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家族って、日々に意味を与えてくれる存在なんだと思う


この本を読むための時間に充てたい!と
最近、そそくさとやることを色々終わらせて時間を作って読んでいた本。
ここまで『この本を読む時間を作りたい』と思える本久しぶりだ、、、、

自分流を読んでから、ちょこちょこ出てきた
辻さんの息子さんとのエピソードが気になり、あれ?前に読んでみたい本って息子さんについてのエッセイだったような…と思い出したところで買ったこの1冊。

自分流もほんっとうに良かった。今じゃ宝物。🏆

お休みの日におうちでゆっくり。


もうね、ほんっとうに良かった。
パリでシングルファーザーになった辻仁成さんと、息子さんが2018年〜18歳になる2022年までの記録。

この本の何が良かったというと、フランスの地でシングルファーザーになり絶望的な気持ちだった辻さん。少しづつ生活に慣れてきて、2人だけの形の家族を作っていく様子や、辻さんの子育てに対する苦悩やそれを乗り越えていく中での気持ちが日記のように綴られていること。

コロナでのロックダウンでやりたいことが叶わない日々〜反抗期〜受験生になってからの忙しさなど、息子さんの成長や厳しい世界情勢の状況の中で歯痒い気持ちなどの中に、日々の中での2人だからこそ感じられる幸せがたくさん散りばめられている。

本編始まる前からじーん。


辻さんはもちろん、辻さんの息子さんから生まれる思いのこもった言葉が深くて、まっすぐで、綺麗で、強いの。


両親の離婚を経験してもなお、息子さんが家族って素敵なものだよね、僕が家族を作れたら〜と話をしているシーンがいくつかあって、そうやって明るい未来が思い描けるのは辻さんが愛情を込めて1人の人間として息子さんに接してきたからだと思う。

家族って、日々に意味を教えてくれる存在なんだと思う。
みんなに期待されたことで、自分の存在理由が、役割が、意味がわかった。
期待の向こうに、ありがとう、があった。ありがとう、と言われるとまた頑張ろうと思える。それは悪いことかな?

人間らしい。パパ、他人に期待してもいいんだよ。期待しないだなんて思うからうまくいかなくなるんだ。知ってるよ、パパがいつも最後は人を許していることを…。でも、そろそろ、パパも誰かに期待をして生きてもいいんじゃないの。

パリの空の下で、息子とぼくの3000日

苦しみたくないから期待しないと
言った父に放たれた言葉。
本当に16歳なの?って思ってしまう。
お父さんを否定するわけでなく優しく意見をする息子さんに、うるっとした。

*******

コロナの影響でロックダウンとなったフランスでの生活の中で2人で本格的なハンバーガーを作って楽しんだり、料理をお父さんから教わったり、料理や一緒にご飯を食べることは2人でいろんなお話をするきっかけになったというエピソードが素敵だった。
2人をつなげていた食事は、辻さんのお母さんからの教訓から来ているそう。

「ひとなり、苦しいこと、悲しいこと、辛いことがあったら、ジャンジャン炒めて、ガンガン食べるんだよ。人間は腹いっぱいになれば眠くなる。寝て起きたらもう嫌なことは消えてるからね」

パリの空の下で、息子とぼくの3000日

辻さんがお母さんから学んだ、“食べる“に関わる時間まるっと全ての大切さは、
息子さんにも確かにバトンが渡って伝わっているのだと思う。

「息子はこうやって料理を覚えていき、社会に出て、その荒波に揉まれながら、人に裏切られ、人に助けられ、時には父ちゃんが作った弁当のことを思い出しながら、自分も自分の家族のために何かをするようになるのかもしれない」

パリの空の下で、息子とぼくの3000日


そして、息子さんからお父さんに愛のある言葉を投げかけてあげ、お父さんのことを感動させるシーンはいくつかあったな、特にここは父と子のつながりが感じられて、じーーーーんと来てしまった…いつも辻さんは、息子さんのことを子供としてではなく1人の人間として接していて、息子さんも同じように自分の人生に対する意見をお父さんにぶつけたり、お父さんのために意見をしたり。2人の関係性がとにかく素敵だった。

いい?普段はくだらないことを話す人、普段はなんでもないことをバカみたいに話す人たちと心から繋がっていられると、人間、本当に苦しい時に、この連中が味方になって、スッと手を差し伸べてくれるんだ。人間ってそうやって生きて行くのが僕は一番人間らしい生き方だと思う。間違ってる?

パパが僕に教えてくれたことなんだけど…。『お前は友だちが財産だ。日本人なのにフランスで生まれて、この国で生きてく上で友だちが一番の財産になるよ』って。覚えているかな?僕が小さかった頃にそう教えてくれたじゃない。あれから何年も経った。そして、今、数えきれないほどの友達に囲まれている。この人たちとつながっていることで僕は苦しみや悲しみや悩みから遠ざかることができている。パパのおかげだ。

パリの空の下で、息子とぼくの3000日

はぁーーー(涙)

そしてどれだけ辻さんが愛を注いで、息子さんはその愛をしっかり受け止めているかが
2人の会話や温度感から滲み出ている気がする。愛情って与えるのが大事だけど、同じくらい受け取る側の受け止める方の気持ちも大事なんだと思う。

親の、子供を何よりも大事に思う気持ちがこの1冊から溢れ出していると同時に、
息子さんから発せられる言葉が本当に素敵で、感心が止まらなかった…
辻さんと息子さん、2人で作る“最小家族“は確実に愛で満ちていた。悩んで、ぶつかって、躓いて、起き上がって、支え合って進んでく、
そんな時に傍にいてくれる家族が1人でもいてくれたら他にこれ以上の幸せがあるだろうか、と。

ここ数ヶ月で、かなり心動かされる作品だったなあ…

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