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後編: 焙煎の化学反応【vol.71】

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それでは後半どうぞ!


スクロースが多く含まれているのは?

左から順に熟成します

この写真の右から三つ目までの完熟豆にはより多くのスクロースが含まれており、カップ内の潜在的な甘さと酸味を高めます。

熟したコーヒーチェリーは、より多くのスクロースを含む豆を生産するためです。

深煎りではスクロースの 99% が分解されますが、浅煎りでは87% が分解されます。
浅煎りになるにつれて甘さが際立つのはこの為です。


香りの発達

望ましい香りの発達は、焙煎プロセスの数分後まで本格的に始まりません。

揮発性芳香族化合物の急速な発達は、焙煎中の豆の水分が 5%を下回る頃に発生します。
カラメル化とメイラード反応、およびアミノ酸、糖、フェノール酸、脂質の分解が、芳香族の発達に寄与します。

ちなみにカラメルとメイラードの結果的な違いですがキャラメリゼーションは、フルーティー、キャラメル、ナッツ、その他のアロマを生成しますが、メイラード反応は、香ばしい、フローラル、チョコレート、土、ローストなどのアロマを生成します。

香りのピークは浅煎りから中煎りで、
コーヒーに含まれる油分は、揮発性芳香族化合物の多くを溶解し、抽出中および抽出後にゆっくりと香りとして放出します。

さらに焙煎するとアロマが消えて、よりスモーキーで刺激的になります。
そしてアロマが残る焙煎したての豆は、貯蔵中にガス放出により徐々に香りが失われます。

セルロース構造が弱く多孔質なダークローストは、ライトローストよりも早く芳香を失います。

メイラード反応とカラメル化

メイラード反応は遊離アミノ酸と還元糖の間の非酵素的褐変反応であり、コーヒーの褐色、ほろ苦い風味、複雑な香りに寄与します。

メイラード反応は、多くの食品を調理する際に発生して、最もよく知られているのは肉を焦がす際です。

メイラード反応がいかにして風味に寄与するのか?
ローストした肉とボイルした肉がそれぞれの肉のフレーバーに及ぼす影響はローストは、ボイルした肉にはない香り、複雑さ、風味の深みを与えます。

メイラード反応は、同様のローストフレーバー特性と複雑さをコーヒー豆にもたらします。

焙煎中、豆の内部温度が水分のほとんどを蒸発させるのに十分なほど高くなると、温度がより急速に上昇し、メイラード反応が加速します。

これが、ローストの途中でアロマの発生が加速し、メイラード反応が160°C以上で自立する理由の1つです。カラメル化は熱分解または熱分解の一形態です。

カラメル化は約171°Cで始まります。
この時、焙煎の熱が砂糖の分子を分解し、数百もの新しい化合物を生成します。
小さくて苦く、酸っぱく、芳香のある分子と、大きくて茶色く、好ましくない分子の両方が含まれます。

「キャラメル」と聞くと甘いデザートフードを連想しますがカラメル化は食べ物や飲み物の甘さを減らし、苦味を増します。

浅煎りはより甘く、深煎りは主にカラメル化のため、より苦くてカラメルのようになります。

カフェイン含有量と焙煎

コーヒー豆のカフェイン含有量は深煎りにすると、
カフェインの量が若干減少する可能性がありますが、その変化は微細な変化です。

カフェインは通常の焙煎温度で安定しているため、焙煎してもカフェインレベルはほぼ実質的に変化しません。豆は焙煎中に質量が減少するため、焙煎中に重量でのカフェインの割合が増加します。

したがって、すべての焙煎度のコーヒーを、量ではなく挽いたコーヒーの質量に対する水の特定した比率で淹れると焙煎が濃いほどカフェイン含有量の高い淹れたコーヒーが得られるという事になります。

後編 完

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