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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

以前、初めの部分だけを読んで、先がとっても気になっていたのにすっかり忘れていた、この『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。
ライトな表紙とは違い、中身はかなり奥の深い内容だ。

アイルランド人とのハーフの子供を持つイギリス在住の日本人の母親が、息子の進学によって色々な社会問題に直面し、様々なことを息子と共に体験し考えるストーリー。
この作者のみかこさんは息子を一人の人間として尊重し、信頼していることがわかる。また息子の素直な考え方や行動から、とてもすばらしい教育を行なっているのだとわかる。

みかこさんが住むイギリスでは日本以上に?格差が激しく、職業や地域によって行く学校が決まり、地域の水泳大会ですら格差を感じるものである。
貧富の差が激しく、ご飯も食べられない子供もいるので、教育者がご飯を買って与えたりしてる場合もあるらしい。教育者がソーシャルワーカーにならざるを得なかったりする。

貧困も周りのみんなの生活レベルが一緒だと愚痴れるが、自分だけだと子供なりに愚痴ることを遠慮してしまう。子供でも、いや子供だからこそ周りの空気を乱すことを嫌うのである。

イギリスだけでなく、LGBTや多種多様な国籍の人々が当たり前の時代になって、ますます格差社会が酷くなっている世の中で、何を感じどう行動するか、それぞれが自分のこととして考えていくべきだと感じた。

みかこさんの息子さんのことを見ていると、子供は元々は偏見がないが、親の言動や環境から大きな影響を受け、思考が構築され、そして新しい価値観を生み出しているのだとわかる。親が無意識に行なっていることも、子供は完コピしていたりする。

ぼくはイエローでホワイトで、ときどきブルー                 

それは彼(息子)のアイデンティティそのものだ。
日本人であり、アイルランド人でもあり、ブルー(本来の色の意味するものは’悲しみ’)」と自分を表現した幼い頃の息子は、自分のうちに秘めた何かをが「ブルー」(’怒り’を意味すると感じていた)だと感じていた。
しかし、少し成長した彼は最後の色を「グリーン」(未熟)と例えた。自分を未熟だと表現しているところに子供の成長を感じる。

私は自分の信じていることをしっかり子供に伝えているつもりだが、子供は言葉以上のものを親から吸収している。ときどき私の心を見透かされているような緊張感さえ感じることがある。
だから私自身も自分に正直に、自信を持って正しいことを伝え続けていきたいと思う。

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