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平成最後の強盗バトル

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#小説

平成最後の強盗バトル #7

平成最後の強盗バトル #7

前 事実は小説よりも奇なり。ドラマにしたら陳腐な出来事も、それが現実にあったことだとなれば、長く人の記憶に残り続ける。昭和の三億円をめぐる事件が、平成も終わろうという今日に至るまで、忘れられることがなかったように。
 しかしそう思い通りに面白い「事実」は起きてくれない。であれば作ってしまえばいい。少なくとも誰かはそう考えてこの企画を作ったようで、私達の元にこの仕事の話が持ち込まれたとき、無茶と分か

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平成最後の強盗バトル #5

平成最後の強盗バトル #5

前 「ふざっけんなテメ」反射的に飛びかかった荒木田が殴り飛ばされ、唸り声を上げながらアスファルトに転がった。「単細胞め。二度目はないぞ。お前達も余計なマネはするな」おれは荒木田の頭に向けて突きつけられた拳銃を睨みつつ、おとなしく両手を挙げた。

「なあ、日本の治安はいつの間にここまで悪くなったんだ?」

「私たちの言うことじゃないですけどね……」

 同じく手を挙げた月本が言う。大強盗が四人まとめ

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平成最後の強盗バトル #4

平成最後の強盗バトル #4

前 奴らのバンが大きく蛇行し、パトカーに衝突した。大きくバランスを崩したパトカーが、並走する別のパトカーに突っ込んで、二台は絡み合ったままガードレールに勢いよく追突する。おれたちを載せたバンはその脇ギリギリのところを走り抜け、残った一台のパトカーの背後につけた。

「そんでそんで、ここからどうするよ?」

「ひとまずあのパトカーを潰す。その上で奴らに共感する仲間のフリをして近づく」

「そう上手く

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平成最後の強盗バトル #3

平成最後の強盗バトル #3



「で、結局どうやって連中を捕まえるつもりなんですか?」

「それなんだけど、どうも向こうの方から出てきたみたいだよ」

 大房の声に、おれは内心で喝采を送った。ここで実はまだノープランだと言い出したら(主に月本からの)苛烈な攻撃は免れなかっただろう。
 「どういうことだ?」「これ見ればわかるよ」後席からタブレットが差し出される。またよそ見運転かよ。ちらりと横目で画面を確認し、すぐに釘づけにな

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平成最後の強盗バトル

 2019年4月30日。おれたちは現金を満載したバンに乗り、国道を飛ばしていた。
 後席の仲間たちが大量の万札の中で叫びまくる。
「『平成最後の大強盗』万歳!」

 世の銀行強盗に真っ当な動機なんてものがあるかは不明だが、おれたちの動機は不純を極めていた。どうせ食い詰めた身、死ぬより前にデカいことをしたい。言い合う酒の席で「平成最後の大強盗」が最高の響きだと言い出したのは誰だったか。

 突然、助

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平成最後の強盗バトル #2

平成最後の強盗バトル #2



 路肩に止めたバンの車内で、おれたちは各自の端末を使ってニュースを追いかけていた。

「東京都内の銀行で強盗 犯人は逃走中 白昼堂々の犯行に……」

「犯人は国籍不明、男の四人組で、二台の黒いバンに乗って逃走中。現在警視庁が行方を追っているとのことです。近隣の学校では集団下校が……」

 各社ニュースサイトのトップは強盗一色に変わり始め、TVも続々と特別ニュースに切り替わった。SNSのトレン

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