あなたを苦手だと思ってました
いつも頭上から狙っている。
いつ、どこに爆弾を投下しようか、と。
そんなふうに我々を狙っているとしか思えないのだ。
そう、白い、あの爆弾を。
*
大学時代、電線に止まっていた彼らから放たれた爆弾が、
おしゃれな友人のゆるふわカールの髪の毛に落下したことがある。
不快な音を立てて、友人の頭に着地した。
友人と私は並んで歩いて帰宅していたから、友人との距離、30センチといったところか。
たまたま落下地点に運悪く友人がいたために、私は当たらず済んだものの、
友人はその後、ラッシュの電車に爆弾付きの髪の毛で乗らざるを得なくなった。
気の毒で仕方なかった。
洗い立ての車にドット模様を付けられた時にも、怒りと落胆を感じた。
ベランダの手すりに、水っぽいのをされてた時にも発狂しそうだった。
鳥イコール“見かけたら逃げる”。
電線の下を通る時には、“必ず上を確認せよ”。
悲しいかな、私の頭にはそうインプットされてしまった。
*
早朝のランニング。
あるいは、朝洗濯物を干そうとベランダに出た時。
そこはかとなく、とても癒される気持ちがした。
まだ人間たちが生活音をあまり立てていない時間。
車の音も聞こえず静か。
そんな中、ランニングコースや近くの公園から、都会では絶対聴けないような不思議なさえずりの声が聴こえる。
今まで、せかせかと生活していて、全く気づかなかった。
なんて惜しいことをしたのだ、とちょっぴり後悔したくらいだ。
あちらの鳥が鳴いたら、こちらの鳥が応える。
しかも色々な種類の鳥が、競うように鳴いている。
まるで違う楽器が響きあって、朝という一つの曲を奏でるように。
そんな声を聴いて、私は思わずランニングの足を遅める。
洗濯物の手を止める。
そして部屋にいるときは、大きく窓を開ける。
この清々しい音楽を身体が求めているのだ。
ああ、聴きたい。ただひたすらに。
身体に染み込ませたい。
感じていたい。
そこにはもう、爆弾を放つ忌々しいイメージはなかった。
勝手に、一方的に、
そして一部分を切り取って、あなたのことを苦手だと思っていた。
ごめんなさい。
あなたのおかげで、私の朝はこんなにキラキラ輝きを増し、
素敵な1日の始まりとなるのです。
姿は木の葉っぱの中に隠れて見えないけれど、
毎朝私の心を打つあなたの声。
ありがとう。
今日も良いスタートが切れそうだ。
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