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最近読んで良かった2冊

こんにちは、yukaです。

ここのところ急速に冬に向かっている感じがしていますが、いかがお過ごしですか?
わたしは先日、今季はじめてニットを買いました!仕事は内勤なので、まだ着ていくには少し早いかな?とも思いつつ、袖を通す日を楽しみにしています。寒いのが苦手でこれからの季節はちょっと憂鬱なので、ちょっとでも楽しみを作っていこうと思っています。


❁最近読んだ本のこと

さて、このへんで最近読んだ本のことをお話ししていきますね。

●自転しながら公転する/山本文緒

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「結婚、仕事、親の介護 全部やらなきゃダメですか?」
これ、帯に書いてあった言葉なんですが、アラサーにもなるとこの言葉がほんっとーに刺さるなぁ……と実感しております。

主人公の(みやこ)は33歳。東京で働いていたけれど、あることをきっかけに地元に戻ってきた。今は茨城県の田舎にあるアウトレットでアパレルショップ店員として働きながら、体調の優れない母親の手助けをしている。

単調で若干行き詰っていた都の日常。そこからたまたま出会った貫一(かんいち)との恋愛が始まったり、職場のゴタゴタに巻き込まれたり、親との関係に変化が訪れたりするわけです。

あらすじだけだとかなりシンプルだし、なにか大きな事件が起きるわけでもない。普通の田舎の30代女性の周りに起こる、現実でもありそうなストーリーです。
だからこそ、都がところどころで抱く感情や考えがほんとうにリアルで共感できるんですよね。
(わたし、今住んでいるのが茨城県なので、都が働くアウトレットの風景とか思い浮かべながら読んでいたんですよね。だからなおさらリアル感がすごい。)

「家事をやりつつ、家族の体調も見つつ、仕事も全開で頑張るなんて、そんな器用なこと私にはできそうもない」 p.74

そうそう、それなんだよ!
わたしも、自分がそんなにいろいろ頑張れるのかどうかわからない。
なんでみんなできるんだろうって思う。

ここまで結婚できなかった自分が本当に結婚できるのか不安だしすごく焦るし、このままでいたいような気もするけど誰かと一緒に生きていきたいとも思う。
けど結婚したらその先に子どもができたりするかもしれないし、親が体調崩したりするかもしれない。けど自分のことでいっぱいいっぱいなのに、今後家族の面倒まで見れるんだろうか?

仕事だって年齢的にももっとキャリアアップしていかなきゃいけない。けどこの仕事をずっと続けていくのか、続けたいのかわからない。世の中にはキラキラ輝いて仕事に邁進している人もいるのに、自分はそこまで頑張れる気がしない。でもこのままじゃ、なんかダメな気がする。
そんな感じ。

都が恋人の貫一と喧嘩するシーンでは、伝えたいことが伝わらないもどかしさとか、焦りや不安をぶつけてしまった後悔とかにすごく身に覚えがあって、「あーあるなぁこの感情……!」ってひとり打ち震えていました。

山本文緒さんの作品は今回初めてだったのですが、リアルな感情を描くのがすごく上手い方だな、と思いました。これから他の作品も、もっと読んでみたいです。もっと早く出会いたかった。



●噛みあわない会話と、ある過去について/辻村深月

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見えている景色や、受け取る感情は人それぞれ。
それを徹底的なまでに教えてくれる作品でした。

この本には4つの短編が収録されているのですが、共通しているのは「何気なく作り出される加害者・被害者の構図」と、「人間の感情の、恐ろしいまでの執念深さ」。可愛らしい表紙とは裏腹に、一種のホラー作品でもあると感じました。いやー、人間って恐ろしい。

どの短編も印象深いのですが、『ナベちゃんのヨメ』と『早穂とゆかり』が本当にありそうな話だなぁ、と感じました。
ネタバレは避けたいので詳しくはお話しませんが、ゆかりみたいなことをちょっと望んでる人は実はたくさんいるかもしれないし、わたしも同じシチュエーションになったら(あそこまでひどくはなくても)ちょっぴり何かしたくなってしまうかもしれないな、と思ったりしました。ナベちゃん的なことも、思い当たる人がけっこういるんじゃないかと思う。

自分が覚えている誰かの過去と、他の誰かが覚えている自分の過去って実は全然違っていて、そこに対して抱く感情も全然別物で。その噛み合わなさがここまでホラーチックになるものなのか、と新たなジャンルに出会ったような気持ちです。「自分はどうなんだろう?」と振り返らずにはいられない作品でした。

辻村さんのホラーミステリと言えば、最近出た『闇祓』も気になっています。ぜひ読みたい。きっとまた感情を揺さぶられるんだろうな。



意図せずして2冊とも人間関係をメインに描いた作品になりました。こういう心をわしづかみにしてくる作品に出会えるから、本を読むことはやめられない。楽しいなぁ、ほんとに。


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