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精神疾患になったご家族に寄り添うために必要なこと5選/うつ病の初心者向け総合ガイド

 この記事は、うつ病や適応障害を患った患者目線で、精神疾患になった患者様のご家族へ向けて、寄り添うために必要なことをお伝えします。

 オイラはうつ病も適応障害も経験がありますが、「つらさ」はどちらも変わりませんでした。そのつらさは、人生で経験したことがある最悪な「つらさ」を超越した「つらさ」です。もしくは、今まで経験したつらさとは比較にならない、異質な酷いつらさとでもいう感じです。

 このつらさは尋常じゃありません。当然一人でできる事なんて何もありません。身体を動かすエネルギーはおろか、下手をすれば食事さえもするエネルギーが残っていません。
 したがって、ご家族の協力が必要になりますので、患者となったご家族と一緒に乗り越えていきましょう。


精神疾患になったご家族に寄り添うために必要なこと5選


うつ病、適応障害になったオイラから見た寄り添うために必要なことをまとめました。ご家族の負担も高く、なかなか難しいかもしれませんが、一番つらいのはうつ病になった本人だということは忘れないでいてください。

ご自分が正しいと思うことでも、「正しさ」だけでは思いやりが無くなります。心無い言葉で症状を悪化させないようにしましょう。

① 決して強制する言葉は言わない!否定しない!(厳禁です!!)

(「甘えている」、「怠けている」、「きちんとしろ!」など)

 希死念慮が強くなり、取り返しがつかないことになりかねないので厳禁です!
 うつ病は脳が充電切れを起こしている状態です。無理やり動かすのは逆効果です。本人のペースを尊重してください。
 脳を充電するには、脳を休息させる以外に方法はありません。脳の休息方法は、とにかく何も考えずに寝ることです。

② 病気に良いことだからといって無理にさせない

 うつ病は脳のエネルギーが枯渇している状態です。この状態で何かをすること自体に無理があります。簡単な会話ですら頭に入ってこなくなっていますし、読書すらできないでしょう。

 よく朝散歩が良いなどと言うのですが、タイミングによるので注意してください。逆効果になるので、間違っても急性期にさせないでください。

また、回復期であっても気分の波があるため、日によってはできないこともあるでしょう。間違っても無理に外に連れ出すなどはしないようにしてください。逆効果になります。

無理やり外に連れ出して、気分転換になるのは病気ではなく、一時的な落ち込み(1週間以内で治る落ち込み)の時です。
 本人は気を使って気分転換になったと言うかもしれませんが、無理やり動き、気を使った分だけ悪化します。
 基本的に自主的に動けるようになるまで我慢強く待ちましょう。

③ 必ず良くなると信じて「できないこと」を容認する

 うつ病などの精神疾患は、症状の重さや治療期間の長短は人により違いますが、必ず良くなります。病状によってはできないことが多くなるかもしれませんが、回復へ向かえば、次第にできることも増えていきます。一時的にできないだけだと思って容認しましょう。本人も、やりたいけどできないもどかしさを抱えているのです。
 ただし、②でも書きましたが、急性期や回復期で無理をさせると、ぶり返すことがあります。あくまで本人のペースで、何なら無理しないようにブレーキをかけるくらいでちょうどいいです。

 うつ病などの精神疾患になる人は、まじめな人が多いと言われています。うつ病に良いと言われることをキチンとやろうとしたり、焦りから減薬や増薬をしてしまうこともあるようです。早く治したいがために焦るのですが、その焦りが逆効果になりますし、イライラしたりしてメンタルが安定しない一因になります。

治すというよりは上手に付き合って、うまく「うつ」状態の時間を短くする工夫をすることが、結果的に完治に向かうと思います。

④ 勝手に断薬、増薬させないようにする

本人は何もなくてもプレッシャーを感じています。家族や会社に申し訳ないと常に思っていて、早く回復しなければ!と考えています。その焦りから、勝手に減薬や断薬、治らないからと言って薬を増やすこともあるようです。医師の指示に従わずに薬の飲み方を変えても、良いことはありません。勝手に薬の量を調節しないように見守りましょう。

⑤ 否定せず共感する

 「否定しない」と言われると、戸惑うかもしれません。希死念慮などを吐露されると、思わず否定したくなるでしょう。
 ですが、その否定自体が、患者自身が自己卑下していくことに繋がり、ますます落ち込みや自責が酷くなる場合があります。

 ご家族ですので、平気で聞き流せることではないと思いますが、「それぐらいつらくなったんだね」と共感することは可能だと思います。気持ちが受け入れられたという事だけでも、本人にとっては非常に救われることなのです。

 日々の家事や仕事をこなす中で病気とはいえ、ご家族に気を使う生活は大変だと思います。しかし大切なご家族ですから、なるべく再発や重症化をさせないよう、協力していきましょう。

 「自分だったらこうするのに!」という想いに囚われがちになって、自分のイライラをぶつけてしまうこともあり得ます。重要なのは「患者さんであるご家族が一番つらい」のだ、というのを念頭に置いておき、場合によってはアンガーマネジメントなどを活用しましょう。

その他

客観的視点で本人のトリセツを作る

 本人がつらそうにしている事、状況、環境。逆に本人が調子がよさそうな事、状況、環境等を客観的視点で気が付いたことをまとめ、なるべくつらくなることは避けるようにしましょう。これだけでも本人にとってはだいぶ違います。再発防止期などに本人と作るのも良いかもしれません。(間違っても急性期など症状が重い頃に作っては逆効果になりかねませんので、ご注意ください)

 ノートに書いてそれにストレスの点数を付けます。10点満点でも5点満点でも、A~Dでも何でも構いません。
 おすすめは左端に項目を箇条書きにしていき、右側に点数をつけていくような感じです。数字を記入してもいいですし、グラフのように1~10点の場所にシールや印をつける、みたいなことでも構いません。

 こういった取り組みは普段しないと思います。いい機会ですので、一緒にやってみるのも良いかもしれません。

 例えば、オイラはラベンダーのアロマがとてもいい気分になるのでA++、雨で寒い日が苦手なので「D」などとなっています。患者の機嫌や気分などを左右するモノやコトを、評価し記録するようなイメージです。

まとめ

 うつ病などの精神疾患はのつらさは体感した本人しかわかりません。同言葉で言い表そうとしても、正しい状態を表す言葉が見つかりません。
オイラも長年苦しみましたが、通院の度にしっくりこない言葉になっていました。それぐらいつらいのです。

 そんなとき、ご家族が病気を理解して寄り添ってくれるだけで、心強いものですし、安心して休めるものです。
 早く元気になるためにも、ゆっくり療養する環境を整えることは、ご家族しかできません。

 少しでも早く良くなるために、患者となったご家族に、適切に寄り添えるようにしたいものですね。


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うつ病の初心者向け総合ガイド(うつ病/適応障害/パニック障害の患者目線)


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