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【暗号資産×税金】暗号資産(仮想通貨)は売るな!シンガポール移住で1億円の含み益を非課税にした方法

2022年11月13日更新

はじめに

私は米国公認会計としてシンガポールを拠点に活動しており、コンサルティング会社のBizlife Consulting Pte. Ltd.の代表を務めております。
今般、Web3.0関連でのシンガポール法人設立のお問い合わせが顕著に増加している一方で、2018年頃から個人の暗号資産関連での移住のご相談は市況に関わらず一定数いただいております。
そのため、今回は個人で保有する暗号資産の売却益について、シンガポール税法を中心にまとめました。

暗号資産の売却益にかかる税金(シンガポールの場合)

シンガポールは税率が低い国として有名で、例えば日本の場合、個人所得税の最高税率は55%(住民税含む)ですが、シンガポールの場合は最高でも22%です。
そして個人で保有する暗号資産の売却益については、基本的に非課税と考えられています。

たまに「キャピタルゲイン非課税であるから、個人で投資した暗号資産の売却益は非課税だ」という記事を目にしますが、厳密には少し違っていて、あくまで個人投資であるから非課税とされています。
下記のリンクがIRAS(シンガポール税務当局)のウェブサイトですが、非課税項目の中に暗号資産を含む個人投資が明記されています。
タイトルの通り、1億円の含み益を利確したとしても、シンガポール税務当局への納税はゼロで、1億円そのまま個人の銀行口座に出金が可能ということです。

IRAS:Gains from sale of property, shares and financial instruments

ちなみに「基本的に非課税」と記載したのは、例えば事業規模で頻繁に暗号資産を売買して莫大な利益を上げた場合、当局から、それはさすがに個人事業登録しなさいと言われる可能性もあるかと。。笑
事業の場合、暗号資産の短期売買はキャピタルゲインに該当せず、課税されるものと考えられます。

シンガポール居住者になるための条件

上記のシンガポール税法は「税務上のシンガポール居住者」に適用されます。

ではシンガポール居住者となるためには、何をすれば良いでしょうか。
・ビザ取得のしやすいワークホリデービザで入国し、アルバイトしている間はシンガポール居住者?
・観光ビザでシンガポール入国している間に、暗号資産を売却すれば非課税?
あくまで例示ですが、上記2つはどちらもシンガポール居住者とはならず、日本で課税されるものと考えられます。

シンガポール居住者となるためには、
「有効期限1年以上の就労ビザを発行すること」
が条件となります。

IRAS:Working out my tax residency

実際にはもう少し細かい規定もありますが、長くなるのでここでは割愛します。
有効期限1年以上の就労ビザは一般的にEP(Employment Pass)を発行するケースが多く、多くの場合、新規EPの有効期限は2年間(更新可)です。

EPにはスポンサー(雇用してくれる会社)が必要になりますが、個人移住の場合は自分がオーナー兼取締役の法人を設立して、自分にEPを発行するという方法が一般的です。
法人設立は早くて数日~2週間ほどで可能です。

暗号資産の売却益に関する日本の税法について

日本の税務については、私は日本の税理士でないため資格の関係から税務アドバイスを行えず、ここでは詳しく書けませんが、あくまで国税庁に記載されている一般的な税法の内容のみ紹介させていただきます。

暗号資産を売却した際の税率について

このNoteをご覧いただいている方はすでにご存じと思いますが、雑所得区分されるため最高で55%(住民税含む)で課税されます。
国税庁:暗号資産に関する税務上の取扱いについて(令和3年12月22日)

日本の居住性について

先程、シンガポール居住者について説明しましたが、逆に日本税法が適用される「日本居住者」の条件を見ていきますと、結論としては、

客観的事実によって判定する
No.2875 居住者と非居住者の区分

とされています。
シンガポールに比べると非常に曖昧ですね。。笑

国税庁:No.2875 居住者と非居住者の区分

よく「183日以上、海外に住んでいれば日本に税金(暗号資産の売却益)を納めなくて良いんですよね?」というご相談をいただきますが、上記の通り単純に183日が基準になるのではなく、
・国外に住んでいる目的やビザの種類
・国外の滞在日数
・その他、資産や国内事業など
を基に総合的に判定し、場合によっては税務調査が行われます。
この辺りは日本の税理士の専門領域となり、明確な数値基準がない以上、過去の判例などからケースバイケースでアドバイスが行われているようです。

まとめ

暗号資産に関する税務の取り扱いについては、現在のところシンガポールと日本で大きく異なります。
だからこそシンガポールにWeb3.0関連での法人設立案件や個人移住が増えてきていますが、本Noteは脱税行為やアグレッシブな節税の助長を目的としたものではございません。

私はシンガポールを拠点に活動しておりますので、Noteを通して税務に限らずシンガポール制度やシンガポールの魅力をご紹介させていただき、シンガポール移住も長い人生設計の一つの選択肢として考えていただく機会になれば幸いです。
私自身、シンガポールは6年目になりますが、街は綺麗で住みやすく東南アジアの拠点として、とても良い国と感じております。
家賃など物価は高いですが。。笑

ちなみに冒頭の「暗号資産は売るな」というのは、移住前に日本で売却した場合、シンガポール税法は適用できないという意味であるのと、「1億円の含み益を非課税にした方法」というのはあくまでシンガポール税法(日本でなく)について言及したものですので悪しからず。

その他、シンガポール移住に関するご質問、
・移住後どのタイミングから売却益が非課税になるか?
・最低でも何ヵ月or何年シンガポールに滞在しなければならないか?
・法人設立~ビザ申請までの所要期間、費用は?
・税務以外でのシンガポール移住のメリット&デメリット。
など、お気軽にお問い合わせください。

Bizlife Consulting Pte. Ltd.
Managing director(代表取締役)
大森裕之 
omori@bizlife-sg.com


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