見出し画像

ワークシフト


 大きな変化が予想される。漠然と抱いていた常識の多くを問い直す必要があるだろう。今後、どのように働いていくか?お金を稼いでいくか?どのように生きていくか?不安を口にする人々を見かけることも多い。どの業界も見通しがつかない。

 私の働いている医療業界も、少子高齢化、医療費の抑制圧力、医療者や患者さんのニーズの変化など大きな転換期を迎えている。また以前にいた自動車業界も、少子化、車保有率の低下、エネルギー問題、カーシェアリングなどが起きている。未来やマーケットを予想し、自分がしたいことを見つけ、そして、行動していくことが求められている。

 そのような中、ちょうど知人からこちらの本の著者を紹介された。「LIFE SHIFT」を紹介されたが、図書館にあったのが「WORK SHIFT」だったので、こちらを読んでみた。

 変化が起きている、行動しなくては・・・と言っても、どのような変化が起きていて、未来を形づくる要因は何なのか?そして、どのように行動、シフトしていくのか?が分かっておかなければいけない。そこで本書では、未来を形づくる5つの要因と、働き方の3つのシフトを軸に展開されていく。

 5つの要因とは、テクノロジーの変化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化、社会の変化、エネルギー・環境問題の深刻化である。特に、印象に残っているのは、50億人がインターネットで結ばれ、今後、我々は全世界の人々と仕事を奪い合う可能性があること。寿命が長くなり、60歳を過ぎても働き続ける人が増えること。家族のあり方が変わり、仕事の場で接する人の多様性が高まるにつれ、人々は自分自身について深く考えるようになること。エネルギー価格が上昇し、モノの輸送や人の移動を減らす必要性が大幅に高まることなど32の要素を提示し、自分の未来予想図を描くことを提唱している。

 これらの未来を形づくる5つの要因に対して、reactiveに対応して“「漫然と迎える未来」の暗い現実“と、proactiveに対応して”「主体的に築く未来」の明るい日々“について対照的に描き、未来についてイメージできるように工夫されている。漠然と抱いていた不安が何がどのような状況で不安につながるのかがイメージできる。

 そのように未来を予想した上で、働き方においてどのようにシフトするかが最後に記載されている。それには3つある。1つは、“ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ“、2つは、“孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ”、最後に、“大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ“である。

 企業と社員の関係性にも触れられており、これまでの親子関係のような安心感から、大人と大人の関係に変わることも記載あり。もう会社も社員を守れないし、社員も会社に頼っている時代ではないのだろう。これまでより熟慮して、強い決意と情熱を持って自分の働き方を選択しなくてはならなくなる。そのためには、どのような人生を送りたいかを深く考え決断する能力が必要なのである。

 バーチャル化が進む世界では、日々の生活の道案内を得て、自信を持って働き、多忙を極めるスケジュールを乗り越えるための支援が必要になるため、コーチングやケアなどの専門分野の価値が高まることを予想し、経済学者のロバート・ライシュは以下の5つの業種を「有償ケア」と呼んでいる。Computing, Caring, Catering, Consulting, Coaching。これらのサービスを必要とする人々も増える。

 アメリカの医師向けオンラインコミュニティである「サーモ」も紹介があった。サーモは、アメリカで有数の規模を誇る医師向けコミュニティで、全米50州で働く68分野の医師がこのコミュニティを通じて、難しい症例について助言しあい、医薬品や医療機器に関する情報を交換し、患者のケアや病院経営上の問題を話し合っている。医師たちの「群衆の知恵」を活用し、信頼と協力に適した環境を作っている。

 古い約束事“私が働くのは、給料を受け取るため。その給料を使って、私はモノを消費する。そうすることで、私は幸せを感じる”が崩れ始めていると著者は語る。給料のもらい方、そして、消費すること以外の幸せを言及している。

 最終的には、どのように選択していくか明確に記してくれている。“私たちがどういう未来をつくり出すかは、どの会社に勤めているより、一人ひとりがどういう希望やニーズ、能力をもっているかで決まるということ。もう一つは、私たちの仕事のモチベーションを高める上で大きな役割を果たすのがお金と消費ではなく、充実した経験になるということだ。”会社から個人へ決定権がシフトしてく可能性が高まる。

 そのためにも、自分の感情を受け入れ、欠点を率直に認めること。そして、ぬるま湯に浸かったままでよしとせず、リスクを背負い、勇気を持って行動することだ。

 また、自分が大切にしたい要素を優先させる職業生活を送れる生活を送れる場を積極的に探す姿勢が必要。「普通」でありたいと思うのではなく、他の人とは違う一個人としての自分の生き方に責任を持ち、自分で確立していく覚悟が必要。
 勇気と未来感覚の重要性を説き本著は締めくくられている。

 読後感、漠然とした不安に苛まれている暇はなく、自分が好きなこと、やりたいことを軸にスペシャリストを目指しながら、友人や仲間たちと経験を楽しんでいきたい。

MBA(経営学修士)の①フリーランスTZ②会社員TOと③看護学修士|企業看護師のアネモネの3人が日々の気づきをnote発信。フォロー嬉しいです!ヘルスケアと日本を盛り上げます!YouTubeしてます

▶️https://youtube.com/c/MBABlueOceanDojo

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?