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『ピカソ 青の時代を超えて』|ひろしま美術館
「知らない人なんていないでしょ?」と形容しても許されそうな画家―その代表格が、パブロ・ピカソではないでしょうか。キュビズムのイメージと相まって、ただでさえインパクトが強い上に、"好き/嫌い"が変に一人歩きしていそうな画家でもありますね。
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今回の展覧会は、メランコリックで哀切なる《青の時代》と、その後の画風の変遷を一望できる、とても見応えのある内容でした。
🌿 ピカソ×ひろしま美術館
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この展覧会をひろしま美術館で見ることができてよかった、というのが、まずは書き留めておきたい感想。
というのも、本館は円形の建物で、展示室は、言わば「ドーナツを4等分した」構造になっています。回廊伝いにひとめぐりすると、ピカソの画風の推移を概ね見届けることができるのです。(なお、別館にも版画の展示がありました。)
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左手前から展示室1・2、右手に回って3・4、と一廻りできます。
部屋ごとに、まるでまったく別の画家かと思ってしまうほどの変節(?)を見ることができ、ピカソは何人分の人生を生きたのだろう...と驚きに打たれます。
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なお、この美術館の前庭には、ピカソのご子息から寄贈されたマロニエの木があります。
🌿 意外に「とにかくおもしろかった」ピカソ
難解とも思われるキュビズムも、ルネサンス期から連綿と続いてきた《三次元を二次元の画布にどうやって落とし込むか》という永遠の課題に果敢に取り組んだ結果だと知ると、「なるほど、これはよい思いつきだ」と童心に返って感心したりも。そういえば、小学生ってこういう「横顔と正面顔を足し合わせたような」絵を描く子ども、けっこういますよね。
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美人ですねえ。惚れ惚れしました。
見えるままをカンヴァスに描くことの困難さ。矢内原伊作『ジャコメッティ』にも、ジャコメッティの苦闘の様が綴られています。
描いては消し、絵の具を載せては削り、ほとんどカンヴァスに跡しか残すことができない時期さえあったそうです。描けない自分に苛立ち悪態をつきながら、夕闇で見えなくなると貧しい灯りでデッサンを続ける姿には、鬼気迫るものがあったのだとか。身体を悪くし精神を病ませるほどで、なにか取り憑かれているかのような、痛ましい感じを受けました。
一方のピカソ。ジャコメッティと親交もあった彼のほうは、折り合いをつけることができた、ということなのでしょう(作品を見れば、どちらがより悩みの深いタイプかすぐに判別がつくというものです)。
それを思うと、キュビズムの奇妙な力強さに、「よかったね」と拍手を贈りたくなるのでした。
🌿 時代を追って、年齢軸で作品を見る
こうして記事にするのなら、本来は、時代による変遷を示す特徴的な絵を載せるべきなのでしょう。でも、当初はそのつもりもなく、気に入ったものを写しただけだったので、そこはご容赦くださいね。
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蒼の時代を象徴するような絵です。この年齢にしてこの肩甲骨を描く...
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シャヴァンヌに影響されたとも言われる表現主義の絵。パリでの辛苦のあとに描かれたものです。悲しみと尊さを感じる絵でした。"線の細いルオー"みたい。一番好きだったかも。
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絵画に現実感を持たせるため、新聞紙の文字など身近なものを描き入れたのだそうです。
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この頃の絵は、大地と、風による風化作用を具現化したように見えます。
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ひろしま美術館が、全コレクションの中でひそかにイチオシしているのはこれではないかと思っています。
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これに限らずですが、実物の色味はとにかく綺麗なのです。くすみのある色も不思議な透明感がありました。(これを日本の湿度・情念で描かれたら、こたえるものがあります...)
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ベラスケスもびっくり、ですが...会場を回るうちに、ピカソ・パワーに染まって、「なんでもござれ」的な心境に到達。
いやこれ、実際なかなか洒脱で素敵でした。
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幾何的なパーツに分かれている描き方も、見慣れると説得力が増してきます。まあ、人間はすべからく細胞というパーツでできていますし...
🌿 今を去ること...初ピカソは、強烈な「拒絶反応」でした...
主催のひろしま美術館、ポーラ美術館は、国内では屈指のピカソコレクション館なのだそうです。
HPで数えたところ、所蔵点数はそれぞれ、ポーラ美術館22点、ひろしま美術館8点。
そのひろしま美術館が "ミュージアム・デビュー" だった私。実は、高校生?の頃、常設展示で初めてピカソのこの作品(↓)を見たとき、尋常でない拒絶反応を覚えました...「体が受け付けない」感覚だったのです。
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得体の知れない人に追い詰められ壁ドンで凄まれたくらいのインパクト(?)
恐ろしいほどのオーラを放つその絵は、祝祭と禍々しさがない交ぜになったマグマのように、ふつふつと滾っていて、早々にその部屋から逃げ出すことに。
その後も、美術好きになってから足を運ぶも、この絵を見ただけで不協和音の洪水に晒されたようで、単に「嫌い」「不快」などではなく、なんだか打ちのめされたようにふらふらになってしまうのでした。背景の金色と水色の無造作な塗りが飛びだしてきて、目と脳に刺さって気持ち悪くなる...みたいな。
絵画ってけっこう怖いものだということを学んだのでした...。
今ではもうそんなこともなく、ふつうに眺めることができるし、逆におもしろくも見えてくるのですが。
それにしても、88歳の好々爺(*´艸`)に翻弄される16歳...さすが、巨匠ですね。
70点というのは、体力と集中力を切らさず見終えることのできる適正点数かも。
展示替えもあるそうなので、また行ってみようと思います。
🌿 展覧会概要
ひろしま美術館開館45周年記念
【ピカソ 青の時代を超えて】
【2023年2月4日(土)~ 5月28日(日)】
🎨 ひろしま美術館のサイト↓
🎨 巡回はポーラ美術館、ひろしま美術館のみのようです。↓
🎨 ポーラ美術館も、【開館20周年記念展】としての開催だったようです。(展覧会は終了しました)
2館の協力のもと、X線による調査なども行われ、研究成果を会場で詳しく見ることができます。見逃した東日本の方、ぜひ広島へ(◔‿◔)♡
🌿 あとは一直線にミュージアムカフェへ
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モダンな鉢植え...初めて見たので、たぶん展覧会に合わせたのかな?
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「わかりました(*´艸`)クスッ (キッチンで)カタラーナもご一緒です。写真を撮られるそうです」
カトラリーやお皿を緊張気味に並べてくださるホールスタッフのお姉さん。食後に
「おいしかったです。おかげさまで綺麗に撮れました」
「よかったです! (キッチンで)綺麗に撮れたそうです〜♡」
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フレッシュでクリーミーなカスタードに、ほのかにオレンジの果汁が香ります。キャラメリゼはカリカリしていて、とてもおいしかったです。
ここで強く推しても広島の方しか訪問できない気もしますが、おすすめです。スイーツ好きでない方にも勧めたいほど。
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魚介もオリーブもチキンもドライトマトも、ひとつひとつにちょっと感心しながら味わえるおいしさ。展覧会のあとだと、味覚の感度も上がるのかもね。
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忘れかけのフランス語がなんとか読解できたご褒美(?)に買ってきました(スカーフは手持ちのもの)。
でも、XLしかなくて。ポーラ美術館の商品で、入荷予定はないとのこと。パジャマにするからよいけれど...
大きいからTシャツにハグしてもらう気持ちで眠ります...
カフェ・ジャルダン↓
【後記】
写真ですが、絵はE-PL9、それ以外はGR2で撮りました(^^)/
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