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subrosa
2019年5月28日 09:33
朝起きたらテーブルの上に書き置きがあった。『俺を捨てるなんて冗談じゃない。悪いけど、しばらく旅に出る。探すなよ。 泣きぼくろ』それは、まるで小学生低学年あたりの男児のような下手くそな文字で。な…泣きぼくろ?!はあ?!ええええええ!!!!!鏡を覗き込んだら、私の右目のそばにあった泣きぼくろがないっ!!どっ、どうしてええええ!!!たしかにとろうとは思ったわよ?小さい頃か
2019年5月27日 10:28
あたしは今、男の左腕と暮らしている。 どうやらあたしだけに見えて、他の誰にも見えないらしい。 太く無骨ではあるけど、若く男らしい腕だ。 剥き出しの男の腕は、恋しさ愛しさを募らせる厄介な部位ではあるが、まだまだ朝晩の冷え込みは厳しい。あたしは叔父の形見の、叔父が好んで袖をとおした嵐絞りの浴衣をほどき、袖付けの部分を縫い合わせ袋状にし、男の腕を袖口にとおしてみた。 腕もおさまりがよいのか、静か
2019年5月27日 08:30
嵐が過ぎ去った翌日、庭に男の腕が落ちていた。左腕だ。 実を言うと、男の腕を拾うのはこれで二人目。どうやら変な能力が私にはあるらしい。 最初、芝の上に落ちてる腕をみつけた時は死んでるのかと思ったが、傷だらけの二の腕をさすると、男はびっくりしたのか飛びついて、私の二の腕をギュッと掴んだ。 私は、傷だらけの腕の力に小さく悲鳴をあげ「大丈夫よ、痛いから離して。」そう腕に声かけた。腕は自分がただの左腕