見出し画像

ゲーム業界ではあまり知られてないツールが、クリエイター育成&チーム運営に大いに役立った話(前編)

はじめに

株式会社ブラストエッジゲームズの清水と申します。ゲーム開発スタジオを新宿で運営しております。会社をはじめまして5年経ちまして、その間で取り組んだ内容や、お役立ちしそうな情報を不定期ながら掲載していきます。

画像9

初回は、ブラストエッジゲームズで活用している、「ストレングスファインダー(以下SF)」というツールの紹介と活用例を紹介します。

ゲーム会社を運営する上でもっとも苦労したのは、「いかに良いチームを作るか」でして、そのために「いかに良いゲームクリエイターを集めるか、育てるか」と当初は考えていたのですが、どうやらそれだけで解決する話ではなく、チームがうまく行かなかったり、それによりクリエイターが会社を去ることもありまして、様々なアプローチを試行錯誤しました。

ゲーム業界では、SFはあまり聞かれていないかもしれませんが、私自身が活用したり、社内に取り入れたりすることで、とても良い効果が得られるとわかってきました。

ストレングスファインダーとは?

ギャラップ社が開発した才能診断ツール。WEBで質問に答えると、34個の資質の中から自分の「強み」や「弱み」の順番が明らかになり、自分にあった仕事選びなどに役立てられる。

https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/253634/ホーム.aspx

画像10

私がゲームづくりにSFを取り入れたほうがいいと思う理由は、以下の3つ。

1.自分を知る
→まだ知らない才能を見つけ、目指すクリエイターキャリアを見極める
2.相手を知る
→メンバー全員の資質をオープンに、コミュニケーションを円滑にする
3.チームを知る
→メンバー同士の連携を高めて、プロジェクトを成功に導く

これらをざっくりとですが、事例を説明しながら紹介していきます。


1.自分の強みを知り、クリエイターキャリアを加速させる

自分のことは一番わかっているつもりでも、実はよくわかっていないことがあります。SFは、自分の大切にしているものや強みを明らかにしてくれます。

ちなみに私は、SFの資質に「自我」を持っています。強みと弱みはこちら

画像7

昔から周りから感謝されることが仕事の原動力になっていると思っていたのですが、良かれと思ってやろうとすることに対してネガティブな意見を受けると、急に投げ出したくなることが経験上、結構ありました。

自分の発見としては、「強み」の再認識よりも、実は「弱み」が密接につながっていて、強みの発揮を阻害していたということでした。

今でもネガティブな意見を受けると相変わらず凹むのですが(笑)、自認しているので気が楽になったり、相談相手を選ぶことで対処できるようになりました。

また、得意なことが見つけやすくなったり、その理由が明らかになったり、苦手なものの理由がわかったりするのもメリットです。自分の強みを知っていると、結果が出しやすい得意分野でクリエイターとして戦うことができます。他の人よりうまくいかないことも、資質の違いだと思えば落ち込まずに済みます。

画像10

当社では、「自分を知る」というメリットを利用して、評価面談や、個人の目標設定にSFを活用しています。

個人の資質に合わせた目標を立てれば、それに対する評価も個人の資質を加味したものになり、評価する人もされる人も納得感があるのです。


2.新人紹介と社員間コミュニケーションに活用

自分の資質を知る以外に、相手の資質を知ることもチームワークの改善に効果があります。

SFの効果を実感した私は、社員全員と新しく入社する人にも社費で受けてもらうようにしました。そして入社の際にSFの上位5つと合わせて、下記のように紹介しています。

画像3

多くの人は新入社員に対して「どんな人だろう?」と興味を持つわけですが、ブラストのメンバーは、SFの上位5つで想像することが多いです。自分と同じ資質を持っていれば興味がわき、「誰々と同じ」と思えばイメージがわきます。見たことのない珍しい資質なら内容を調べることもあります。

SF導入前は、前職の会社名、作ったゲーム名などによるイメージにとらわれやすかったように思いますが、SFを取り入れたことで、人物イメージがしやすくなりました。

入社後も、社員全員がそれぞれの資質上位5つをオープンにしているので、いつでもお互いの資質を確認できます。SFの資質が共通言語のようになり、「この資質があるからこう考えがちだけど……」といったコミュニケーションにも役立ちます。

3.SFとチーム。意見が違う相手は「敵」なのか?

SFによって自分を知り、相手を知るようになりましたが、チームの連携においてもSFの効果が出始めました。

ちなみにチームとは、「ゴール(素晴らしいゲームを作る!)を達成すべく集められた、様々な属性を持ったクリエイター集団」を指します。

属性(違い)は、思いつく限りいろいろ挙げられます。

画像8

同じ属性では成し得ないゴールの達成のため結成されたチームですが、それ故に意見や開発方針が合わない、ということが起こりえます。同じような経験を持つ人は多いのではないでしょうか?

それによって人間関係がぎくしゃくすると、行き違いが起こりやすくなり、プロジェクトの納期や品質に重大な問題を引き起こしかねません。

プロジェクト進行中、メンバー間で様々な判断が求められます
・タスク管理、バグ管理には何を使うか?
・データシートはエクセルか、スプレッドシートか?
・UE4アセットの命名規則は?サブレベルの分け方は?

少し深い例でいいますと、次のようなケースがあるとします。


3-1.新しい行動タイプのボスキャラを追加する場合?

ボスバトルがマンネリ化しそうで、新タイプのボス追加することになったとします。

Aさんは「やってみないとわからないから、途中まで作ってみよう」
Bさんは「似たようなボスが出ている他ゲームを検証してから判断しよう」

と互いに正反対の提案をしたとします。

画像10

あなたはどちら派でしょうか?(私はどちらかというとAです……。)

さて、AさんとBさん、どちらが正しいのでしょうか。どちらが正しいかよりも、二人の意見の対立のほうが心配になところではありますが……。

3-2.意見の優劣、ではなく、○○の違い??

多くのクリエイターは、熟考しベストと思える意見と理由を自信を持って提案します。そのため意見が対立すると、「ベストな品質が出せない」「自分は間違っている?」と深く真剣に考えてしまうことがあります。

これはプロジェクトを想う使命感がゆえであり、クリエイターとして大切なことでもあります。

しかし、「真偽」や「優劣」を判断基準に議論すると、「自分の意見が間違っていると否定された」と考えることや、互いに「わかりあえない人」という印象を持ち合い、プロジェクト進行にもわだかまりが残りかねません。

ここでようやくSFの登場です。
カギは、AさんとBさんの1位の資質にあります。

画像10

今すぐ実行したい「活発性」を持つAさんと、細心の注意を払って決めたい「慎重さ」を持つBさん。

二人の違いの源泉は、どちらか一方の意見の優劣ではなく、互いが持っている才能の強み、大切にしていることの違いであることがわかりました。

3-3.もしも2人が互いの資質を知っていたら…

意見の相違が起きても、お互いに大切にしているものが違うとわかっていれば、「自分が正しくて、相手は正しくない」という気持はやわらぎます。

画像10

お互いの資質を知っている状態なら、「自分が否定されている」と思うことは減り、「お互い同じ目標に向かっているが、価値観が違うだけ」と理解できるようになります。

それでも、どちらかの案が採用されるわけですが、お互いの資質を知っていたら、「自分の価値観とは合わないが、それでやってみよう」と思いやすくなります。相手にネガティブな印象を持ったり、人間関係がぎくしゃくすることが減ります。


まとめ:SFで真のゲームクリエイター像に近づく

以上がブラストエッジゲームズでのSF活用事例です。
本当の自分を知り、相手を知り、チームを作り、本当に作りたかったゲームを作ることに役立てていただけたらと思います。

画像10

私自身、クリエイターから経営者というジョブチェンジをするなかで、スキルの得手不得手に向き合う事が多くありました。

資質に「自我」がある自分は、社内の施策を作るのが得意な反面、ネガティブな意見には弱いので、施策の実施はマネージャーにやってもらうなどの対策を取りました。

最初からすべてを活用する必要はなく、一部だけでも効果は実感できると思います。

当然、SFの資質で人のすべてが明らかになるわけではなく、資質だけで自分や相手を決めつけてしまうのは本末転倒です。自分が感じた印象だけでなく、多面的に人を知るために活用することが一番重要と思っております。

興味を持っていただけたら、まずはSF診断を受けてみることをオススメします。

前編は簡単なSFの紹介しました。後編は、コーチング、ストレングスファインダーグリッドという、さらに踏み込んだ活用事例に入っていきます。


ブラストエッジゲームズの理念に共感していただき、話を聞いてみたい、共に働くことを検討してみたいという方は、コンタクトもしくは、リクルートページにお問い合わせくださいませ。お待ちしております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?