何も動かない夜
また、どこかの国で争いが起こってる。
いや、またじゃない。
いつもだ。
そして、いつも何も力もなく決定権のない弱き人たちが犠牲になってる。
TikTokを見てると、たまに海外の貧困層の子供が靴も履かずにボロボロの服を着て、親の仕事を手伝ってる動画を見る。撮影者は食べ物を与えたり、飲み物を与えたりして助けてる姿を動画として上げてる。
同じ人間なのに、生まれた国によって、なんでこんなに子供たちの幸せに差が出るのだろう。
海外の可愛い子供たちが苦労してる姿を見て、子供のいない日本の夫婦の中には引き取って育てたいと思う人たちもいるはずだ。
俺もお腹を好かせてる小さな子供にお腹いっぱいにご飯を食べさせて、日本の治安の良さと清潔な環境を味あわせてあげたい。日本のコンビニに連れて行ってあげたら、どんなに喜んでくれるんだろうと思ってしまう。
でも、俺は何も動けない。
動画などを見て、不幸な子供たちを可哀想だと思いながら涙も浮かぶほど感情移入するけど、ただそれだけだ。
たまたま日本に生まれ落ちただけの俺が、布団の上に寝っ転がりながら、いつまた新しい争いが起こるかも知れない世界の行く末を心配しながらスマホを片手に文章を書いてる。
いや、心配しながらではない。
心配したフリをしながらだ。
こうやって文章を書きながら、俺の心の中はこうだ。
「イヒヒ、こうやって世界の可哀想な子供たちの事を心配した風なことを書けば、俺の記事を見た人は少しは俺を良い人間だと思ってくれるかもな?ウヒョヒョ!」
こんな汚い心を持ってるのが俺だ。でも、こんな汚い心も剥き出しで正直に書かねば、俺が文章を書く意味なんかない。
だって、俺はなんの努力もせずに、この日本の平和を当たり前のように日々味わっているのだ、自分の汚い心ぐらい曝け出さないと罰が当たる。
俺は自分が平和に暮らせるように、なんにも努力してきてないよ。
だから、海外の紛争で泣いてる子供たちを見ると、自己嫌悪で苦しくなるんだ。
俺なんかより、もっと輝く未来のある子供たちなのにボロボロの服を着て、まともな靴さえ履いてないなんて…
俺は高校の修学旅行で、母親が買って来た先っちょがトンガッてる革靴が嫌で、別の靴がいいと駄々をこねた。そして、先っちょの丸い新しい革靴を新たに買ってもらって修学旅行に行った。
先っちょがトンガッてる革靴だって、新品なのにだ。
俺の革靴の先っちょがトンガッてようがまん丸だろうが、だ〜〜〜れも気にしてないし、見てもいない。
今思うと本当にアホらしいこだわりだ。
「お前は何様だ?馬鹿じゃないのか?」
過去の自分に今の俺はこう罵声を浴びせる。
こうやって、過去の自分の事を書いてるだけで自分のアホさ加減に目眩がしそうだ。もし、戦場の子供たちがこんな俺を見たとしたら、何を思うのだろうか…
そんなに罪悪感を感じるならば、少しは寄付をしたり、世界平和のために何かしたらいいじゃないか?と思われるだろうが、俺はいい人ぶってるだけで、何も動けない。
いや、何も動かない。
何も動こうとしない。
何も動かないのに、なんのために書いてるの?そう思われるかも知れないけど、何も動かない臆病な俺だから、今は書くことしか出来てない。
そんな弱くて臆病で自分の日々の幸せを当たり前と思って甘えてて、両親が大事に育ててくれたからこそ今の幸せがあるのに、そんな思いに大人になってやっと気づいた俺が、毎日当たり前に用意されてる日本の平和にどっぷりと浸かってる俺が、良い人ぶったままの文章を書いとけばいいのに、ありのままの醜い心を書いてしまう偽善者にもなりきれない俺が、
そんな俺の動くための第一歩が、ここに書くことだった。
いつか、誰か困った人を助ける事に繋がりたい。
そんな思いが溢れる夜。
そして、何も動かない自分を自覚しながら落ち込む夜。
今日はそんな思いを記す夜だ。
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