23　ピザ王

ここは、ピザ国
私は、ピザ王

毎朝、国いちばんのピザしょくにんが
国でいちばん上等な小麦をひいて
国でいちばん真っ赤なトマトをならべ
国でいちばん香りのいいバジルをちらし
国でいちばんすてきなチーズをたっぷりのせたら
国でいちばん大きな石窯で
大きな大きなピザを焼くのである

大きな大きなピザが焼けたら
大きな大きなピザに乗り
国ぢゅうを見て回るのである

(各地に「ピザポート」)

ピザ王はぐるんぐるんと飛んでいく

うまくやろうと調子にのって
ピザをくるくる、くるくるぽーん
高い木に、ピザが引っ掛かっててしまっていれば
ゆうゆう取ってあげるのである

ピザ王はぐるんぐるんと飛んでいく

草を食べるのに夢中になって
子やぎたちとはぐれてしまった
母さんヤギが困ってっていれば
空から教えてあげるのである

ピザ王はぐるんぐるんと飛んでいく

遠くの山に、火が見える！
いそげ、いそげ、山火事だ

真ん中にあるレバーを引けば、ピザはいっそうよく回って
たいそう速く飛ぶのである(ピーマンのへた)

山の火事と見えたのは
森のなかまのおまつりだった

これはこれは、ピザ王さま
一緒にまつりの、ごちそうをいかが？

まつりがあまり楽しくて、ピザ王もつい、調子にのって
「国でいちばん美味いピザである！皆で食べよう、召し上がれ」

お腹いっぱい、気がつけば
乗ってきたピザは、あと形もない

「どうしよう！お城に帰れなくなってしまったのである。」
お腹がいっぱい、眠くなっていたピザ王は、お城のふかふかベッドを思い出して
ポロポロ涙を流し始めた

(もりのみんな)「そうだ、みんなで、ピザを焼こう！」

小麦粉は？
森のみんなが、台所から少しずつ
あるだけの粉を持ってきたよ
真っ白さらさらとはいかないけれど
ピザ王はすごく嬉しかった

トマトは？
森のみんなが、畑から少しずつ
赤くなったトマトを採ってきたよ
大きさも、甘さもまちまちだけれども
ピザ王はすごく嬉しかった

バジルは？
みんなで川原に摘みにいこう
ズボンもシャツも泥んこになったけれども
ピザ王はすごく嬉しかった

森のみんなが少しずつ持ち寄った小麦粉で
めいめいの畑でとれたトマトを並べ
土手で摘んだバジルをちらし

みんなは夢中でピザを伸ばした。
それはそれは、一生懸命伸ばしに伸ばして、

「チーズは？」
ネズミがとっておきのチーズを
もじもじもじもじ取り出したよ
少しかじったあとがあるけど
ピザ王はすごく嬉しかった

さあ！焼こう！
窯はないけど、お祭りの焚き火を
上手に使ってピザを焼こう

森のみんなで作った
大きな大きな大きな大きな大きな大きな、熱っつあつの、、

あっ！(ピザの端を持っていたピザ王のお尻が、こつんと何かに当たる)

みんなが焼いた大きな大きな大きな大きな大きな大きなピザの端っこが
ピザ王のお城に届いた、届いた

ここは、ピザ国
今日は、みんなで、ピザ祭