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タイムレスな家具とともに生きる。Mid-Century MODERN本店にて

時代が変わり、歳を重ねても、心は“それ”に惹かれつづける。

流行りのお手頃なインテリアも増えてきたけれど、本当に暮らす人を豊かにしてくれるのはそんなタイムレスな家具だと思う。

そこで今回は、ヴィンテージ家具の魅力を品川・港南にたたずむ「Mid-Century MODERN」を訪れた。

「Mid-Century MODERN」のこれまで

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 JR品川駅港南口を出て徒歩10ほど。海に向かって、心地よい光が当たる道を歩いていると、小学校から児童の楽しそうな声が聞こえてくる。『Mid-Century MODERN』はそんな“癒やし”があふれる場所に構えている。

「以前は代官山に店舗があったんですよ。そこから倉庫の移転をしなければいけないという事で、倉庫兼物件を探していた中で、この場所を見つけて2017年に移転してきました。落ち着いてて、ええところですよね」

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 朗らかに関西弁で答えてくれたのは、店長の今村有希さん。インテリアショップどころか、アパレルショップもないエリアだが、いまでは街の風景にも馴染むようになった。

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「設立してからは結構長くて、1994年からなんです。当時まだ日本では知名度の低かったイームズのシェルチェアやハワード・ミラーのウォールクロックなど、ミッドセンチュリー期の家具をいろいろと取り扱ってきました。お客様宅への配送や家具修理品などの引き取りも行っています」

6畳間のダイヤモンドチェア

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 初心者も、コレクターも、今村さんに聞けばまず大丈夫というほどミッドセンチュリーモダンの知識が豊富だが、前職は意外なものだった。

「実は吉本興業で芸人してたんですよ。その時は、この店がまだ青山の骨董通りにあって、金もないのにめちゃくちゃ通っていて。のちに芸人やめて『何しようかな』と思っていたところ、ここの募集があったんです。応募してみたら、当時の店長がめちゃくちゃお笑い好きで『君、面白そうだから来なよ』ってことで入れてもらいました」

 ちなみに、今村さんの“ファーストミッドセンチュリーモダン”は、Knollの「ダイアモンドチェア」。一枚の布を身体の形状に窪ませたような座面は、自然と体に馴染む気持ち良さがある。

「学生時代のころから大好きやったんすよ。このお店で出会ったんですが、見た瞬間に『ヤバい!カッコ良すぎる!』って、気持ちを落ち着かせようと店を一回出ましたからね(笑)。で、もう一回入って『買います!』って。当時は金がなくてローンで買ったんですが、6畳あるかないかの風呂なしアパートではバリバリ浮いてましたね。でも、僕的にはいい経験をしたと思っていて、その後家が変わっていっても、これだけは手放してないです」

チェアからオブジェまで、ストーリーを持つ商品たち

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「都内でも一番多いんじゃないですか」と話すほど、各種イームズチェアを揃えているMid-Century MODERN。カラーにして45種類ほどはざっとあるという。買付けをする上でのこだわりはどこにあるのだろうか。

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「まあ、“ミッドセンチュリーモダン”というぐらいなんで、その年代のものがウチの軸にはなってますね。プラスアルファ、僕らが『これかっこいいよね』というものをセレクトして、皆さんに提案しています」

とくに店内を見渡すと目につくのが、「ナウガモンスター」「イームズ ハウス バード&ホエール」といった、それぞれがストーリーを持つオブジェの類だ。

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「まずナウガモンスターですが、もともとは米国のユニロイヤル社が販促のために作ったキャラクターで、“ナウガハイドレザー”というビニールレザーが使用されています。『ナウガモンスターという架空生物が脱皮をすることで手に入る革』ということで、ハーマンミラー社のヴィンテージのイームズシェルチェアでは、このナウガハイドが張られていたりします」

 今村さんはさらに流暢に説明をつづける。

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「あとバード&ホエールですが、イームズ夫妻は世界中を旅する中で、各地の民芸品を持ち帰り、数多くのコレクションを残してきたんです。その中でも、最も気に入っていたといわれるのが鳥のオブジェ。のちにVitra社より商品化されました。ホエールなんかは、ここに置いてあるのは小さいですが、原型モデルは2メートルもあったみたいですよ」

ミッドセンチュリーは時を超える

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 1950年代を中心とした「ミッドセンチュリーモダン」は、自由さ、そして大胆なデザインが特徴であり、それが時を超えて人々を魅了しつづける理由になっている。

「戦争が終わって、経済が発達していく途中だったので、色んなブランドが色んなデザインを作って、“浮かれたもの”も多いんですよ。掘れば掘るほど『こんなん誰が座んの?』っていうものが出てくる(笑)。でも、それはそれでカッコいいんですよね」

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数自体は限られているため、年々価格は高騰し、集めること自体も難しくなってきた。この向かい風をどう捉えているのか聞いてみた。

「ここに来るお客さん同様、僕らも『ミッドセンチュリーモダン』が大好きなので、コロコロ品揃えを変えずに、細く長く続けていきたいなとは思っています。年代が新しくても、面白い、また良いデザインのものもあるので、並行して伝えていければなと思っています」

SHOP DATA

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Mid-Century MODERN


東京都港区港南4-2-26
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TEL:03 -6451-4531

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