花開くのか楽しみで仕方がないです。



イベントでなんか好きなワンシーン

VTuber達が交流していた1枚

https://twitter.com/Zilverk/status/1619755696668688386 

それにしてもNimuさん、ムキムキすぎでしょ…w


お知らせ1
なんと今年もThe Streamer AwardsでVTuberカテゴリの投票がおこなわれています!
あなたの英語圏の推しVTuberに投票しよう!!!

受賞者に輝いたZilverkさんも参戦NIJISANJIVshojoHololiveも参戦中でマジお祭り!
あなたの宣伝と一票が推しを世界一位のVTuberに押し上げるぞ!!!

投票ページ
https://thestreamerawards.com/nominations

僕はPhaseConnectのPippaちゃんに投票しましたが? 何か???
https://www.youtube.com/watch?v=VGMAUos24ow 
https://www.youtube.com/@PipkinPippa/shorts 

https://twitter.com/bluesura/status/1620578728731639809 


お知らせ2
2022年の国内外のおもしれー音楽系VTuberをまとめたから読んで宣伝してくれ!!
まじで!いま!海外のVTuber音楽が面白くなってるんだ!!!

国内外から見る2022年のVTuber音楽シーン10選 -VTuber音楽ってなんだろう?


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