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メンターとは?OJTとは?本来の目的を整理して、制度改革した話

こんにちは、バレットグループCHROの桜井です。

メンター制度とOJT制度を改革して、新入社員が参画し3ヶ月が経過した今、これまでとは異なる効果が得られたと実感できております。

今回はその一部をご紹介します。

◆そもそもメンターってどんな人?

メンター(mentor)とは、「経験を積んだ指導者・助言者」という意味です。一方、メンターから助言を受ける人物をメンティと呼びます。

一般的には、仕事に限らず人生のさまざまな面において指導や助言をくれる師匠や恩師のような人物のことをメンターと呼んだりします。言葉の意味だけ聞くと、ものすごい経験していないとできないんじゃないか?と思うかもしれませんがそうではありません。

メンターはあくまでもサポート役です。

そのサポート役も何かを教えるのではなく、メンティが迷っているときに背中を押したり、悩んでいるときにメンティの話を否定せずにじっくり聞いてもらう役がメンターです。一方、メンターから指導を受ける人物をメンティと呼びます。

メンターは直接仕事のサポートを行うことはせず、心理的安全性を高めるために存在するものです。

◆そもそもOJTってどんな制度?

OJT(On-the-Job Training)は業務の中で育成を行うことを目的とします。

新人や新規配属社員の即戦力化が主な目的です。業務を通じて立ち上がり支援を行い、業務に必要な知識や技能を習得していくものです。それらの結果として会社の業績向上に直結させます。

一斉研修とは異なり、仕事を通じて、その個人の特性・レベルにあった細やかな指導ができるのが特徴です。

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◆メンター制度・OJT制度の改革に至ったわけ

バレットグループにおいて以前はメンター制度もOJT制度も分け隔てなく運用しておりました。しかし、指導をする側、受ける側の双方に様々な負担がかかっていたことが分かっていたため、これを改善することにしました。

従来、メンター制度はあくまでサポート役です。直接業務のサポートを行わないメンターと直接業務を教えるOJTが混じり合っていることで、新卒社員は「利害関係のあるものに、悩みを打ち明けること」になってしまいます。これでは必ずしも、心理的安全性は担保できません。

また、先輩社員においても、従来の業務に加え、メンター制度の持つ側面・OJT制度の持つ側面の両方を担うことにより、十分に新入社員と向き合う時間が取れないケースも増えていました。

先輩社員が忙しいと新入社員は聞きにくくなってしまいます。

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ただでさえ、不安を抱える新入社員にとって必要なことはどんどん質問して、出来ることや自信を増やすことです。

人事として、メンター・OJT担当者の負担を下げ、より効果的なものとするよう、各制度を次のように整理しました。

◆メンター制度で心理的安全性を高めるポイント

まず、メンター制度の目的として下記を改めて周知しました。

・新入社員がスムーズな社会人生活を送れるようサポートする。
・同部署はもちろんのこと、他部署の人を紹介して交友を広める。
業務上利害関係のない者がメンターとなる。
・新入社員の心理的安全性を高める。

また、下記の2つを禁止事項として掲げました。

・仕事のサポートは行わない
・相談内容の開示範囲を厳守

これらをメンター制度のルールと定義しました。

◆OJT制度をより効果的なものにするために考慮したこと

次にOJT制度です。OJT制度はメンターと異なることを意識しながら、次のように説明しました。

・新入社員の入社後、スムーズな立ち上がりを業務を通して支援する
・新入社員の特性に合わせて指導をする
・OJTを通し、利害関係者との人間関係を築く
・OJT担当者が業務理解を深め、指導することでスキルアップに繋がる

また、OJT担当者を決める際には「実務実績よりも指導力を考慮すること」を重視しました。業務で成功を収めていることは素晴らしいことですが、その人のやり方をコピーするような指導法は、冒頭に述べた「その個人の特性・レベルにあった細やかな指導」とは異なります。

このOJT制度は「利害関係者との人間関係を築く」ことが目的です。メンター制度では「他部署の人を紹介して交友を深める」ことを目的としましたが、これらは似て非なることです。

◆メンター制度・OJT制度を担うメンターバンクの新設

これらのメンター制度とOJT制度、バレットグループでは任命制ではなく、挙手制で成り立っています。メンターバンクと呼ばれる名簿に登録してもらい、事前に研修を受けていただきます。

その上で、性格・年齢・性別、様々な要素を勘案し、人事がマッチングして初めて、メンターやOJT担当者になれます。登録したからといって、必ず担当になれるわけではありません。

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また、メンターになった、OJT担当者になったからと言って、特別な手当が出ることはありません。また、評価時に加点対象とならない可能性もあります。研修担当者になったからといって、自身の業績が下がることはマイナスです。

このように研修、事前準備など業務以外にも負担がかかるにも関わらず、かつ結果が伴わなければ、マイナスの評価を受けるにも関わらず、このメンターバンクには多くの社員が登録しています。

これには早期から人材の育成に携わる目的やメリットを理解し、それを希望する社員が多くいることを実感でき、嬉しく感じます。

◆制度を運用して3ヶ月間の成果

初めての取組みではありましたが、順調と感じます。

新入社員側の変化

・人事部に寄せられるお悩み相談の質が従来よりも高い質に変化していること。
・一斉研修では付いていくのがやっと…という新入社員が今では事業部から期待される新人になっていること。

制度の成功を象徴するものが、「来年、今度は自分がメンターになりたい!」と新入社員の複数名が言ってくれていることです。人事としては嬉しいことですし、協力してくれたメンター、OJT担当者にも感謝しきれません。

メンター&OJT担当者側の変化

・昨年よりも、明らかに不満が減っていること
・先輩社員から「教えることで自分への理解が深まった」という声
・「来年も是非自分に担当させて欲しい」という声
・「リーダーとして、マネージャーとして、もっと事業・人材の育成に携わっていきたい」という声

これらの制度のメリットは新入社員のみに収まらず、「自部署以外の新卒や中途入社者と関わりを持ちにくかったが、気兼ねなく話しやすくなった」と先輩社員からもいただいております。

◆人事部と事業部が連携することの大切さ

従来の制度では、事業部任せということもあり、人事部がグリップできる部分も少なく、人事部に何か連絡が来る時には明らかに「炎上しているような状態」「明らかに手遅れな状態」でしたが、今では「火種」の段階からしっかりグリップできております。

この制度改革は人事部が担う4つの仕事のうち「教育」施策としては、かなり効果的なものとなりました。

ただ、これは人事部のみで行える施策ではありません。今後とも事業部と連携して、より会社の価値を高めることができる人事部&バレットグループを目指して邁進してまいります。


※2022年3月追記
現在、メンター制度は新入社員全員への適用ではなく必要に応じての適用となっております。今後も制度の改定、新制度設計など状況に合わせてブラッシュアップしてまいります。