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みかんとわたし


モノクロの空間に、あざやかなオレンジ。

みずみずしく輝く光が眩しくて、
しばらく触れる事が出来ず
ただただ、眺めていた。

しかし、花が美しいのは一瞬であるのと同じで
命は生まれた瞬間、終わりに向かっているように
私が見ている輝きも、きっと一瞬なのだろう。

時間は残酷であり、美しい。
この光たちは誰のために生まれてきたのか、
私に眺められて終わる、それだけのために生まれたのか

ちがうような気がする。

重ならないように、大事に袋に入れて
様々な人に分けて回った。
なるべく人と関わらずに
日々が流れて欲しいと思っていた私だが
そんな事を思い出す前に、歩き出していた。

驚いたのは、袋から光を取り出した瞬間
すべての人が美しい花束を見たような笑顔を咲かせたことだ。

思っていた以上に、その力は偉大だった。
威光を借りて、こんな私もたくさんの笑顔を見た。
普通に生きていて、私の言葉や行動でこんなに人を幸せにする事はあるだろうか。


もっと正しく、美しく生きたい。
カーテンから少し日が差した空間でそう思った、
休日の朝。


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