【雑記】映画『あのこは貴族』を観て
昨夜、ずっと観たかった映画『あのこは貴族』を観た。
DVDをレンタルしたのは2度目。
1回目は観れずに返し、2回目は昨日が返却期限。
深夜2時から観はじめて、朝5時にTSUTAYAの返却ボックスに入れて、帰宅してバタンキューだった。
いま見たら、まだAmazonプライムでも視聴ができたようだ。しまった。けれど、Amazonプライムだとつい先延ばしにしてしまうし、良かったということにしよう。
この映画を知ったのは、村田千沙さんのnoteで紹介されたからだと思う。早速、記事に埋め込まれた予告動画を観たところ、すっかり心を奪われた。これが11月6日の記事だから、3か月越しにようやく観れたという感じだ。
村田千沙さんは、プロの歌手で、正統派の美人なのに、内面が全く正統派ではなく、noteでは書評・映画評を中心に書かれていて、その作品のチョイスが大好きだ。
幅の広さと文芸への造詣に敬服するが、基本的に多くの人が避けるような「歪み」を持ったものや、「倒錯」したものを好まれる傾向がある。そんなアンバランスがとても好き。
エッセイもすごく面白くて、お人柄が偲ばれる。ぜひ、ご一見あれ(⇒note「村田は綴る」)。
■「女として生きる」このへの共感と連帯
さて、映画『あのこは貴族』──。
実に、素晴らしい映画だった。2時間5分、ほとんど画面に釘付け。最近、そんな経験をしていなかった。繊細で、美しい映像。出演者たちの微妙な感情表現、表情、どれも素晴らしい。
監督は、岨手由貴子(そでゆきこ)さん。
前作の『グッド・ストライプス』で新藤兼人賞を獲った新人監督。今後の作品も注目したい。
東京で生きる華子と美紀の物語。
華子(27歳・門脇麦)は、裕福な開業医の娘で、都内の一等地、渋谷区松濤に暮らすお嬢様。楚々とした美人だが、あまり意志は持たない女性。
そろそろ結婚と仕事を辞めた後に彼氏と別れてしまい、途方に暮れて、慣れない合コンや婚活で迷走しながら、義兄の会社の顧問弁護士、幸一郎(32歳・高良健吾)と出会い、一目惚れする。
この幸一郎は、華子よりもさらに裕福な生まれで、華麗な暮らしと一族の華やかさに圧倒されながら、無事に婚約に進む。
美紀(32歳・水原希子)は、地方の漁師町出身。苦学して東京の名門大学に進学するが、途中で父親が職を失い、大学を中退することに。その後、夜職の世界を転々として、夜職の常連客の紹介で、IT系ベンチャー企業の企画職として勤める。
華子とは対照的に、自分の力で生きている、意志のはっきりしたかっこいい系の女性。下町の狭いワンルームマンションで1人暮らし。
美紀は、実は幸一郎の「都合のいい女」で、華子はもうすぐ結婚という段になって、ひょんなことからたまたま美紀の存在を知る。
華子は友人に連れられて、美紀と対面することになるが、そこで生まれたのは「対決」ではなく、女としての「共感」だった。
「この社会って、女どうしが対立するように仕向けられている。お局しかり、ママ友しかり。そんなのばからしい。みんな女として同じ時代を生きている」
ちょっと適当だが、美紀(水原希子)のこんなセリフがかっこよかった。
■水原希子さんが素晴らしすぎる
その後、美紀は、10年近く付き合った幸一郎(高良健吾)に別れを告げるため、2人が出会った後、深夜に訪れた中華屋に呼び出す。幸一郎は、この店のことを覚えていない。
別れを切り出した後、美紀は、地元の名産の魚の干物を「餞別」と言って、幸一郎に渡す。
「幸一郎、私がどこの出身なんて、知らなかったでしょ。私だって悲しいよ。10年も付き合った、たった1人の友達と別れるんだから。だから、餞別。受け取って」
この台詞を言う美紀の表情が、何とも言えない。
何とも言えず、美しい。
幸一郎は、華子には見せない砕けた面を、美紀に見せていた。幸一郎は、美紀を便利に使ったが、でもやはり、2人は「友達」だったのだ。
この東京で出会った、全く「階層」の違う者どうし。
でも、心を許せる者どうし。
この後、同じ「階層」どうしの幸一郎と華子が挙式する。
ここで、物語の半分。この後、物語は少し意外な方向に動き出す。
ラストまでの途中の、美紀と同郷の友人による「私たちって東京に来て搾取されまくって、本当、東京の養分だよね」という台詞も素晴らしい。
僕は、門脇麦さんが大好きで、彼女が主演だから映画の予告編を観たという部分もある。
しかし、今回はこれまでそれほど好きではなかった、水原希子さんの演技にやられてしまった。こんなに素晴らしい演技をする人だったのか──。まさに、しびれた。
彼女は、いろいろ叩かれている様子だが、ずっと応援します。
こんな演技ができれば、それだけでいいじゃない。
そして、こんな演技ができる人は、内面も素晴らしいと思う。
* * *
最近は、僕のなかでは「洋画」よりも「邦画」の方がお気に入り。このところ、特に素晴らしい作品が増えた気がする。渋谷ユーロスペースとか、また行き始めようかな。
人の話もそうだけど、物語がすごく、好きなのです。
あ、あと、この原作を書かれた作家・山内マリコさんも大好き。この顔とこの雰囲気、大好きです!
追伸:エロがないので……。門脇麦ロボットと菜々緒ロボット欲しい(T_T)
ネットで検索したら「ネット乞食」という言葉に出くわしました。酷いこと言う人、いるなー。でも、歴史とたどれば、あらゆる「芸」は元々「乞食」と同根でした。サーカス、演芸、文芸、画芸しかりです。つまり、クリエイトとは……、あ、字数が! 皆様のお心付け……ください(笑) 活動のさらなる飛