見出し画像

エッセイ:好きなおかずの話-その参

 一般的には「夏野菜」のイメージがある茄子。カレーの具材や天ぷらなどさまざまな料理に使われる。しかし、一方で「秋茄子は嫁に食わすな」という慣用句もある。実はこの言葉には、3つの意味があるようなのです。

「秋茄子は嫁に食わすな」の3つの意味


  1. 意地悪な姑説

 ひとつ目は、「秋に旬を迎え、おいしくなる茄子を嫁なんかに食べさせるのはもったいない」という、姑さんの意地悪な気持ちを表しているというもの。同じような言葉に「秋かます、嫁に食わすな」「秋鯖、嫁に食わすな」「五月蕨、嫁に食わすな」などがあり、いずれも嫁イビリを匂わせる慣用句です。封建的な家族制度のなかで生まれた言葉なのかもしれませんが、意味には諸説あり、その理由や語源はハッキリしていないのが実のところです。

2.姑のやさしさ説

 一方で、意地悪ではなく、嫁の体を気遣う意味合いがあるという説もあります。茄子には体を冷やす働きがあるので、涼しくなってきた秋に茄子を食べると、出産を控えたお嫁さんの体が冷えてしまうので、やさしい姑さんがお嫁さんを心配しているのだというものです。また、秋茄子は種が少ないので、子宝に恵まれないとう縁起の悪さを気にしているのだという解釈もあるようです。

 3.実は「嫁」とは夜目(ネズミ)を指す説

 ここでいう"よめ"は「夜目」と書き、ネズミのことを指しているという説もあります。つまり、おいしい秋茄子をネズミに食べさせるのはもったいないということで、美味な秋茄子をとられたくないという意味とも取れます。

 そのほか、鎌倉時代の和歌集『夫木和歌抄』には「秋なすび わささの粕につきまぜて よめにはくれじ 棚におくとも」という歌があります。これは、酒粕につけた秋茄子をおいしくなるまで棚に置いておくのはよいけれど、ネズミ(夜目・よめ)に食べられないように注意しましょうというもの。この説が語源だろうとも言われています。みんな、秋茄子が大好きなのですね。


我が家の定番「なすの煮たの」

 そんな、多くの人を魅了する「茄子」ですが、我が家では祖母から受け継がれる「なすの煮たの(煮物・煮浸し)」が定番料理として、食卓にも度々出てきます。なすを、水・醤油・砂糖・みりん・酒・顆粒和風だしを合わせた煮汁で炊いたひと品です。煮汁をごはんにかけても美味しいです!米泥棒。

一度、自分で作ったときに「もうちょっと辛味がほしい」と思い、輪切り唐辛子を入れたら、袋の開け方が悪かったのか思ったよりもドバッと出てしまい、恐る恐る試食してみたら、はい、終了。辛い、辛すぎる。水を足したが時すでに遅し。この一件以降、この料理は「母以外、つくるべからず」という暗黙のルールが我が家に誕生しました。やはり、基本は大切ですよね。

皆さんには、ふと食べたくなる「家庭の味」ってありますか。夏が終わり旨味がギュッとつまった秋茄子。みなさんは、どうやって味わいますか。

次回へ続く…🥢🍚

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?