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【マレーシア移住】 Dと暫しの別れ

以前の記事でチラッと書いたが、わたしにはDという同い年の男友達がいる。

出会ったのはもう12年ほど前だろうか。

わたしが駐在として働いていた会社の同業他社社長の次男だった。

初めて会った日の週末に前から計画していた「車でタイ国境を越えるぞ」旅に急遽彼も参加することになり、そこでグッと距離を縮めることができてからの付き合いだ。

お互い独身の頃は二人旅もよくしたし、同業他社なのでたまに会って情報交換したりしていたが、わたしが結婚して子供が産まれると、独身のままのDとは少しずつ会う間隔が空くようになっていった。

まあそれも「どうせお互いマレーシアにいるんだから」ということで全く構わなかったのだが、今回はどうやら本当に暫しの別れになりそうだ。

どうせ時間もお金もあるのだから、いつでもオランダにおいでと軽く言ったら「たぶんムリ」と真顔で言われてしまった。

最近は飛行機に乗るのが億劫になり、6時間ちょっとの日本へのフライトすらけっこうな覚悟が必要になってきた、直行便でも14時間ほど掛かるオランダなんてちょっと行けそうもない、とのこと。

えー、我々まだ48歳だぞと言いたかったが、表情からしてもどうやら本気のようだ。お互い歳とったね。

わたしはまだ2週間くらいマレーシアに居るが、Dは木曜からベトナムに遊びに行くとのことで、我が家の移住前に会えるのもこれが最後かもしれない。

いつも通り夕飯を奢ってくれて、いつも通りそこからのコーヒータイムはわたしが払って(夕飯に比べたら微々たるもの)お喋りして解散。

とくに名残惜しい別れという感じでもなかったが、それは「またどうせそのうち会える」という気持ちがお互いにあるからだろう。


Dはこの先も結婚したりしないだろう。

これから誰かと一緒に暮らしたりするには自分の暮らしを確立し過ぎてしまった。
「誰かに合わせるくらいなら一人の方がマシ」というやつだ。

所有するコンドミニアムに自分の会社の日本人従業員(単身赴任)と一緒に住んでいるので、幸いなことに寂しさは紛らわせているようだが、それもいつまで続けられるのかは分からない。

よく「老後は孤独死」と冗談めかして言っているが、その可能性もゼロとは言えないだろう。

12年前に会ってお互い付かず離れずで過ごしてきて、ここで我々の道はまた少し離れる。

この時代だから連絡は簡単に取れるだろうが、これまでみたいに思いついた時に「奥さん実家に帰ったから今夜トンカツ食べに行こう」と誘うこともできなくなる。

もう新しい人と知り合うことに気力も体力も使いたくないDの交友関係はきっとこのままだろう。

商才はあるからお金に困ることはないだろうが、体力が落ちたり大病を患ったりしたらどうするのか。
余計なお世話とは思いつつ、そんなことも考えてしまう。

次の10年20年も久しぶりに会って気楽に食事でもできたらいいな。

D、それまで元気で。
また会おう。

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