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社会変革コーチ(ソーシャル・チェンジ・コーチング)の可能性

ちょっと今回は自分の将来、やりたいことってこれなんじゃないか、ということに思い当ってしまったので、記録として残しておきたいと思います。

前々から、いわゆるソーシャルセクターとコーチングというのは相性が良いのではないか、と思っていて、いわゆるこのセクターのリーダーに対するコーチングの機会を提供するような活動をしてきているわけですが、今回、お話したいのはそんな個人レベルの話ではありません。

以前、記事にも書きましたが、NHK文化センターオンライン教室 苫野一徳さんの「教育を哲学する」に参加した際、苫野さんは、日本の教育に関しては、関わっている人、学校の先生も保護者も国も教育委員会も生徒も、みんな変えたいと思っているんだけれども変えられないんだ、みたいな話がありました。

この記事の時点では、私の考えも「なかなか誰も社会を変えることができないのは、社会を変えるための方法を誰も教えていないし、誰も学んでいないからではないか、と思い当たりました。」というところにとどまっていました。

こちらの記事では、4つ目のセクター=文化が大事だよ、ということで、記事は違いますが、同じような結論になっています。

今回、この話の流れともうひとつ、結びついたものがありました。

それが、国際コーチング連盟(ICF)が2021年に公開した、チームコーチング・コア・コンピテンシーです。

チームコーチングについては、論文にまとめたものがまもなく公開されますので、それを待っていただくとして、このチームコーチング・コア・コンピテンシーの何がすごいかと言えば、そのデザインにあります。

既にICFには、コーチング・コア・コンピテンシーというものがあって、それとどのように整合性を取るのか、ということが気になるところですが、なんと、チームコーチング・コア・コンピテンシーは、別途、ゼロから作るのではなく、コーチング・コア・コンピテンシーを読み替える、という方法で作っています。

具体的に言えば、チームコーチングのクライアントは個人ではなくチームと読み替えてください、というようなことで、これだけ聞くと、大したことではないように思えるかもしれませんが、実はすごいことで、これ、この方法を使えば、もっと別のコンピテンシーも作れる、という可能性を秘めています。コーチングの適用範囲を拡大する、すごい発明だと私は思っています。

さて、その上で、今回、私が思いついてしまったのは、チームコーチング・コア・コンピテンシーの更にメタなところで、社会に対するコーチングというものも定義可能ではないか、ということです。

今回は、それを、社会変革コーチング(ソーシャル・チェンジ・コーチング)と名づけてみました。

コーチングのひとつの手法に、認知行動コーチングというのがあります。これは人の感情や行動の根拠となっている認知にアプローチして気づきをもたらす手法として紹介されますが、例えば、これをあてはめると、なかなか変わらない社会というものに対して、まずは文化を変えることによって結果としての社会の行動を変えていく、そういうイメージになります。

もしかしたら、社会がなかなか変えられない理由は、当事者ばかりしか存在していないから、なのではないかと思いました。こんなとき、中立的客観的立場でありながら、クライアントの成功を祝福するような、そんなコーチの存在があれば、もっと社会変革が加速するのではないか? そんな可能性について、気づいてしまったのです。

例えば、チームコーチング・コア・コンピテンシーでは、チームメンバーひとりひとりの声を聴け、というのがあります。社会というレイヤーになりますとさらに、声を出している人、声の大きい人に意見が左右されやすいものですが、敢えて、声を出していない人の声を聴く、ということも、社会変革にはとても重要なことではないのか、と気づかされます。

社会という実体を変化させるためには、その社会を構成している一員のメンバー全員の声を聴く。それは多数決でもアンケートでも駄目なのです。声なき声どころか、まだ言葉になってすらない言葉を拾って紡いでいく。

コーチングというアプローチが社会変革の文脈に加わることで、苫野さんのおっしゃる「誰もが変化を望んでいるが、そのように変えられない社会」を変えることができるのではないか、と思ったのです。

最近、始めた下記の研究会。パーソナルコーチングはまだしも、ビジネス現場へのコーチングは、ビジネスの常識がないとなかなか難しいのではないか、という思いから、その常識を共有するためのトレーニングの機会として開催させていただいています。

ここで言う「常識」というのは簡単に言えば、ビジネスの現場ではいろいろなトラブルが起こって、マネジメントは一個一個それを解決していかなければならない、という常識でもあります。

社会変革コーチングを成功させるためには、社会に対する常識を持たなければなりません。社会にはいろいろな事情を抱えた人がいて、それぞれの事情は本当にそれぞれで、一緒に括って解決するものでもなかったりする、ということです。

と、何やらわかった風に言っていますが、社会変革コーチングというのは、今、この記事で初めて生み出された言葉。これからこのテーマを探求していく、というのが、自分のどうやら将来にやりたいことだ、とわかったという記事でした。イメージはありますが、具体的にはまだまだこれから、ですね。

幸いにして、秋から大学という場所で教鞭を取ることが決まっていますので、授業という形で、いろいろ研究していきたいと思っています。

現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。

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