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経営目線のPR思考 - スタートアップが専任広報なしで地上波に出るまで
こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。
当社の米国株資産運用アプリBloomo(ブルーモ)は、2024年5月21日に正式リリースを迎え、その前後ではテレビ東京さんのWBS、テレビ朝日さんのグッド!モーニング、日経新聞さんでローンチを紹介いただきました。
ブルーモはまだ創業2年目で社員数も10名ちょっとの小さな会社です。専任広報もおらず、PR領域をリードする代表の中村も前職でのPR/マーケティング経験はゼロです。
そんな中、プロダクトがローンチ時点で地上波テレビで取り上げられたのは、環境的にラッキーだったのもありますが、経営目線でPR戦略を実行していたことも要因だと思うので、何を考えていたか紹介したいと思います。
PRをカバーせざるを得ないアーリースタートアップの方や、PRから経営を巻き込みたいPR担当者の方を想定読者にしています。
まずは良いプロダクトづくりに集中する
最初から元も子もないことを言いますが、世の中のニーズに沿った良いプロダクトなしにメディアに取り上げてもらうのは不可能です。
スタートアップのようなリソースが限られた世界では、まずネタになるプロダクトづくりに全集中すべきです。
ブルーモでもPR専任担当は採用せず、代表の中村が戦略立案・メディア対応・プレスリリース執筆を行い、副業の方にメディアリレーション、コーポレート担当がPRオペレーションの補助に入ってもらう体制で進めています。
「なんでも良いから取り上げてもらえるようにせよ」は通じないので、経営目線ではPRで状況がひっくり返ることに賭けず、本当に良いものを作ることに賭ける方が勝率は高いと思います。
実際、正式ローンチ時に取材を受けた地上波の2社は、こちらからアプローチしておらず、先方からプロダクトが画期的との印象を持っていただいてご連絡をいただきました(HPの内容や招待制で触ったアプリから)。
ブランドと対外メッセージを整理し、繰り返し発信する
この章が本格的なPR戦略の話です。基本的な考え方として、「ブランディング」→「対外メッセージ整理」→「継続的な発信」というフローで進めました。
ブランディング
前提として、B2Cサービスにブランディングは重要です。ユーザーは機能や価格だけでなく、「そのサービスが好きかどうか」という感覚的な理由でプロダクトを選ぶため、ブランディングは決して軽んじるべきはないです。
B2Cプロダクトが爆発的に広がる時は、社会的な共感を生んでいるケースも多いので、「自分たちが世の中からどういう存在として見られたいか」はB2Cサービスの場合は会社としてしっかり定義すべきだと思います。
ブルーモの場合、過去記事でも詳しく解説していますが、創業時に自社ブランドのコンセプトを「Public」「Smart」「Better」をキーワードとして定義しています。
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ただ、これは事業領域がB2Cサービスだったので特に力を入れた部分でもあるので、B2Bサービスを作っていたらここまでしなかったかも知れません(ロジックでのサービス選択がメインだと思うので)。
対外メッセージ整理
PR素人なりに「対外発信の目的」「訴求のサポート方法」で以下のような2軸マトリックスにて対外メッセージのフレームワークを作って、一貫したメッセージを出せるようにしました。
対外発信の目的
ブランドによる感情訴求:この会社を応援したい・共感する、目指していることに興味があるという気持ちに読み手をさせる
プロダクトによる機能訴求:プロダクトが面白そう・使ってみたい、ニーズに合っていそうという気持ちに読み手をさせる
訴求のサポート方法
ロジック:マクロトレンドや合理的なロジックによる正しさの説得
ストーリー:創業ストーリーから生まれる信用力による説得
実際にブルーモの場合、以下のように対外メッセージを整理しました。ブランド部分は、「Smart」はWebサイトやプロダクトから直観的に伝えるものとして、「Public」「Better」をナラティブとして伝えることを意識しています。
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特に、自分はこの領域を「なんかいけてそう!」で選んだのではなく、昔から考えてきたストーリーがあったので、ちゃんと伝えることを意識していました。
先日も日経CNBCにゲストでお呼びいただき、プロダクトの内容もそうですが、私の生い立ちのストーリーに焦点を当てて紹介いただいたりしました。
継続的な発信
そこから2年間、あらゆるメディアでメッセージをブラさず発信を続けました。変化の激しいスタートアップですが、大切な部分はブラさないのが大事だと思っています。
メディアへの発信はストックになって、複利で効果が出ます。現在だと新聞に掲載されても、それだけで爆発的に認知が広がることは少ないのですが、調べてくれたときに外部ソースとして出てくれるのは強いです。
実際に、今回コンタクトいただいたテレビの担当者の方も、他のメディアで話した私の生い立ちのストーリーまで把握していて、素材として検討いただくとともに、全般的に応援したい雰囲気が伝わってきました。
なので、単発では認知が広がらなかったとしても、深く書いてくれるメディアの取材は積極的に受けて、その先に繋げられると良いです。
以下、外部メディアの記事として複利が効いていそうなもの2点です。
メディアに合わせてイベントは調整する
最後に、経営レイヤーの意思決定として、メディアに合わせてリリースのタイミングを調整することも大事です。
ちっぽけなスタートアップのリリースが、それ単体でテレビの取材テーマになることはありません。社会的な影響がまだ小さいからです。
では、そんなスタートアップがなぜテレビに乗れるかというと、それは広く社会に注目される動きがあるからで、その動きの一コマとして映ることはできます。
今回で言えば「ダウ平均4万ドル突破」という米国株式市場の好調を示すニュースが入るタイミングだったので、「米国株でしっかり資産運用をする若年層に使われる新サービス」という一コマとしてテレビにお邪魔できました。
このメディアの論理を十分に理解した上で、「あとはリリースタイミングに合うかどうかの運ゲー」ではなく、メディアとの事前調整をしっかりやることで、オンエアの確度は高まります。
今回であれば、テレビ局には事前にいつごろリリースか目安を伝えつつ、社内的には正式リリースに伴う諸々の開発・調整を先に終えて、±2週間くらいであればタイミングを任意に設定できる状況を作っておきました。
こうして、メディア側でも「いつ出せそうかな」を探ってもらいつつ、会社側でも「いつリリースにしようかな」をギリギリまで調整して、無事に「正式リリースを地上波に乗せる」が実現できました。
仲間を募集中
一連のPR活動の裏には、副業ながらメディアリレーションを回してくれている大事なメンバーがいます。1人でできることに限りはあるので、ブルーモでは頼れる仲間をいつでも募集しています。
特に、創業期から中村がPR/マーケティング未経験ながら一連のPR活動をリードしてきたように、未知の領域でも論理的に答えを出して行動できる、そんな仲間が事業サイドでは欲しいです。
ポジションとしてはChief of Staffというタイトルで募集しているので、アーリースタートアップで幅広い領域をカバーして、事業を推進したい方は是非ご応募ください。
https://open.talentio.com/r/1/c/bloomo/pages/82870
また、エンジニアはいつでも積極採用中なので、難しい金融システムの構築にチャレンジしたい方は、是非応募ください。