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練武知真 第8話『信じる事の大切さを学ぶ為の武術』

武術の修行は「自己の変革」の連続です。

 

以前にできなかった動きが、今はできるようになっている。

自分にはそこまでのレベルは無理だと決めてかかっていたものも、いつの間にか修得し、さらにその先を見据えている。

初めて見た時は神秘的で不思議に思えた技も、今は他の人に教えられ程に理解できている・・・など。

 

身体の使い方に留まらず、

物事に対する捉え方や考え方、

感性や人間性にも変化が生じます。

 

修行を続けているかぎりは、必ず『向上』という変革がその心身に起きます。

スピードの強弱はあっても、その変革は必ず現れるのです。

 

それは武術の素晴らしい長所の一つだと僕は思っています。

 

そして、その為に必要なことはたった一つ。

『継続』です。

 

継続さえすれば、必ず、今の自分より、

より良い自分になれるのです。

 

逆に言えば、どれだけ才能があっても、継続しなければ

向上はそこで止まってしまいます。

 

『継続』は「言うに易し、行うに難し」なのです。

 

では、この『継続』。

どうすれば出来るようになるのか?

 

実はそこに必要不可欠な心構えが一つあります。

それは《信じる》こと。

 

僕の経験上、《信じる》ことは、

あらゆる修行において、絶対に欠くことのできない要素です。

 

僕が老師から教えられた数々の技や練習法。

その全てを教えられた時点で理解できた訳ではありません。

 

いや、むしろ、そのほとんどが、長い年月を練習した果てに

「こういう事だったのか!」

とようやく本当に理解できるものでした。

 

今の自分に理解できなくても、

続けてさえいれば、

いずれ心身で理解できる。

 

その経験が《信じる》ことの重要性を教えてくれたのです。

自分が望み、自分が選び、自分が自主性をもって始めた道であれば、

それを信じて進んでゆく・・・。

 

それが『継続』であり、『向上』という変化を自分に与えてくれるのです。

 

武術界では、

『何年かけてでも、良い老師を探しなさい』

という言葉があります。

 

自分が本当に信じられる師匠を探すことの重要性を説いた言葉です。

 

ここでいう「良い老師」とはどのような人物か・・・。

「高度な技術を身に付けている」、

「人物的に魅力がある」、

「多くの生徒を有している」、

「有名である」

などいろいろと挙げることは出来ると思いますが、

 

最も大切なことは

「自分が信じきることができる」

人物であることだと私は思うのです。

 

さきほど述べたように、

修行過程においては、練習の多くは完全には理解できていません。

そこにある深い意味を理解するには、

自分自身が向上し、一定のレベルに到達する必要があるのです。

 

自分の未熟な経験のみで、今の練習を評価判断して、

「もう十分理解できた」

ましてや

「これは重要ではない」

などと思ってしまうと・・・

 

自分としては先に進んでいると思っていても、

実は中身が薄いものになってしまっているという恐れがあるのです。

 

技を教えてくれる師匠を信じ、

その師匠を選んだ自分を信じ、

先を見据えて進んでゆく《信念》が武術ではとても大切なのです。

 

 

今、何か主体性をもって生きてゆきたいと思っている方。

自分が《本当に信じられる道》を何年かけてでも、まずは探してみては如何でしょうか?

 

多くの情報を集め、実際に体験し、

よく検証し、試行錯誤した先に、

《自分の人生をかけられる道》

を見つけることができたら・・・

 

あとは、その道を選んだ「自分」を信じて進んでゆく。

《信念》という言葉は、《自分を信じる想い》なのです。

 

 

 

2024年3月30日 小幡 良祐

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