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傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 9巻 【ネタバレあり読書感想文】 華やかな舞踏会の裏で

★★★★★
Amazonでレビューしたものです

18世紀、パリ。王妃マリー・アントワネットの寵愛を受け、革命の波にのまれていった、ファッションデザイナーの物語。王妃付きモード商として、流行のトップに立ち続けてきたベルタンに舞い込んだ報せ。それは働く女性にとって、革新をもたらすものだった。一方、アントワネットは、国を憂うルイ16世をよそに享楽に耽るように――。寵臣の気を引く為に、王妃がベルタンに命じた新たな装いは“舞踏用のドレス”!?

Amazonのページより



1.チェスから女の業へ


こちらの作者のクロノ・モノクローム、珍しいチェスと歴史物で好きで読んでいました。
あっさり終わってしまったのでガッカリしていたのですが、こちらのお話が始まって続いていて嬉しいです。

チェスという比較的わかりやすい戦いから、美しいファッションとそれを纏う女たちの話になりました。

毎回綺麗なドレスにはうっとりします。

2.享楽的な王妃


日々楽しければよいというばかりのあまりにも幼いアントワネット。

夫の愛人と妻の愛人が入り乱れ、王妃を中心に夜毎盛り上がる集まりのサークル。
いやあ、この辺全然理解できないですね。
フランスって性的に奔放なイメージがありますが、前はもっとすごかったのか。

競馬のために新たに服をしつらえ、友人がパリに行ってしまったから引き戻すための舞踏会を開き、そのためにも服をしつらえ、、、
服飾予算12億円って、、
もうええ加減にせえや。
ギロチン台に送りたくなる気持ちもわかりますね。

行事の寝る間を惜しんで服を縫いまくるベルタンたち庶民。
華やかな舞踏会の傍で雪の中に静かに乾杯します。

やっとこさ踊り始めたレオナールとベルタン。
この二人も長かった。

3.女の敵は女?それとも男?


贅沢ぶりを批判されるアントワネット。
何不自由なく暮らし、気に入らないものをすぐにクビにして気に入ったものだけそばに置く。
しかし、「女はかわいくふるまい子供を産めばよい」と育てられながら、夫との夜はうまくいかず。
王妃といえど戴冠式には出席するかしないかで揉め、長いローブで出席しても挨拶もなく列席者扱いだった。
国民のことを考え政治的に振る舞うのは難しかったのかもしれない。

そんな王妃の親友を狙い、策を巡らして次々に入れ替わる女たち。

一方、仕事に邁進するベルタンは、同業組合の廃止に揺れる。
組合に入れるのは男性のみで女性に権利はなかったが、これによって状況が変わることを期待し仕事に励み始める。
そんなベルタンを潰そうと動き始める男の集団。

「女が一人で生きるにはこの世界が厳し過ぎるのよ 私達のように運良く生きる手段を得ても引き換えに婚期や出産を逃す女の多いこと… 」
「女の自由の代償は孤独よ 仕事に生きた女はそれに耐えなければならない」
ベルタンの師・パジェルはそう言って朽ちた。

ベルタンの明日はどうか。


著者:磯見仁月 (著)
ASIN ‏ : ‎ B0CLC6988D
出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2023/11/9)
発売日 ‏ : ‎ 2023/11/9
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 94786 KB


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