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【北欧ノルウェーの大学で理学療法を学ぶ】課題レポート大公開!

はじめに

こんにちは!今回は、私がノルウェーで理学療法の専門学校に通っていたときに提出した2年生前期(?)の課題レポートを大公開します。このレポートでは、学生はYouTubeにアップロードされているある動画を観て、課題に答える形式です。なので、実際に患者さんを検査した課題ではありません。

ちょっとした注意点&先に謝っておきます・・・🙇🙇

  1. 10年前のもの:このレポートは私が学生だった頃に作成したもので、現在の知識や課題形式とは異なるかもしれません。🙇

  2. 日本語訳:私は日本の理学療法専門学校に通ったことがありません。ノルウェー語から日本語に訳したため、少し変な表現や専門用語の誤訳があるかもしれません。🙇

  3. 学生のレポート:理学療法士になる前の学生の頃の自分が書いたもので、間違いが含まれている可能性があります。🙇

とはいえ、少しでも世界中のどこかでがんばる理学療法学生さんたちのお役に立てれば嬉しいです!

1. 患者の歩行機能の分析を行い、前傾と立脚期を前額および矢状面に従って説明しなさい

一般的な観察
患者は補助具を使用しながら独力でゆっくりと歩いている。重心線は非麻痺側に移動し、立脚期の持続時間は麻痺側で短くなっている。上半身の動きはほとんどない。

前額面
- 立脚期で麻痺側の足は外旋している。
- 遊脚期で麻痺側の股関節で回旋が見られる。

矢状面
- 立脚期で麻痺側の膝は過伸展、股関節の伸展が低下、蹴り出しが欠如している。
- 遊脚期で麻痺側の腕に協調運動が見られず、足の背屈が低下している。

2. あなたは理学療法士であり、治療の目標の一つは患者の歩行機能を改善することです。患者がどのような条件や状態にあるか前提条件を評価するために他にどのような検査を行いますか?歩行分析をもとにして、考えられる原因と実際に行いたい検査をその理由と一緒に説明しなさい。


歩行分析と考えられる原因・関連要因・行いたい検査を述べる。理由は別に回答する。
1.遊脚期で麻痺側の股関節で回旋が見られる主な原因・関連性として股関節屈曲筋低下の代償動作があげられるため、股関節屈曲筋の筋力検査を行う。

2.遊脚期で麻痺側足首間接の背屈低下で考えられる原因・関連性として、三頭筋の痙縮・背屈筋の麻痺・関節可動域の低下・足裏や足首間接の表在および深部の関節感覚低下・タイミングスキルの低下などが挙げられるため。三頭筋のトーヌス検査・背屈筋の筋力検査・可動域検査・ 感覚検査・速度と環境の変化させて歩行分析を行う。

3.立脚期で麻痺側膝の過伸展が考えられる原因として足首および/または股関節の可動域低下・四頭筋/足底屈筋のトーヌス障害・膝の感覚低下・安定性/運動制御の低下が考えられるため、足首および股関節の可動域検査・四頭筋および足底屈筋のトーヌス検査・膝の感覚検査・低負荷での安定性検査を行う。

4.麻痺側の蹴り出し時の股関節伸展欠如は、股関節伸展筋/足底屈筋の筋力低下・動的バランスの低下・股関節および/または足首の可動域低下・痛み・股関節の感覚低下などが挙げられるため、筋力検査・BEStest・股関節・可動域検査・病歴/触診により痛みの原因を理解する・股関節の感覚検査などを行う。

5.腕の協調運動欠如は、遅いテンポ・体幹・脊柱の可動域低下・痛み ・腕の麻痺 ・上半身の筋緊張などが挙げられるため、増速での歩行分析・胴体・脊柱の可動域検査・ 病歴触診 ・腕/肩の筋力検査・調整要求を減らした歩行などを行う。

実際に行いたい検査の理由づけ
トーヌス検査

三頭筋の痙縮は足首の背屈を制限し、かかとのセット時に必要である。四頭筋の痙縮は膝の安定性を妨げ、遊脚期での膝屈曲を制限する。

感覚検査
足首、膝、股関節の関節感覚が低下すると、体の安定性と十分な動きが制限され、歩行時の対称的な重心移動が妨げられる。足の裏の表在感覚が低下すると、体の位置の認識が制限される。

筋力検査
- 股関節: 伸展筋の筋力低下は、歩行の際に前進するために重要な立脚期での股関節の伸展を減少させる。股関節屈曲筋の低下は、遊脚期での股関節の回旋を引き起こす。
- 膝: 四頭筋の麻痺は、立脚期での膝の過伸展を強化し、歩行中の膝の安定を難しくする。
- 足首: 背屈筋の弱化はかかとのセットを難しくし、足底屈筋の弱化は適切な蹴り出しを難しくし、それもまた股関節の伸展を減少させる。

可動域テスト
股関節、膝、足首、脊柱の可動域を調べ、各フェーズでの歩行パターンに影響を与える可能性のある制限がないか確認する。

様々なテンポでの歩行
調整やタイミングが低下している場合、異なる速度や環境での変化を検査する。

階段昇降
彼女がエレベーターのないアパートに住んでいることを前提に、患者の階段昇降機能を評価する。

バランステスト
BEStestを使用して、バランスのどの要素が影響を受けているか評価する。

3. 検査結果の簡単な要約を構築し、ICFに従って分類しなさい。歩行機能の改善に関連する主要目標と2~3つの関連するサブ目標を具体化しなさい。(※実際の患者さんではありません)

42歳の女性が2ヶ月前に脳卒中を患った。その後、右半身に麻痺が生じ、上肢および下肢に麻痺が発生した。麻痺は特に下肢における筋力低下、協調性の低下、動作のタイミングの低下を引き起こした。検査の結果、痙縮は確認されなかった。彼女は非常にゆっくりと動き、体重を杖と非麻痺側に置いている。歩行は非効率的で、バランスが悪い。3階のエレベーターのないアパートに住んでおり、家から約15km離れた中学校で事務職を務めている。

ICF分類

身体機能と構造
- 一側性片麻痺
- 足底/背屈筋、四頭筋、股関節屈曲・伸展の筋力低下
- 麻痺側の腕の麻痺
- 姿勢制御の低下
- 足首と膝の関節感覚の低下

活動/参加
- 彼女は杖を使って三点歩行を行う。
- ADL(日常生活動作)は自立している。
- 彼女は家の近くの中学校で事務職に従事している。
- 彼女は散歩が好きだが、現在はそれができない。

個人的要因
- 42歳の女性
- 身体的に活動的ではない

環境要因
- 10歳と14歳の二人の子供と一緒に住んでいる。
- エレベーターのない3階のアパートに住んでいる。

歩行機能の主な目標
- 歩行機能を改善し、散歩ができるようにする

サブ目標
1. 補助具の有無に関わらず、不整地や坂道、交通状況の中で屋外を歩けるようになる。
2. アパートの階段を上下できるようになる。
3. 最大3kmの距離を歩けるようになる。

4. 対策を提案し、目標を達成し、運動再学習(Motor relearning)を最適化するために具体的にどのように理学療法をするかについて論じなさい。

対策
1.重心移動トレーニング :足を平行にして立ち、麻痺側に重心を移動して一歩を踏み出す。補助具を使用する場合もあり。 
2.歩行練習:補助具の有無に関わらず行う。速度、持続時間、様々な地面の種類を段階的に増やしていく。屋外での歩行訓練も含む。 
3.階段昇降練習:補助具の有無に関わらず行う。ステップの上下運動を行い、患者がマスターできる動作範囲で訓練し、徐々に進める。
4.つま先立ち:両足に重心を置く。支援器具を減らしながら進める。 
5.立ち上がり練習:様々な高さの椅子を使用し、両足に重心を置く。 
6.ピッグボール:足の裏と手の感覚を刺激する。刺激を通じて感覚に慣れ、身体の接触を増やす。 
7.有酸素運動 :エルゴメーターサイクル、トレッドミル、エリプスなどを使用。 すべての対策は鏡を使用して行う。

対策に対する理由づけ

運動再学習を最適化し、目標を達成するための最大の課題は、治療状況で習得したスキルが他の状況に転用できるようにすること(転用性)。治療の安全な環境で多くの反復を行い、セラピストの指導のもとで動作を正しく行うことができる場合でも、患者が実際に学習したとは限らない(Shumway-Cook & Woollacott 2012 p.21)。したがって、動作の正確な実行だけでなく、実際の学習が行われたかどうかを確認するために、動作の転用性をテストすることが重要(ibid. p.21)。

反復/課題と環境のバリエーションを組み合わせ、難易度を変えることで転用性を確保できる。様々な環境で動作/運動を繰り返し行うことで、患者の「手続き的学習(procedural learning)を促進し、日常生活で直面する課題に対応できるようにする(Ibid. p.25)。

部分的な機能訓練は、最終目標を小さな単位に分割して行うと効果的です(ibid. p.36-37)。例えば、実際の階段での訓練が難しい場合、動作を分割して練習し、その後、部分的な単位を組み合わせて最終目標に到達するのが有効。部分的な機能訓練と全体的な機能訓練を組み合わせることが運動再学習の最適化に役立つ(ibid. p.36-37)。身体的トレーニングのタイプについては、課題関連のトレーニングが最も効果的で、四肢の機能向上とバランスの改善に役立つことが証明されている(Helsedirektoratet)。そのため、歩行、階段昇降、立ち上がりと座るなどの課題関連の対策を選択する。

鏡やピッグボール/バランスクッションの使用は、患者に内的フィードバックを提供し、治療中の変化を視覚的および感覚的に確認できるようにするのに役立つ。外的フィードバック(強化情報)は、言葉による指導、視覚的ガイダンス、手動の指導。ただし、外的フィードバックは内的フィードバックを補完するものであり、過剰に強調されてはいけない。試行錯誤を通じて学習することで、患者が日常生活での様々な機能的課題に最適な解決策を自ら発見するのを助ける(ibid)。

文献リスト
Carr J. & Shepherd R. (2010). Neurological Rehabilitation. Optimizing motor performance. Sydney: Churchill Livingstone Elsevier.

Shumway-Cook A. & Woollacott M. H. (2012). Motor Control: Translating Research into Clinical Practice. (4th ed.). Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins.

Helsedirektoratet: National Guidelines for Treatment and Rehabilitation of Stroke. Retrieved from: [URL](http://www.helsedirektoratet.no/publikasjoner/nasjonal-retningslinje-for-behandling-og-rehabilitering-ved-hjerneslag-fullversjon/Publikasjoner/nasjonal-retningslinje-for-behandling-og-rehabilitering-ved-hjerneslag-fullversjon.pdf)

ながーくなってしまいました。。💦ここまで読んでいただきありがとうございます。最後になりますが、冒頭でもお話ししたように、この課題は10年前のものなので、情報も回答内容も間違っていること・アップデートされてないこと多々です。特に神経疾患分野はノルウェーではかなりリハビリ方法が変化していっています(この件に関しても一つの記事にして公開したいと思います♪)

世界のどこかで誰かのお役に立てる記事になりますように・・・☆

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