アイドルに青春17年ささげた~⑤先輩と後輩と俺の過去と~

「せんぱーい」
「起きてー」

俺は目を覚ました。

なに今の?夢?
それにしても嫌な夢だな。死んで、転生して、テレパシー能力が欲しいって、俺は「なろう」系の主人公ではないのだ、って、「先輩?起きて?」この声は確か…

「先輩ホントに起きてよー、もう学校終わってるよー?」

ハッ!!!ほんとに覚醒した。この声、どこかで聞いたことある。
あいつだ、さとねだ。てかここは確か…


「起きてるよ。」
「じゃあ帰ろう?」
「あ、ああ、帰るか…」
見たことのある風景、教室、机、椅子、廊下ここは高校…?
「なんか変だね、いやな夢でも見た?」

とりあえず待て待て、なにこれ。あのAKBのさとねが俺の後輩で一緒に今から帰るとか。
確かに願っていたよ。可愛い女の子と一緒に登下校したいって。そういう、妄想小説も書いたよ。でもこれマジなんですけど。ああ、俺はいまどん底からてっぺんまで登り切った。マイナスからのスタート、なめんなよ。いきなり始まるから、ビビりあがるけど…

俺は探り探り喋り始めた。
「ちょっと、変な夢だな。道重が出てきた。」
「なにそれー?超ウケるー。でも私は道重さんより、鈴木愛理さん派だなあ。」
「あー何でもいいけどな。もうハロプロの時代はとっくに終わってんだよ。今は乃木坂とか欅坂とか坂道シリーズだからな。」
「48グループもね!」
「だな。」
そして高校時代に帰っていた道を当時を思い出しながら、さとねと帰った。17年ぶり。こんな感じだったけ?とか、あーそういえばここはこんな感じだとか。思い振り返る。17年でだいぶ変わったな。変わらないのは高校時代に使っていたこのママチャリ。
今は、さとねを後ろに乗せて家まで一直線。
自転車の後ろでさとねは、学校での今日の授業の内容とかクラスの噂話、今度の文化祭で何がやりたいとか、その他もろもろを話してくれた。あ、
これマジで高校生時代だ。それは高校の頃やりたかった、女子喋りながらの下校だった。

さとねはJKトーク繰り広げながら、俺の横でごく自然に微笑んでいて、傍から見たらマジでカップルに見えるのではとか思いながら自転車を漕ぐ。
さとねはいろんな話をしてくれた。
俺は聞きながら、笑っていた。しかし心の中でなぜこんなことが起きてるのか、マジで転生したのか、夢の続きなのかを確かめようと、考え込んでいた。


「さと、あのさあ。」
「いま平成何年?」
「あ、平成は終わってるよ。令和元年の8月4日、2019年の。どうして?」
「ド忘れ」
「なにそれ~」
「もしくは若年性アルツハイマー」
「えー?」
「それか異世界転生だな」
「ははは、なろうか~」


適当に異世界転生とか言ってもばれないだろうが、これマジで異世界転生じゃね?
いや、異世界じゃない。日本だよここ。マジもんの俺の高校生時代。そして、1番気になるのは、俺の年齢。さとねは先輩って呼んでたけど、俺何年生?

「あのさ、・・・俺何年何組だっけ?」
「きゃはは、マジで何言ってんの?3年8組じゃん。」「私は1年5組」
(マジだ、これ過去転生だ。時間軸が今日の死ぬ前の俺が生きてきた時間軸と同じだけど俺の年齢が18歳に戻ってて、なぜかアイドルのさとねが俺の後輩で・・・状況は俺が悪夢だと思っていた高校生時代。マジで死に戻りかなんかかな?神様がもっかいやり直せるって、次はリア充しろって言ってたもんな。)


家について、さとを下ろして、バイバイを言って。今日は寝ることにした。

その夜夢を見た。俺とさとねの関係が明るみに出て(文冬砲にあって)さとねはファンに殺されるという。恐ろしい悪夢。
ハッ!!!!と目を覚まして時計を見る。午前5時半。
まさかね、文冬にすっぱ抜かれてもまさかアイドル殺すやつとかいないだろうと楽観視する。はは、悪い冗談。はは。
高校までチャリで向かう途中さとねを拾って昨日の続きのような感じでさとねはしゃべって、俺は聞きながら。学校へ向かう。
さとねはこんなことを言っていた。
「なにか昨日から誰かに見られてるような感覚にあるの。写真週刊誌に狙われるほど売れてはないんだけどな…」
「だな。」
「もー。そこは否定してよね!さとは売れるはずだよ。とか言ってよね。」
「俺は嘘は言わない主義なんだ。」
「はいそこー。子供ー。ついていい嘘はあるのに。」
「そんなことより、学校と仕事の両立とか大変だろ?」
「売れて、スターダムに上がったら、一気に学校とはおさらばだし、そうなると中卒だしさ。しばらく学校楽しんだら?夏だし。俺も付き合うし。」
「そーだなー。売れるのは高校卒業後でいっか。そうしよう。神様そうして下さい。」

俺たちの通ってる学校は超絶が付くほどの進学校だった。
「先輩は卒業したらどうするの?」
「そだな、大学行くのは面倒だけど行ってみたい気持ちもあるし進学かな。」
「だよねー。カス高進学校だもんねー。」
「よく入れたな。」
「また意地悪言ってる~。私は言うほどおバカではありません~。勉強は得意です~。」

(え、さとねって頭悪いキャラじゃなかったけ?変だなあ)


「さ、ついたついた。」
「わーい、今日も学校だ~い♪」
「気を付けてな、さと」
「はーい、いってきまーす。先輩もがんばってね~」
「へいへい」と返事をして昨日聞いたクラスへ向かう。
(3年ええと、8組はこっちでと)
ついた。ここが俺のクラス。そういや前世も8組だったな。あんま思い出したくないけど。
授業を聞きながら頭の中のことを今起こっている超常現象を整理する。
俺はノートに箇条書きし始めた。


・今は2019年8月5日。(俺が前世で死んだのは2019年の8月3日。転生したらなぜかカス高の生徒で(俺の母校、と言ってもいじめられていたろくでもない思いでしかないけど)目覚めたのは2019年の8月4日。
クラスなどは当時(2002年の頃)と同じで、さとは当時はいなかった。
2002年いじめられていた俺は8月4日を境におかしくなっていき、学校で暴れたりして精神病院に入院させられてたりした。当時は友達0人。田平ってやつにいじめられて当時は相当恨んでいたけど、高校生だから間違いはあるとは35歳になった最近は思っていた。
2002年8月4日を境に俺は変になっていった。その日、8月4日まさに俺は(前世で)特殊能力者になり、テレパシーを使ってモーニング娘。と仲良くなっていき、辻希美(つじのぞみ)という彼女まがいの存在も作るという妄想をしていた。そんなことを考えるほど現実はひどかった。
それ以降も悪夢はあったが生き続けて、この前あっけなく死んだ。異世界転生?上等だぜ!と思っていたら時間軸が変わらない過去転生させられていた。35歳の頭の中身の18歳の高校生。過去の状況と似ている、いや同じだ。2002年の8月4日以降に頭がおかしくなって、ろくな青春を送れなかった。心残りはあるが…

ペンが止まる。あ、箇条書きでもなんでもねえなこれ。
もっかいやり直せってことかい?神様。


キーコーンカーンコーン。チャイムが鳴った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?