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vol.28 まちをつかいこなす を、編む<事業用建物編>

「編む、ブルースタジオ」とは
「編む、ブルースタジオ」は、毎回一つのテーマに沿って、住まいのタイプやジャンルを超えて事例・サービスを再編集し、お届けします。いつもの分類とは少し異なる目線から、“役に立つ”だけではない、“大切”なモノ・コト・時間を見つけ出すnoteマガジンです。

「はじめに:編む、ブルースタジオ」より

“まち”は「暮らしの舞台」

あなたの暮らしている“まち”の好きなところはどこですか?

「お気に入りのお店がある」「近くに友だちが住んでいる」
「とにかく都心に近くて便利」「夕焼けの風景がキレイだ」
あるいは、特にないかも…という方もいるかもしれません。

“まち”と一口に言っても、その理由は様々だと思いますが、
ブルースタジオは、大規模な賃貸住宅を企画するときも、個人のお客様の物件購入のお手伝いをする際も、一貫して暮らしの舞台である“まち”の存在を大切にしています。

hoccoのある武蔵野市・桜堤

「編む、ブルースタジオ」vol.28とvol.29では「事業用建物の不動産開発」と「個人向け物件購入」、ブルースタジオが行なっている2つの異なるサービスから、それぞれどのようなプロセスで“まち”を捉えているか、「まちと暮らしの在り方」について考えていきたいと思います。

物件という「点」ではなく、
まちという「面」で見つめる

「事業用建物の不動産開発」の場合、事業者が所有する特定の建物、あるいは土地をもとに企画開発が行われます。

その多くは「老朽化が進んで中々住まわれない」「駅から遠いし周辺には何もない」など、ある種の“先入観”からご相談をいただくことが多いですが、私たちはどんな物件/建物にもオンリーワンの魅力がある、と考えています。
そして、そのポテンシャルを見つけるための鍵となるのが”まち”なのです。

ホシノタニ団地のWebサイトでは、まちの紹介も行なっています。

物件単体でその価値を測ってしまうと、「築年数」「駅徒歩○分」「設備」などなど、物件サイトで検索する際のソートのような項目となってしまいます。しかし、家を探している人は<物件の価値>ではなくて、<価値のある暮らし>を探しているのではないでしょうか。

「家までの帰り道」も「近所の小さな公園」も「休日に過ごす喫茶店」も、
その人にとっての暮らしの一部であり、その舞台となるのは“まち”です。
「暮らしの視野」物件という「点」から、“まち”という「面」で見つめることで、<物件の価値>を<価値のある暮らし>へと転換し、より俯瞰した目線で魅力を発見することができるのです。

“まちあるき”から“まちを見立てる”

私たちは企画がスタートする前に、まずは“まち”のことを深く知るため「まち歩き」を行います。その際に指針となるのがこの”まち歩き8ヵ条”。

1. 裏道を歩け ⼀本裏には「兆し」
2. 街の後頭部を眺めろ 裏と奥は「⽣活環境の本丸」
3. まちを⾒渡せ 地理的特⾊(周囲との関係性)を知る
4. 街⾓に座り込め 街の⾏動観察
5. まちの⾻格を探れ 古道・三叉路に物語あり
6. 朝⼣晩、⼟⽇⽉ 街の異なる顔を知る
7. ⾁屋は街の活⼒ 「今を知る」暮らしを⽀える惣菜屋
8. 呉服店主は⽣き字引 「過去を知る」街の栄枯盛衰を知る呉服店

まち歩き8ヵ条

近寄ってみたり、時には引いてみたり。
ありとあらゆる視点から地域を「観察」し「分析」することで、その“まち”ならではの魅力を「発見」することができます。
まずは自分たちがその“まち”のファンになること、その気持ちを大切に「まち歩き」を行なっています。

話は変わりますが今年2月、佐賀県のJR長崎本線・肥前鹿島駅の空間デザインプロデュース業務において、ブルースタジオがプロポーザルにて採択されました。https://www.bluestudio.jp/bs_news/012923.html

どんな駅がこの“まち”にあるべきなのか、そのエリアビジョンも含めて現在進行形で計画を行なっているのですが、このプロジェクトも例に漏れず、たくさんの「まち歩き」を重ねています。

身軽な格好で赴くままに歩きます。気になったものがあれば少し立ち止まって都度「観察」。
お昼は「名物」よりも、地域住人が日常的に利用している食堂に飛び込みます。
商店街で見つけた地元住人に愛されているお味噌屋さんで、店主の方にお話を聞きました。
時には“まち”の起伏や自然環境をダイレクトに感じるために、自転車で巡ることも。
夜は場末のバーにて、まちを見守ってきたマスターにお話を伺うこともあります。
(この時間になるとほろ酔い状態ですので、写真があまり残っていないことが多いです…)

このように多角的な視点で「まち歩き」を行うことで、その“まち”の日常や、あるいは住人にとっては当たり前すぎて見過ごしてしまっている様々な魅力を「発見」していきます。

そうした「発見」の積み重ねを再編集し、まちを見立てて、エリアビジョンへと昇華させていきます。
エリアビジョンは「点」から「面」という視点に立つために、あるいは“まち”の未来がどうあるべきか、の指針となるために必要な旗印です。

エリアビジョンをつくり、それを設計へと織り込んでいく、その具体的なプロセスについてはvol.7とvol.8でも取り上げておりますので、こちらもぜひお読みください。

「このまちは僕のもの」
と思える“まちづくり”のお手伝い

私たちが何よりも目指していることは、その物件に暮らす人が“まち”を自由に使いこなして楽しむこと。誇りを持ってその“まち”で暮らしてほしいということ。

そしてそれは、各地域に存在する様々な「社会課題」を解決していく道でもあると考えています。
“まち”を楽しむ人が多くなれば活気も増え、そしてその様子はさらなる「共感者」を呼びます。そうやって住人同士のつながりと愛着が強固になっていくことは<若年層の流出><高齢化><地域商店の衰退>などの「社会課題」を解消していく大きな軸となるはずです。

前章で述べた「エリアビジョンを掲げる」ということは、そのまず第一歩。
ブルースタジオは、どんな地域/どんなまちにおいてもオンリーワンの魅力を発掘し、ビジョンを掲げるお手伝いをしています。

ブルースタジオが手がけてきた様々な不動産ストック活用のCaseStudyをご紹介しています。

「このまちは僕のもの」思わずそう叫びたくなるような、その“まち”ならではの「暮らしの在り方」を探すために、今日も日本のどこかを歩いています。

次号では「個人のお客様との物件選び」を通して、よりパーソナルな視点での“まち”について、お送りしたいと思います。

今回紹介した事例についてもっと詳しく知りたい方に

・ホシノタニ団地
portfolio:https://www.bluestudio.jp/portfolio/po000398.html
施設ホームページ:https://www.odakyu-fudosan.co.jp/sumai/mansion/hoshinotani/





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