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私の好きな音楽(チャーリークリスチャンと電気ギター)

チャーリークリスチャンは1930年代のアメリカの黒人エレキギタリストだ。重要なことはエレキギターの開祖だと言うことだ。わずか3年くらいのレコーディング活動で結核で死んでしまった。たぶん20代の半ばで死んじゃったのかな。

1930年代の半ばくらいからギターの老舗のギブソン社がぼちぼちエレキギターを作って発売していたそうだ。今のギターみたいな板状のソリッドギターではなく中空のアコースティックギターにピックアップマイクを付けたやつだ。エレキギターというものは初ではなく、ハワイアンのエレキスチールギターはあったようだ。なので横を縦にしてアコギとくっ付けてみましたぐらいのノリだったのかもしれない。

そうこうしているうちに30年代のスイングジャズのギタリストの間でそこそこ流行りだしたが、まあ決め手に欠く楽器だったのかもしれない。弱々しくて「これ何?」という感じだろう。カウントベイシー楽団にいたエディー・ダーハムだ。これがそうかな。

基本的にギターはリズム楽器だ。決してリード楽器ではない。カウントベイシー楽団にはフレディーグリーンという偉大なリズムギターが常にサポートしていた。リードギターは必要ないというのが印象的だ。

何かのタイミングでエレキギターがチャーリークリスチャンの手に渡ったのだろう。そんでものすごい勢いでバリバリ弾き倒すようになった。この辺の経緯はちょっとわからない。適当に弾いたのだろうと思う。ただ面白いのがここからエディーヴァンヘイレンに至るまでのメインストリームになるエレキの弾き方をだいたい確立してしまったということだ。個人的にはちょっと感心している。

まあお手本になるギタリストは何人かいたと思う。アコースティックギターのエディーラングとかジプシーギタリストのジャンゴラインハルトか。
よく言われているのが楽器は違うがレスターヤングのサックス。ただこれも謎でレスターがレコーディングを始めた時にはチャーリーはエレキギターをマスターしていてレスターヤングはチャーリーを昔から知っていたらしい。なのでスイングジャズ以前の誰かに影響を受けたと思われる。ひょっとしたら近所のギターの上手なおじさんとか。この辺は謎だ。

20歳そこそこのチャーリークリスチャンはジョンハモンドという白人の音楽プロデューサー?の目に止まる。ジョンハモンドはボブディランやビリーホリデーも発掘した人だ。ジョンハモンドはベニーグッドマン(当時スイングの王様と言われた白人クラリネット奏者)と知り合いだったためにすぐにベニーの楽団へ入れようと思った。ところがベニーにこれを伝えたところ「誰がエレキギターなんて聴きたいのか?」でNGだったそうだ。リーダーとしてはわけの分からない楽器を楽団に入れるわけには行かない。しかも黒人だ。ヤバいかもしれないやつに構っている暇はない。そこでハモンドがとった行動はベニーのライブにいきなりチャーリーを登場させた。行って目立ってこいと。本当だろうか?

これがライブでチャーリーとベニーがジャムった曲とのことだが、30分以上もやってたらしい。もうすでにエリッククラプトンのクリームみたいな長いギター演奏が繰り広げられていたということになる。

そんで普通に入団OKとなり晴れてベニーと一緒にライブやレコーディングをするようになった。当時ジャズ界のバンドはまだ概ね白人は白人、黒人は黒人でまとまっていた。ベニーからしたら得体のしれない黒人のバンドメンバーを増やした。それは物凄い衝撃的なエレキギターだったからに違いない。うがった見方からすると、これは商売になるぞと。

すぐにチャーリーはベニーのビッグバンドを従えてレコーディングをすることになる。それがこれ。「Solo Flight」だ。前例のないエレキギターでいきなりここまでやるかと言う感じだ。いきなりビッグバンドを従えてエレキギター演奏ってまあライブを見る人はびっくりするだろう。

タル・ファーロウという後々の凄腕ジャズギタリストがいるが、チャーリーがどんな楽器で何をやっているか分からなかったそうだ。ハワイアンのスチールギターかなと思ったそうだ。なので看板屋の業者(本当に看板屋だった)としてライブハウスに潜入してやっとチャーリークリスチャンがエレキを弾いているということが分かったらしい。それくらい想像できなかったものらしい。

我々はエレキギターというとだいたい異性にもてたくてじゃあ弾いてみるかと始める。都内なら御茶ノ水へ行って店員に薦められて、まあボウイの布袋みたいに弾けたらいいかなとか。ちょっと古いかな。そういった軽い感じでエレキを買うけど30年代は誰もエレキを弾いていない。ビートルズもいない。ジミヘンもエディーもいない。クラプトンもベックもいない。ベンチャーズもいない。BBキングもいない。ウェスモンゴメリーもいない。エルビスプレスリーだっていない。そんな時代のエレキギターを誰が想像できるのか?変わり者だ。

あとそもそも論になるが、初の電気楽器だ。ビッグバンドに電気楽器を入れるということはどういうことだろうか?ギブソンからはもちろんアンプもギターとセットで発売されていた。持ち運びタイプの真空管のやつだ。今で言うとギターの初心者がエレキギターと一緒に初めて買うレベルの数Wのアンプだろう。アンプの使用は当時どれほど出来たのだろうか?PA用のアンプを使っていたのだろうか?電力はちゃんと供給できていたのか?スタジオは大丈夫だろうけどコンセントはちゃんとライブ会場にあったのか?まあここまで来ると電気製品の歴史になってしまうが、いよいよ音楽が電気で増幅される時代になった。これも結構気になることだ。

多分普通だったらここでミントンハウスの話になるんだろうけど脱線してしまった。長くなった。
おしマイケル。

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