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お金と時間をかけずに失敗しないプロダクト/サービスのコンセプトを作る方法

(第9回)市場の反応を安く/早くテスト&検証する❶

前回のブログでは、皆さんのアイデアに関する市場の反応に関する3段階の仮説、初期の仮説(例.特定のジョブ履行者は、そのジョブを履行しようとする際、我々のプロダクトやサービスに関心を示すだろう。)、XYZ仮説(初期の仮説に具体的な数値を設定したもの)、xyz仮説(XYZ仮説を小規模かつシンプルにし、すぐにテスト/検証することができるサイズにしたもの)についてご紹介しました。

今回は、最後のxyz仮説に対する市場の反応を安く/早くテスト&検証するためのテクニック、プレトタイピング手法を簡単に整理していくことにしましょう(詳細は、書籍「NO FLOP」を読んでみることをお勧めします)。

ここでの目的は、1つ以上のプレトタイピング手法を活用しながら、xyz仮説に対する市場の反応を、他人の意見に惑わされることなく、客観的な事実としてのデータを皆さん自身の手によって収集していくことです。

プレトタイピング手法

皆さんのアイデアは、ウォークマンのような物理的なプロダクトかもしれませんし、人間を介したサービスかもしれません。または、ソフトウェアかもしれませんし、それらの組み合わせたアイデアかもしれません。

ここでご紹介する8つの手法は代表的なものであり、安く/早く、かつ効果的にテスト&検証することができるものであれば、これ以外の方法でもよいかと思います。

それでは、8つの手法の概要と適用サンプルをご紹介していきましょう。

#1 メカニカルターク(機械仕掛けのトルコ人)

実際のプロダクトやサービスの対象となる技術が高価だったり、複雑だったりする際、その技術がおこなうはずの機能を人間がひそかに行う手法。

(IBMの音声認識マシン)
人が言葉を発すると、モニターにその言葉が表示される。実際には、隣の部屋でタイピストがキーボードで入力していた。

メカニカルターク

#2 ピノキオ

機能しないバージョンのプロダクトやサービスを作り、あたかも機能しているようなふりをする手法。

(パームパイロット)
PDA(携帯型情報端末)の生みの親であるジェフ・ホーキンスは、カットした木片と割りばしを使って、パームパイロットの模型を作り、常時胸ポケットに入れて持ち歩きながら、利用シーンを検証した。

ピノキオ

#3 ニセの玄関

玄関口(例.広告、ランディングページ、パンフレット、実際の店頭)を設け、プロダクトやサービスが実在するかのようなふりをする手法。

(旅行者向けガイドブック)
作家のケヴィン・ケリーは、旅行者向けガイドブックの需要を調査するため、雑誌の広告スペースを買って、カタログも本も存在しないにもかかわらず、カタログを1ドルで送るという広告を出した。

ニセの玄関

#4 ファサード

ニセの玄関と似ているが、実際にドアをノックしたり、購入ボタンをクリックしたりすると、誰かが応答するか、何かが起きる。

(ザッポス)
創業前のザッポスは、靴のオンラインショップを作り、近隣の靴屋の協力を得て、注文があった都度、その靴屋から仕入れて配送していた。

ファサード

#5 ユーチューブ

映像の魔法を使って、プロダクトやサービスのアイデアを実感してもらえるようにする手法。

(グーグルグラス)
開発チームは、グーグルグラスを装着した際の経験を実感できる動画をユーチューブに公開するとともに、「グーグルグラス・エクスプローラー・プログラム」の参加者を募った。

ユーチューブ

#6 一夜限り

非常に短い期間のみ、仮のプロダクトやサービスを提供してみる手法。レモネードスタンドと呼ばれることもある。

(エアービーアンドピー)
創業者は、サンフランシスコで大きな会議があるのを知り、簡単なウェブサイトを作って、エアーマットレスと簡単な朝食付きの自分のマンションを1泊80ドルで提供した。

一夜限り

#7 潜入者

自分のプロダクトやサービス(中身は空であることもある)を、同様のものを扱う他の環境(オンラインまたはオフライン)にしのばせる手法。

(テスラ)
イーロン・マスクは、自分の思い描いていたものに近い既存の車(ロータスのロードスター)を手に入れ、電気エンジンに取り換えて走行してみた。その後、興味を示してくれた人たちに、5,000ドルのデポジットチェック(預り金のようなもの)を書いてくれるかどうかを尋ねた。

潜入者

#8 ラベル貼り替え

既存のプロダクトやサービスに別のラベルを貼り、元のものとは異なるものであるかのように見せかける手法。

(書籍のカバー貼り替え)
関心を惹きそうなタイトルが書かれたカバーを他の書籍に取り付け、本屋の棚に並べてもらい、どれくらいの人がその書籍を手に取ってくれたかを調査する。

ラベル貼り替え

例えば、ウォークマンの仮想ケースの場合、メカニカルタークピノキオ、ユーチューブなどの手法を活用することができるかもしれません。

これらのプレトタイピング手法は、皆さんのアイデアに対する市場の反応を安く/早くテスト&検証するための効果的なものですが、テストの対象になる人々に対する倫理的な配慮(騙されたとかの不快感を軽減するための施策)を講ずる必要があります。この点については、本ブログの最後に触れていきたいと思います。


次回は、あるアイデアに対する複数のプレトタイピング手法を皆さんが思いついた場合、どの手法を優先的に選択するかのガイドライン、テストシナリオについて触れていきたいと思います。


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