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野球によって人生が輝く子どもたち

こんにちは、ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)代表の岡田真理です。今回はメジャーリーグが支援している社会貢献プログラム「RBI」をご紹介します。

RBIは、Reviving(復活させる)Baseball(野球を)in Inner Cities(都心部で)の意味で、簡単に言うと都心部(特に経済的に恵まれない地域)の少年少女たちに野球やソフトボールを楽しむ機会を提供するプログラムです。

前回の記事で紹介した「レッドソックス・ファウンデーション」でもRED SOX RBIというプログラムが運営されていますが、球団ごとの取り組みとしても実施されています。

RBIは、競技力の上達をいちばんの目的とするものではありません。子どもたちが時間を持て余してドラッグやアルコール、暴力などの非行に走るような事態を防ぐため、スポーツで発散できる機会を提供しようということで作られたものです。

RBIは世界200以上の都市で実施されており、特にアメリカ国内ではさまざまな地域にRBIの少年少女野球リーグが存在します。中でも成功例として注目されているのが、ニューヨークのハーレム東地区にある「HARLEM RBI」です。

私がニューヨークに住んでいた2013年当時、HARLEM RBIには年間1500名以上のハーレムの子どもが参加していると言われていました。その前年、2012年のデータですが、この地区に住む子どもの約58パーセントが高校を中退してしまうのに対し、HARLEM RBIに参加している子どもは96パーセントが高校卒業というゴールをクリアしているそうです。さらに、93パーセントの子どもが大学の入学許可を得ているとのこと。

その背景にあるのは、学習システムや人間教育システムの充実です。RBIではプログラム共通の方針として教養を高めることが重視されていますが、特にHARLEM RBIでは読み書きのクラスで学校の勉強をサポートしたり、チームワークや社会性を高めるためのクラスを設けたりと、総合的な人間力の向上に力を入れていました。

ニューヨーク在住時、HARLEM RBIの子どもたちに将来の夢を聞いてみたところ、「メジャーリーガーかお医者さん」といったように、野球はもちろん、それ以外の道にも強い興味を示していました。また、大学に進学したOBやOGが「HARLEM RBIに出会えて将来の可能性が広がった」と話しているのも印象的でした。

1989年のRBI発足以降、200名以上のRBI出身者がメジャーリーグ球団からドラフト指名されていますが、その他大勢の子どもはなんらかの理由で野球を辞めています。しかし、たとえ野球で成功しなくても、しっかりと教養を身につけ、勉学に励んだ子どもには、いろんな選択肢が残されているのです。

最近は日本でも「野球だけやっていればいい」という考え方は古いとされていますが、まだ根強く残っているところもであるのではと思います。

しかし、そんな時代はもう終わり。野球に出会えたおかげで人生の選択肢が広がった――子どもたちにそう思わせるだけのパワーと魅力が、日本の野球にも間違いなくあるでしょう。


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